魔法の魔ローダー✿セブンリーファ島建国記(工事中2)

佐藤うわ。

文字の大きさ
上 下
470 / 588
Ⅳ セブンリーフ新北中同盟女王選定会議

フゥーの旅立ち ③ 初会談、ギルティハンド再び……

しおりを挟む
『はぁ? 今頃シャル如きに何が出来るのやら』

 スナコちゃんは渋い顔で肩をすくめた。

「……のォーーーギルティハンドッッ!! 二本立て!!」

 シャルはポケットから出した両手を前に突き出した。するとその両手は、ト〇ック劇〇版2の阿〇寛、もしくは怪〇くん、もしくはろくろっ首、もしくはつき立ての餅の様にみにょ~~~~~んと勢いよく伸び出した。

『くそっ剣は無いのか剣は!?』

 四つん這いで自らが破壊したSRVの残骸の中から剣を探すが、殆どの剣はウェカ王子が使い切りなかなか見つからない。メランの後ろに居た控えのSRV隊の残骸の中にはまだあるかも知れないが、蛇輪とル・ツー黒い稲妻Ⅱが仁王立ちしておりそこには行けない。と、その金輪こんりんの背後にシャルの伸びた腕がぐんぐんと迫り、遂には足から背中を這う様に伝って行く。

「お、おいみっともないぞ……もういいじゃないかっ」
「駄目だっ! まだまだ諦めんぞ!!」
「シューネさま……」
 
 そんなやり取りの時にギルティハンドは魔ローダーの気密性の高いハッチの顕微鏡レベルの隙間からぴょろりんと中に侵入した。

「きゃーーーっ!?」

 最初にフゥーが不審な両手を発見して叫び声を上げた。それに釣られてシューネは思わず金輪の腰を上げて周囲を警戒した。

「な、何だこれは!?」

 ブチッッ
 その瞬間、掌に目でも付いている様に正確にシューネの首にぶら下がった姫乃ソラーレからの露店のペンダントを掴むと無理やり引きちぎった。

「あっ貴様っ返せっ!!」

 シューネが叫んだ時には既に遅く、一本目の手はペンダントを掴んだまま抜け出て行ってしまった。

「まだ一本残っているぞ!!」

 猫弐矢ねこにゃが腰の剣に手を掛けた直後、残りの手は緊急脱出ハンドルを引いた……
 カチカチカチ……バンッシュバッッ!!
 小さな魔法爆発が次々に閃き、最後に金輪のハッチが飛び去って行った。直後、残りの手もあっさりと引いて行った。
 パンパン
 素早くペンダントを自分の首に掛けると、シャルは自慢げに手を払った。

「ま、俺の実力ならざっとこんな物だなっ」

『動くなっ!!』

 皆が吹き飛んだハッチであっけにとられた瞬間、メランが護身用のル・ツーの腰にぶら下がった戦闘ナイフを一瞬で抜き、開け放たれた操縦席に突き刺す勢いで切っ先を突き立てた。

「完全に勝負あったな……」
「そうですね」

 セレネに肩を貸すイェラが呟き、彼女も同意した。その時だった、突然雪乃フルエレ女王が砂緒に頼る事無く自ら蛇輪を動かし、ル・ツーの横に並ばせると腕を金輪の操縦席近くまで伸ばしハッチを開けてするすると滑り降りた。

「フルエレ危ない! 何するですかっ」

 勢いでスナコちゃんもスカートをひらめかしてフルエレの横に立った。

「出て来なさい!! この魔ローダーを動かしていた黒猫仮面ですか?? 早く姿をお見せなさい!!」

「フゥーくん隠れて!!」
「猫弐矢さまっ」

 とっさにささっと猫弐矢とフゥーは操縦席の壁に張り付く様に隠れた。直後、白い仮面を装着した黒猫仮面三世ことシューネがゆっくりと姿を現す。

「フフフ、これはこれは麗しいお姫様……うっ姫乃……殿下?」

 最後まで負けず嫌いのシューネは余裕のポーズで出て来たが、対面した金髪の少女雪乃フルエレの顔を一目見て驚いた。一瞬魔呂の画面越しに見た以上に本当に姫乃にそっくりであった。

(何だ……似ている等と言うレベルでは無い。髪の色こそ違うが姫乃に瓜二つではないか……これがたぶらかしの姫?? しかし15歳か16歳か……ふふっ丁度私と姫乃が思春期でお互いを意識して遠ざけ始めた時期……あの頃の気持ちに戻ってしまう様だ、なんと初々しくカワイイ……イヤイヤそんな場合では)

 パァーーーーーン!!
 シューネがフルエレの現実離れした美しさにトリップしている瞬間、突然フルエレは躊躇無く背負っていた魔銃ライフルを構えてシューネの白い仮面の端っこを正確に狙い撃ちした。仮面は粉々に砕け散り、シューネの頬には一筋の血が流れた。

(ぎょっ!?)

 壁に隠れる猫弐矢とフゥーは血の気が引いた。

「無礼であろう! 我らの大切な式典を穢し、あまつさえ仮面の姿で出てくるとは何事かっ! 今すぐ跪き頭を下げよ!!」
(うわっ本当に砂緒に似てるわねえ……)

 言いながらフルエレもシューネと同じ思いであった。

(この娘、躊躇なく撃った……しかもまだ全くブレる事無く正確に心臓を狙う姿勢、そしてこの目、人を殺した事のある目だ。ハッタリでは無い、それに姫乃と同じ顔と声で言われると……)

 直後、シューネはスッとその場に跪いた。

「これは申し訳ありませぬ。我としては式典に華を添えようと思ったまで。決して悪意は御座いませぬ。しかしながら雪乃フルエレ女王陛下にご不興あらば謝罪致しましょう」

 シューネは素直に頭を下げた。

(信じられない、シューネが頭を下げた)
(シューネさま……)

 しかしすぐに後ろに控えるスナコちゃんが出て来た。

「いやそれでは大怪我をしたセレネが済まない。早速拘束して拷問しまくりましょう!」

 そのままスナコちゃんは指先をわきわきさせて黒い稲妻を放出させた。

「す、砂緒さまフルエレ様、どうぞお止め下さい! 後生で御座います!!」

 その瞬間、突然操縦席の奥から姿を現したフゥーはシューネの前に立ちはだかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

貞操逆転世界の男教師

やまいし
ファンタジー
貞操逆転世界に転生した男が世界初の男性教師として働く話。

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

異世界転生漫遊記

しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は 体を壊し亡くなってしまった。 それを哀れんだ神の手によって 主人公は異世界に転生することに 前世の失敗を繰り返さないように 今度は自由に楽しく生きていこうと 決める 主人公が転生した世界は 魔物が闊歩する世界! それを知った主人公は幼い頃から 努力し続け、剣と魔法を習得する! 初めての作品です! よろしくお願いします! 感想よろしくお願いします!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 ***************************** ***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。*** ***************************** マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

処理中です...