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Ⅴ 千岐大蛇(チマタノカガチ)
カガチ後⑨ ひと刈りやろうぜっ!
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「ちょっと美柑どこへ行くの!?」
「離してっ」
紅蓮が掴んだ手首を、美柑は振り払った。
「どうしたのっ美柑ちゃん!?」
雪乃フルエレ女王が操縦桿を離さない様にして手を伸ばした。しかし美柑は無言でそれを見るだけだった。
(仕返しに私から紅蓮を奪うという事なの? じゃあいいよっ罪滅ぼしに紅蓮をあげるわ)
「フゥー、ハッチを開けて」
「……」
「フゥーちゃん開けて上げて」
戸惑うフゥーに最後は紅蓮が開ける様に促した。
シューッ
球体の内側が開くと、顔の外側まで通路が発生した。
「じゃっデュワッ」
美柑は振り返る事無く、両手を前に突き出しスー〇ーマンの様に外側に飛び立った。
「凄い!? あの子、あんな高度な魔法を詠唱も無く成功していきなり飛翔したわっ」
(まるで依世みたい……)
飛び立った彼女を見ながら、フルエレは国のしきたりに従い自らの百発百中の占いで将来の脅威と判定した人物を暗殺するべく送り出していた妹、依世の事を思い出していた。
「あの子も複雑な事情を抱えているそうなんだ……」
「そ、そう」
紅蓮は何か一瞬だけ思いつめた様なフルエレの表情を見逃さなかった。
『フルエレさま猫弐矢さま、仮宮殿に到達しました! モズ様と合流します』
『聞こえておるぞ、日没までは残り五分程、では皆で千岐大蛇討伐に参る!!』
仮宮殿の駐機場で既に待ち構えていた、全身度ピンクの魔ローダー・桃伝説に男五人で搭乗した夜叛モズは意気揚々と叫んだ。彼は今度こそ決着が着くと期待していた。
『コラー! お前が勝手に仕切るな犯罪者予備軍鳥男がっよーし行くぞお前ら―っ」
『やめてー恥ずかしい~』
『おお~~~!!』
異常に負けず嫌いなセレネがモズに対抗してもう一度号令を掛けたが、笑顔で応じたのは兎幸だけだった……
『観測魔戦車から通達されていたチマタノカガチ存在ポイントが見えます!』
『あたしからも見えるよ、よしどうせ目覚めると同時に戦闘開始だっあたしから先制攻撃してやろうかっ』
『えっ?』
『じゃ、私も私もー兎幸ちゃんカバーよろしくねっ』
『は~い』
ヌッ様の少し前を飛んでいる、ル・ツー漆黒ノ天を背中に乗せたままの鳥形態の蛇輪のセレネが叫んでフゥーは戸惑った。
『今回は吾輩の出番が無い事を祈る』
桃伝説のモズは一段後ろに下がったまま、もしもの場合に絶対服従を掛けるサポートに回った。
『砂緒に出来るんだっあたしに出来ないハズは無い! 出でよ光の輪っ!!』
シュバッ!!
セレネが一瞬目を閉じて、金輪の背中に浮かんで自分を苦しめた光の輪を思い浮かべると、本当に鳥形蛇輪の前を飛ぶ様に輪っかが現れた。
『……栄光の四旗機の魔ローダースキルが、ああも簡単に盗まれて良いのか!?』
モズはいとも簡単にスキルを再現した蛇輪に脅威した。
『メランさん、この輪っかの光の矢と貴方の魔砲ライフルで先制攻撃を掛けよう!』
『よっしゃ!!』
セレネが叫ぶと日輪の様な輪の周囲に無数の光の剣がニョキニョキと前向きに伸びていく。それと同時にメランが背中に担いだ巨大な魔砲ライフルの照準を、まだギリギリ目覚めていない眠りについたままのカガチの無数の首の一つに定めた。
『ってーーー!!』
『うりゃーーー!!』
二人はいつの間にかぴったりと息が合う様になって、ほぼ同時に攻撃を開始した。無数の光の剣と連発された魔法弾がすいーーっとカガチの眠る首達に吸い込まれていく。
ドドドドドドーーーーーーン!!!
