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Ⅴ 千岐大蛇(チマタノカガチ)
来ちゃった……Ⅱ 上
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「おっと大切な事を伝え忘れておりました。お嫌いかもしれませんがお付き合いを」
しかし貴城乃シューネはすぐさま戻って来て美柑はぎょっとした。
「何よ、趣味悪い人ねっ!」
「用件とは何かなシューネ?」
シューネは真面目な顔になって言った。
「この船は途中寄り道せずに最短距離でクラウディアに向かっております。よって七葉島にも停泊致しません。ですから若君には北回りになる前に内魔艇を御貸ししますので、それで七葉島にお帰り遊ばします様お願い致します」
シューネは頭を下げて言った。
「………………」
しかし神聖連邦帝国聖帝の息子、紅蓮アルフォードはすぐさま答える事無く黙り込んだ。
(どうしよう……今のセブンリーフは夜宵お姉さまである雪乃フルエレ女王の支配下、何処に行ってもお姉さまの影が付きまとう……新天地クラウディアか、ちょっと行ってみたいなー)
と、思いながら美柑は紅蓮の顔を見た。
「そうだね、僕はセブンリーフには帰らずこのままクラウディアに一度行ってみても良いと思うんだ。けど美柑はどうなの? もし嫌ならシューネに内魔艇を借りて一緒に帰ってもいいよ」
なんと美柑の考えている事そのままの事を言った。
「紅蓮……実は私も同じ事考えてたんだよっ! じゃあ一緒に行ってみようよっ」
紅蓮と美柑は笑顔で顔を見合わせた。
「ははっそれではその様に致しましょう。御用があればなんなりと」
シューネは再び頭を下げながら退出して行った。二人はクラウディアとはどの様な所だろうと期待に胸を膨らませたのだった。
~超短編 鳥形形態の名前を思いついたぞ~
①
―喫茶猫呼。
満面の笑顔で砂緒がセレネに構いに行った。
「セレネさんセレネさん面白い事思いつきました、聞いて下さい」
「んじゃコラー」
「わー今日もご機嫌ですね、好感度が上がりました!」
「感受性ぶち壊れてんなコラー、つまんねー事だったらタコ殴りにすっぞ」
②
「聞いて下さいププッ、蛇輪の鳥形形態の名前を思いついたんです!! ププッ思い出し笑いがっ」
「……キメーな、鳥型形態の名前だとー? でもちょっと興味深いな聞いてみようか」
砂緒は自慢げに人差し指を立てた。
「その名もオオイ〇ドリですっ!!」
「……年齢から来る膝関節の違和感や痛みに効果効能を発揮しそうな名前だなー」
③
「ハハハハハハハハハハ、やだなあ乗ってるセレネさんがイタい子だからじゃないですかー」
バキッ!!
セレネはいきなり砂緒をグーで殴り倒した。
「うぐを!?」
「お前が一番イタいんじゃボケがー!!」
殴られた瞬間、何故か砂緒の両手指は狐さんのハンドサインをしていたと伝わる……
④
「セレネ、イタドリの宝石返して頂戴、トリッシュショッピングモールに猫呼と買い物に行くの……」
「フルエレさん順応はっや」
砂緒はフルエレの声を聞いてむくっと起き上がった。
「トリッシュモールは長雨で水没したでござろう?」
「それはオゴのお店よ?」
超短編・完
その日、喫茶猫呼は雪乃フルエレ女王の機嫌が例外的に良かった事もあり、久々に客の入場制限を緩くして通常営業をしていた。すると途端に満を持して常連客が押し寄せ大繁盛状態となった。
「ほらフルエレ、三番テーブルにインスタントレギュラーコーヒー三杯運んでくれ」
セクシーなエプロン姿のイェラがフルエレに配膳を頼んだが、あからさまに嫌そうな顔をした。
「あの……私別に営業して良いって言ったけど手伝うとは言ってないわよ」
「何を勝手な事を言っている! 早く冷める前にコーヒーを運べ」
「別に何の拘りも無いインスタントコーヒーなんだし冷めても同じよ」
砂緒の舞台上では拘りの自家焙煎した珈琲を出していたが、実際にはやはりインスタントを一杯1100Nゴールドで平然と出していた。ちなみに100Nゴールドは我々の世界の貨幣価値に換算すると100円である。
「貸して下さい! 何やってんですか早くお客さんの元にお運びしないと」
こういう時だけ異常に真面目な砂緒がさっと銀盆ごと奪い去ると足早に運んで行った。
「ほら、結局砂緒がやってくれるじゃない!」
フルエレは腕を組んで勝ち誇った。
「お前は……もし顔が駄目だったら壊滅的に嫌われたろうな」
「えーーそんな事ないわよっ」
等と言いながらも皆フルエレが徐々に元気を取り戻した事にホッとしていた。
「ふぅどうですかフルエレ、いつもめんどくさいめんどくさいと言っていますが、こうしてお客さんを入れればそれはそれで活気があって良い物でしょう? フルエレももっと積極的にお手伝いしてくれれば、お客さんも喜びフルエレ自身もプライスレスな喜びを得られるはずです」
イェラとフルエレが神妙な顔をして砂緒を見た。
「砂緒はまともな事言っちゃダメ。もっと破滅的な事言ったりやったりしないといけないわ」
「貴方、私にどうなれ言うんですか」
そんなやり取りを無視してイェラが口を開いた。
「そう言えば猫呼のヤツが居ないが。何処へ行った?」
