魔法の魔ローダー✿セブンリーファ島建国記(工事中2)

佐藤うわ。

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I ニナルティナ王国とリュフミュラン国

ゴーレムさんに出会った!! 花びらのトンネルb

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(ニンゲンとデパート両方の特性て何なんだ? 素敵な異世界?)

 こちらの希望は完全に無視で、次々勝手に話を進める女神に愕然とする。頼むから止めてくれ、ただ元に戻せと必死に頭の中で願い続けた。ニンゲンに転生とか、静物から種を越えた凄い事より、ただ建物に戻す方が楽だろうにと。

「ではゆっくりと、目を閉じてごらんなさい」

 気付くと突然女神の体には、ハープが抱えられている。やはりこちらの希望は完全無視な様だ。

「え、ハープが出て来たですって? イメージの世界ですわよ?」

 どうでも良い質問には即座に答えながら、女神自身こそ目を閉じて、自分自身に酔う様に口元に笑みを浮かべ、ハープを掻き鳴らし始めた。辺りの空間には何も無いはずなのに、絃の一本一本から心を震わす音色が響き渡る。雪山遭難の様に目を閉じてはだめだ、目を閉じてはどうなるか分らんぞと自分自身に言い聞かせたが、存在しないはずの瞼が重くなり、ついには再びゆっくりと眠りの暗闇に落ちて行ってしまった。


 どこかの深い森の中、鬱蒼と茂った木々の枝葉の間から木漏れ日が差し込み、空気中の埃やら何かが冷たい空気を弾いて光線の中で煌めく。どこからともなく奏者も無く、木々の間から聞こえて来るハープの音色。旋律に導かれる様に小さなつむじ風が吹くと、ふわりと地面に散らばる落ち葉や花びらが舞い上がり、美しい音色の響きの中、一回転して花びらのトンネルを形作った。

「……ここは?」

 以前まで砂岡デパートと呼ばれていた建造物は、花びらのトンネルをくぐる様に森に出現すると、人間の姿となって静かに歩みを始めていた。

「これは手……?」

 視界には持ち上げられ、表裏くるくると回転させられる両掌があった。色合いは日本人の肌色であり、これまで普段見慣れた物だったが、サイズ的には華奢な少年の物ではと感じた。自己の精神的には立派な髭を蓄え、シルクハットを被った紳士の様な姿を想定していたが、どの様に見てもやはりひょろっとした、頼りない少年の手だった。

「足の裏が不思議な感覚がする。これが歩く……という事か」

 静かに歩みを進めながらも、森の中の湿った臭いを嗅ぎ、足裏の皮膚が、冷たい土や草や落ち葉や虫、時折ぱきっと折れる小枝、それら全てを複雑に重ねながら踏み締める感覚を、初めて味わっていた。

「……ぁーーー!!」
「……??」

 何か遠くで人の声か物音がした気がした。どうせ何の目的も無い、ここがどこかも判らない、恐怖も何も無く、興味本位のまま音がする方に向かってみようかと思ったのだった。


 ―そして先程助けた少女に出会った。

「……ぅ」

 少年は男のうめき声が聞こえて、意識を再び現在の異世界に戻した。
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