単純に刺さったり斬ったりするだけでは無く、ヒットした瞬間に光の剣は炸裂して複数の首が半ば辺りからべちゃっと引き千切れて転がり落ちる。メランの撃った弾も無情にカガチの頭を複数粉砕した。
ぎゃあああああ……
表現が出来ない様なおぞましい叫び声を上げて、眠っていたチマタノカガチが叩き起こされてのたうち回る。そのゆうに五百Nメートルに達する巨大さから、一瞬現実の出来事とは思えないスケールであった。
『兎幸先輩メランさん、撃ち返しがあるかも、用心しててっ!』
『はいはい』
『そうだねっ』
「凄い……なんという威力だ」
「綺麗……」
「え?」
紅蓮は素直に二機の魔ローダーの先制攻撃の威力に驚いたが、その色とりどりの閃光を綺麗と言い放ったフルエレに驚いた。
『うおりゃあああああああ!! ヌッ様も負けるなあああああ!』
人々が避難したゾーンに到達して、いよいよ本気で走り出した三百Nメートルの巨大魔ローダーヌッ様を駆るフゥーも二機に負けじと、腕を振りかぶって殴り掛かった。
ドカーーン! ドカーーーン!!
立て続けに二発殴り掛かり、巨大な爆発と共に複数の首が吹き飛ぶ。
『まだまだああああああ!! でりゃあああああああ!!!』
今度は巨大な足で首の根本から蹴り上げて斬り捨てて行く。
ドカーーン! ズズーーン!!
「くおおおおおおんん!」
『むっ』
『フゥーくん危ない!』
身を晒して接近戦を繰り広げるヌッ様は、すぐさま目を覚ました無数の首に襲い掛かられる。
『ムムッやはり必要かっ掛かれ絶対服従!!!』
後ろに控えていたモズの桃伝説が両手を前に掲げ、スキル絶対服従を掛け始めた。
しゅぱぱぱぱぱぱ……
無数のピンクの玉がヌッ様の周囲の首達に吸い込まれていく。
「きゅぴーーーーんん!!」
かろうじて巨体の中のヌッ様周辺の首にだけ掛かるのか、ヌッ様への攻撃は止める事が出来た。
『有難う御座います! これで充分です!! うおりゃああああああ!!』
再びフゥーはパンチにキックと攻撃を間髪入れずに掛け続けた。
「フルエレちゃんしんどく無い? 以前の僕はこれくらいでもう限界が近かったけど」
(美柑もいないし……)
紅蓮は操縦桿を握りながらも、フゥーを挟んで座るフルエレを気遣った。
「えっ? 全然……これからビームが出たり飛んだりする訳じゃないの?? 私、何も感じないけど」
「何だって!? 確かにフルエレちゃんが居るからか僕も全然しんどくない」
(どうなってるんだろうフルエレちゃんの魔力の量は)
ケロッとした顔で答えるフルエレに紅蓮は脅威した……
「離してっ」
紅蓮が掴んだ手首を、美柑は振り払った。
「どうしたのっ美柑ちゃん!?」
雪乃フルエレ女王が操縦桿を離さない様にして手を伸ばした。しかし美柑は無言でそれを見るだけだった。
(仕返しに私から紅蓮を奪うという事なの? じゃあいいよっ罪滅ぼしに紅蓮をあげるわ)
「フゥー、ハッチを開けて」
「……」
「フゥーちゃん開けて上げて」
戸惑うフゥーに最後は紅蓮が開ける様に促した。
シューッ
球体の内側が開くと、顔の外側まで通路が発生した。
「じゃっデュワッ」
美柑は振り返る事無く、両手を前に突き出しスー〇ーマンの様に外側に飛び立った。
「凄い!? あの子、あんな高度な魔法を詠唱も無く成功していきなり飛翔したわっ」
(まるで依世みたい……)
飛び立った彼女を見ながら、フルエレは国のしきたりに従い自らの百発百中の占いで将来の脅威と判定した人物を暗殺するべく送り出していた妹、依世の事を思い出していた。
「あの子も複雑な事情を抱えているそうなんだ……」
「そ、そう」
紅蓮は何か一瞬だけ思いつめた様なフルエレの表情を見逃さなかった。
『フルエレさま猫弐矢さま、仮宮殿に到達しました! モズ様と合流します』
『聞こえておるぞ、日没までは残り五分程、では皆で千岐大蛇討伐に参る!!』
仮宮殿の駐機場で既に待ち構えていた、全身度ピンクの魔ローダー・桃伝説に男五人で搭乗した夜叛モズは意気揚々と叫んだ。彼は今度こそ決着が着くと期待していた。
『コラー! お前が勝手に仕切るな犯罪者予備軍鳥男がっよーし行くぞお前ら―っ」
『やめてー恥ずかしい~』
『おお~~~!!』
異常に負けず嫌いなセレネがモズに対抗してもう一度号令を掛けたが、笑顔で応じたのは兎幸だけだった……
『観測魔戦車から通達されていたチマタノカガチ存在ポイントが見えます!』
『あたしからも見えるよ、よしどうせ目覚めると同時に戦闘開始だっあたしから先制攻撃してやろうかっ』
『えっ?』
『じゃ、私も私もー兎幸ちゃんカバーよろしくねっ』
『は~い』
ヌッ様の少し前を飛んでいる、ル・ツー漆黒ノ天を背中に乗せたままの鳥形態の蛇輪のセレネが叫んでフゥーは戸惑った。
『今回は吾輩の出番が無い事を祈る』
桃伝説のモズは一段後ろに下がったまま、もしもの場合に絶対服従を掛けるサポートに回った。
『砂緒に出来るんだっあたしに出来ないハズは無い! 出でよ光の輪っ!!』
シュバッ!!
