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I ニナルティナ王国とリュフミュラン国
魔戦車に乗るa 重み ..
しおりを挟む「……」
バタン!
場違いに不気味な少年の笑顔を見て、魔戦車隊隊長がキューポラを無言で閉める。
「全速後退!!」
「了解」
ギュワッ
命令と同時に砂緒が砲塔の上に乗っかっている魔戦車が砂塵を巻き上げ全速力で後退する。
「おうわ」
ぐらりっ
砂緒は重くなったり硬くなったり出来るだけで、特別運動神経が常人離れして凄い訳でも無い様で、魔戦車の全速後退の勢いであっさり落下しかけるが、なんとか砲身にしがみ付き再び砲塔によじ登り始める。
「危ないですね!」
『砲塔上の化け物を掃射しろっ!』
『ハッ』
シュタタタタ……
砂緒が乗っかる車両に向かって両側の魔戦車が対人用の連発式魔銃でいきなり掃射してくる。
パタタタタタタタタ
しかしやはり砲撃も跳ね返したのだから、砂緒に当たる全ての魔機銃掃射は簡単に跳ね返されていく。
「さて、どうしましょうか……」
砂緒は砲塔に乗っかりながら巨大な魚を料理するかの様に捌き方を思案した。今現在は魔戦車の装甲がゴンゴン鳴る程度の重量だが、意識してもっとさらに重みを掛けてみようと考えた。
(どのくらい重くなるのでしょう? この戦車は潰せるのでしょうか……)
シュワ~~~
砂緒が集中するとさらにどんどんと重量が増して行く。
みしっみしっっ
「隊長!」
「隊長!!」
ベキョッメキョッッ!!
突然信じられない程の超重量が砲塔の上面装甲をべこべこぎしぎしと音を立てさせ歪ませ始めた。全員上を見て、あたかも深海探査船が水圧で潰れ行く様な恐怖を乗員達は感じて焦り始めた。
シューーーンシューーーン!
「そ、走行不能!!」
そして運動能力を司っている魔導士には、急激な重量増によって移動が困難になりつつある事がさらに恐怖を煽り立てた。
べこっっボコッ!!
「うわあああああ」
だが容赦無くさらに大きな超重量が一気にかかり、硬いはずの上面装甲がかなり大規模にへこみ始めた。
ガチャッ!
直後、なんと魔戦車隊隊長は自分だけでも助かろうと、突然キューポラを開け外に飛び出そうと身を乗り出して砂緒と目が合う。
「お?」
「あっ」
ドシュッッ!!
しかし砂緒が再び隊長の姿を見た瞬間だった、いったいどちらの軍側からかは不明だが、隊長の上半身を突然の光が襲い次の瞬間にはその姿は完全に消え去っていた。
ドババッ……
闇雲に砦から撃っているリュフミュラン軍の流れ弾、もしくは友軍の魔機銃掃射の直撃を受けたのだろうか。
ドサッ……
「ひ、ひぃいいいいいい」
「うわーっ!」
ボトリと魔戦車内に上半身を失った隊長の下半身が無機質に落ちて来る。その瞬間車内に残された二人の魔導士は完全に恐慌状態に陥った。
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