「あ、はい猫呼さまなら外に材料の買い出しに行って下さっています」
手を拭きながらイライザが教えてくれた。
しかし貴城乃シューネはすぐさま戻って来て美柑はぎょっとした。
「何よ、趣味悪い人ねっ!」
「用件とは何かなシューネ?」
シューネは真面目な顔になって言った。
「この船は途中寄り道せずに最短距離でクラウディアに向かっております。よって七葉島にも停泊致しません。ですから若君には北回りになる前に内魔艇を御貸ししますので、それで七葉島にお帰り遊ばします様お願い致します」
シューネは頭を下げて言った。
「………………」
しかし神聖連邦帝国聖帝の息子、紅蓮アルフォードはすぐさま答える事無く黙り込んだ。
(どうしよう……今のセブンリーフは夜宵お姉さまである雪乃フルエレ女王の支配下、何処に行ってもお姉さまの影が付きまとう……新天地クラウディアか、ちょっと行ってみたいなー)
と、思いながら美柑は紅蓮の顔を見た。
「そうだね、僕はセブンリーフには帰らずこのままクラウディアに一度行ってみても良いと思うんだ。けど美柑はどうなの? もし嫌ならシューネに内魔艇を借りて一緒に帰ってもいいよ」
なんと美柑の考えている事そのままの事を言った。
「紅蓮……実は私も同じ事考えてたんだよっ! じゃあ一緒に行ってみようよっ」
紅蓮と美柑は笑顔で顔を見合わせた。
「ははっそれではその様に致しましょう。御用があればなんなりと」
シューネは再び頭を下げながら退出して行った。二人はクラウディアとはどの様な所だろうと期待に胸を膨らませたのだった。
~超短編 鳥形形態の名前を思いついたぞ~
①
―喫茶猫呼。
満面の笑顔で砂緒がセレネに構いに行った。
「セレネさんセレネさん面白い事思いつきました、聞いて下さい」
「んじゃコラー」
「わー今日もご機嫌ですね、好感度が上がりました!」
「感受性ぶち壊れてんなコラー、つまんねー事だったらタコ殴りにすっぞ」
②
「聞いて下さいププッ、蛇輪の鳥形形態の名前を思いついたんです!! ププッ思い出し笑いがっ」
「……キメーな、鳥型形態の名前だとー? でもちょっと興味深いな聞いてみようか」
砂緒は自慢げに人差し指を立てた。
「その名もオオイ〇ドリですっ!!」
「……年齢から来る膝関節の違和感や痛みに効果効能を発揮しそうな名前だなー」
③
「ハハハハハハハハハハ、やだなあ乗ってるセレネさんがイタい子だからじゃないですかー」
バキッ!!
セレネはいきなり砂緒をグーで殴り倒した。
「うぐを!?」
「お前が一番イタいんじゃボケがー!!」
殴られた瞬間、何故か砂緒の両手指は狐さんのハンドサインをしていたと伝わる……
④
「セレネ、イタドリの宝石返して頂戴、トリッシュショッピングモールに猫呼と買い物に行くの……」
「フルエレさん順応はっや」
砂緒はフルエレの声を聞いてむくっと起き上がった。
「トリッシュモールは長雨で水没したでござろう?」
「それはオゴのお店よ?」
超短編・完
その日、喫茶猫呼は雪乃フルエレ女王の機嫌が例外的に良かった事もあり、久々に客の入場制限を緩くして通常営業をしていた。すると途端に満を持して常連客が押し寄せ大繁盛状態となった。
「ほらフルエレ、三番テーブルにインスタントレギュラーコーヒー三杯運んでくれ」
セクシーなエプロン姿のイェラがフルエレに配膳を頼んだが、あからさまに嫌そうな顔をした。
「あの……私別に営業して良いって言ったけど手伝うとは言ってないわよ」
「何を勝手な事を言っている! 早く冷める前にコーヒーを運べ」
「別に何の拘りも無いインスタントコーヒーなんだし冷めても同じよ」
砂緒の舞台上では拘りの自家焙煎した珈琲を出していたが、実際にはやはりインスタントを一杯1100Nゴールドで平然と出していた。ちなみに100Nゴールドは我々の世界の貨幣価値に換算すると100円である。
「貸して下さい! 何やってんですか早くお客さんの元にお運びしないと」
こういう時だけ異常に真面目な砂緒がさっと銀盆ごと奪い去ると足早に運んで行った。
「ほら、結局砂緒がやってくれるじゃない!」
フルエレは腕を組んで勝ち誇った。
「お前は……もし顔が駄目だったら壊滅的に嫌われたろうな」
「えーーそんな事ないわよっ」
等と言いながらも皆フルエレが徐々に元気を取り戻した事にホッとしていた。
「ふぅどうですかフルエレ、いつもめんどくさいめんどくさいと言っていますが、こうしてお客さんを入れればそれはそれで活気があって良い物でしょう? フルエレももっと積極的にお手伝いしてくれれば、お客さんも喜びフルエレ自身もプライスレスな喜びを得られるはずです」
イェラとフルエレが神妙な顔をして砂緒を見た。
「砂緒はまともな事言っちゃダメ。もっと破滅的な事言ったりやったりしないといけないわ」
「貴方、私にどうなれ言うんですか」
そんなやり取りを無視してイェラが口を開いた。
「そう言えば猫呼のヤツが居ないが。何処へ行った?」
「あ、はい猫呼さまなら外に材料の買い出しに行って下さっています」
手を拭きながらイライザが教えてくれた。
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