セレネが一瞬目を閉じて、金輪の背中に浮かんで自分を苦しめた光の輪を思い浮かべると、本当に鳥形蛇輪の前を飛ぶ様に輪っかが現れた。
『……栄光の四旗機の魔ローダースキルが、ああも簡単に盗まれて良いのか!?』
モズはいとも簡単にスキルを再現した蛇輪に脅威した。
『メランさん、この輪っかの光の矢と貴方の魔砲ライフルで先制攻撃を掛けよう!』
『よっしゃ!!』
セレネが叫ぶと日輪の様な輪の周囲に無数の光の剣がニョキニョキと前向きに伸びていく。それと同時にメランが背中に担いだ巨大な魔砲ライフルの照準を、まだギリギリ目覚めていない眠りについたままのカガチの無数の首の一つに定めた。
『ってーーー!!』
『うりゃーーー!!』
二人はいつの間にかぴったりと息が合う様になって、ほぼ同時に攻撃を開始した。無数の光の剣と連発された魔法弾がすいーーっとカガチの眠る首達に吸い込まれていく。
ドドドドドドーーーーーーン!!!
単純に刺さったり斬ったりするだけでは無く、ヒットした瞬間に光の剣は炸裂して複数の首が半ば辺りからべちゃっと引き千切れて転がり落ちる。メランの撃った弾も無情にカガチの頭を複数粉砕した。
ぎゃあああああ……
表現が出来ない様なおぞましい叫び声を上げて、眠っていたチマタノカガチが叩き起こされてのたうち回る。そのゆうに五百Nメートルに達する巨大さから、一瞬現実の出来事とは思えないスケールであった。
『兎幸先輩メランさん、撃ち返しがあるかも、用心しててっ!』
『はいはい』
『そうだねっ』
「凄い……なんという威力だ」
「綺麗……」
「え?」
紅蓮は素直に二機の魔ローダーの先制攻撃の威力に驚いたが、その色とりどりの閃光を綺麗と言い放ったフルエレに驚いた。
『うおりゃあああああああ!! ヌッ様も負けるなあああああ!』
人々が避難したゾーンに到達して、いよいよ本気で走り出した三百Nメートルの巨大魔ローダーヌッ様を駆るフゥーも二機に負けじと、腕を振りかぶって殴り掛かった。
ドカーーン! ドカーーーン!!
立て続けに二発殴り掛かり、巨大な爆発と共に複数の首が吹き飛ぶ。
『まだまだああああああ!! でりゃあああああああ!!!』
今度は巨大な足で首の根本から蹴り上げて斬り捨てて行く。
ドカーーン! ズズーーン!!
「くおおおおおおんん!」
『むっ』
『フゥーくん危ない!』
身を晒して接近戦を繰り広げるヌッ様は、すぐさま目を覚ました無数の首に襲い掛かられる。
『ムムッやはり必要かっ掛かれ絶対服従!!!』
後ろに控えていたモズの桃伝説が両手を前に掲げ、スキル絶対服従を掛け始めた。
しゅぱぱぱぱぱぱ……
無数のピンクの玉がヌッ様の周囲の首達に吸い込まれていく。
「きゅぴーーーーんん!!」
かろうじて巨体の中のヌッ様周辺の首にだけ掛かるのか、ヌッ様への攻撃は止める事が出来た。
『有難う御座います! これで充分です!! うおりゃああああああ!!』
再びフゥーはパンチにキックと攻撃を間髪入れずに掛け続けた。
「フルエレちゃんしんどく無い? 以前の僕はこれくらいでもう限界が近かったけど」
(美柑もいないし……)
紅蓮は操縦桿を握りながらも、フゥーを挟んで座るフルエレを気遣った。
「えっ? 全然……これからビームが出たり飛んだりする訳じゃないの?? 私、何も感じないけど」
「何だって!? 確かにフルエレちゃんが居るからか僕も全然しんどくない」
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