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I ニナルティナ王国とリュフミュラン国
盗んだ魔輪で走りほにゃ
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「かかった! 良かった私程度のポンコツ魔力でもエンジンがかかって。あ、これって魔力を込めれば動く乗り物なの。この人達は魔法を一切使って無かったし、魔力が無い人は蓄念池が空になると動かないの。」
砂緒は現世の内燃機関とは全く違う駆動力の乗り物を、不思議そうに見た。
「これは名前の通り、海も走れるのですか?」
「え、え、何で海?」
唐突な質問にフルエレはちょっと首を傾げたが、相手はゴーレムさんなのだと思い、丁寧に解説する。
「魔輪は整地された陸上の道しか走れないの。行けてもせいぜいこんな森の中か砂利道程度、水上は無理ね。それに四輪の物が魔車、似た物に馬で引く馬車があるわ。魔輪や魔車はとても高額だから軍用だとか、お金持ち用ね。一般人は馬か馬車よ。このサイドカー付きの魔輪は軍用の特別製ね。私も見た事が無い、無骨だけどとても素晴らしい逸品だわ。」
急にペラペラと饒舌にしゃべり出したフルエレに、少しあっけにとられる砂緒。
「ご婦人の方というのは、こういう機械だとか乗り物だとかって嫌い、苦手だと思ってましたが」
砂緒の質問に我に返った様に急に赤面して、たどたどしさが少し戻るフルエレ。
「あ、うん……私魔力はあるのにどんなに努力しても魔法や魔術が使えなくて、どうせなら魔力で動く魔道具や魔機械に詳しくなろうって勉強してる内に……こういうの好きになっちゃった。変……かな。」
機械好きなんて変な趣味だと思われそう、とでも思ったのか赤面するフルエレ。
「そんな事ないです。私物を大事にしたり拘ったりするニンゲンが好きです」
「まあ」
フルエレはさっきまで助けてくれる為とは言え、恐ろしい形相で人を殺めたモンスターから、早速『人間、好き』みたいな言葉を引き出せて素直に嬉しかった。
「魔輪は水上を進めないけど、魔ローダーなんていう空を飛ぶ伝説の古代魔機械もあるのよ。乗ってみたいな~魔ローダー!」
「マローダー……」
「う、ううう」
「うわああ、急がないとだめね」
気絶していた子分格の男が少し肩を揺らす。フルエレはハンドルを握っていた魔輪に跨った。
「じゃあサイドカーに乗ってね、私が運転するから」
「はい、あ、その前にその気絶男を軽く殴ってさらに気絶させてから服を頂きます。でないと先程から貴方、私のこの辺りを時折、チラっと見て気にしてますよね」
下半身の辺りを指でくるくる回して指す砂緒。本当に心からエチケットとして申し訳ないと、紳士を気取っている砂緒は考えただけだった。
「ふゎ~~もう変な事言わないでください! 全く見てないです。裸だというのは今気付いたくらいです!」
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「魔輪は整地された陸上の道しか走れないの。行けてもせいぜいこんな森の中か砂利道程度、水上は無理ね。それに四輪の物が魔車、似た物に馬で引く馬車があるわ。魔輪や魔車はとても高額だから軍用だとか、お金持ち用ね。一般人は馬か馬車よ。このサイドカー付きの魔輪は軍用の特別製ね。私も見た事が無い、無骨だけどとても素晴らしい逸品だわ。」
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「そんな事ないです。私物を大事にしたり拘ったりするニンゲンが好きです」
「まあ」
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「魔輪は水上を進めないけど、魔ローダーなんていう空を飛ぶ伝説の古代魔機械もあるのよ。乗ってみたいな~魔ローダー!」
「マローダー……」
「う、ううう」
「うわああ、急がないとだめね」
気絶していた子分格の男が少し肩を揺らす。フルエレはハンドルを握っていた魔輪に跨った。
「じゃあサイドカーに乗ってね、私が運転するから」
「はい、あ、その前にその気絶男を軽く殴ってさらに気絶させてから服を頂きます。でないと先程から貴方、私のこの辺りを時折、チラっと見て気にしてますよね」
下半身の辺りを指でくるくる回して指す砂緒。本当に心からエチケットとして申し訳ないと、紳士を気取っている砂緒は考えただけだった。
「ふゎ~~もう変な事言わないでください! 全く見てないです。裸だというのは今気付いたくらいです!」
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