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Ⅳ セブンリーフ新北中同盟女王選定会議
フゥーの旅立ち ② 決闘、シューネのペンダント
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「砂緒その通りだ! そんな奴の言う事は無視しろ、手足斬り落として中から奴を引き摺り出せ!!」
すかさずセレネが大声を出した。
『よっしゃー覚悟しろやボケー』
『雷の少年、ならばこれではどうだ??』
『?』
今度は貴城乃シューネが即座に反応して、再び共通魔法回線の映像付きで砂緒にコンタクトを取って来た。その映像ではシューネは手に何やらアクセサリーを持っていた。
「シューネ?」
「シューネ様?」
猫弐矢もフゥーも横で怪訝な顔をした。
「無視しろってば!」
再びイェラに寄り掛かるセレネが叫ぶ。
『これは姫乃殿下が御幼少のみぎりに、ある幼馴染の男に贈った露店で買った安物のペンダントだ』
映像でシューネはそのペンダントらしき物を前に掲げて度アップとなった。
『それがなんじゃー?』
『……これは私の真の心であり魂だ。そして私が私であると証明する唯一絶対の物だ。姫乃に会ったお前ならば、いや私と同じ顔をしたお前にしかこのペンダントの価値は分からないだろう』
価格帯こそ違うが、砂緒もセレネも新ニナルティナ湾岸都市でセレネに贈った宝石の耳飾りの事を思い出していた。
『それが何です?』
『これを決闘に賭けよう。私が勝てば無事に帰らせて貰うが、貴様が勝てばこれを授けよう。もし決闘を受けぬなら、今魔法でこのペンダントは燃やし溶かす』
「ふざけんなーーっ! こっちは先にお前の手足斬り落としてそのペンダントやらも奪うから一緒じゃボケー! はよやれや砂緒!!」
セレネが牙を剥いてがなり立てた。何となく耳飾りの件を思い出して気恥ずかしい面もあった。最も知っているのは砂緒とセレネの二人だけの話だが。
『よかろう!! その勝負受けて立つ!! 魔法剣も光の輪も雷も何も無し、剣と剣だけの真剣勝負だ』
いきなりスナコこと砂緒が受けて立ってセレネはコケた。
「アホー! 何でそんな条件を受ける!?」
『砂緒どうしたの? そんなにその姫乃って子が可愛いの?』
下の操縦席から雪乃フルエレ女王が小首を傾げて聞いて来た。砂緒なら問答無用でセレネの言う通り手足斬り捨てる様な場面だからだ。
『い、いや~フルエレには一番説明が難しいでござるよ……でもフルエレの方が何倍も美人でござるハハハ。それにあのペンダント、実は凄い魔法アイテムかも知れぬでござるよ』
もちろん凄い魔法アイテム等では無くただの露店のペンダントである、分かっててスナコは頭を掻いた。雪乃フルエレ女王と神聖連邦聖帝の娘、姫乃ソラーレは年齢こそ違えど顔と声は双子程に全く同じであった。
『礼を言うぞ雷のたぶらかしの少年! 今日こそ雌雄を決しよう、同じ顔は地上に二つも要らん!』
ボロボロの金輪は剣を構えた。
「シューネ勝てるのか?」
「私は神聖連邦の重臣なのだぞ、あんな子供に負ける訳が無かろう」
(シューネさまどうぞ勝って下さい)
フゥーは目を閉じて両手を組んで祈った。
『そのペンダント必ず頂く!!』
スナコの蛇輪も剣を両手で構えた。
『砂緒勝てるの?』
『ご安心を。伊達にイェラのおっぱい目的で早朝剣修行してた訳ではありせん!!』
『おっぱい目的だったのね……』
『あ、いや、今のは言葉の綾です』
言うまでも無いが、初めて蛇輪に乗った時と違い、今は魔法外部スピーカーと内部の通信ときっちり使い分けている。
『じゃあ私が手を振り下ろしたら決闘開始よ!』
空気を読んだメランが見届け人を買って出た。
『よかろう!』
『頼む』
ル・ツー黒い稲妻Ⅱが手を高く掲げ、二機の操縦席内と見守る人々に緊張が走った。
「ああっ砂緒さまっまたまたどうぞ勝って下さいましっ!」
七華が再び必死に祈り始めると、イェラが目を細めて渋い顔をした。
『はじめっ!!』
勢いよく手が振り下ろされた。
ガシィーーーン!!
直後に二機の魔ローダーの剣と剣が組み合い、激しい火花を散らした。さらに蛇輪は右に左に激しく剣を繰り出しシューネの金輪を追い詰める。
「くっなかなかやるなっ!」
『なんだ大した事無いじゃないですかっ!』
バシーーン! ガシーーン!!
どんどん砂緒の蛇輪の剣は激しさを増し、金輪三毛猫スペシャルは防戦一方となった。決闘を申し込んで一番恥ずかしいパターンである。しかし中で見守るフゥーは最後の一閃でシューネが逆転する物と祈った。
『まだまだ! うおおおおおおお!!!』
フゥーの無言の祈りが届いたのか、突然目覚めたシューネは激しいラッシュを繰り出した。
ガシーンバシーンガキーーン!!
『遅い!!』
ザシュッッ!!
だがむしろ逆に冷静にシューネの動きを見切った砂緒が、逆転の一閃で剣を握る金輪の片腕を斬り落とした。
ダーーーン!!
転がる片腕。
「やたーーーーっ!」
「勝ったぜ!!」
「砂緒さまっっ!」
その瞬間、見守っていたいつもの連中から歓声が上がった。
『勝負あった!! そこまでっさぁ早く降りて来なさい』
SRV隊が壊滅してイラついているメランが厳しい声を上げた。
「シューネ?」
「シューネさま……」
『嫌だっ……このペンダントは誰にも渡さん! まだまだ勝負は終わって無い!!』
金輪はしゃがんでSRV隊の残骸の中から剣を探そうと漁り始めた。
「なんつー諦めの悪いヤツだ」
さすがに皆もセレネもドン引きし始めた。
『……仕方ない操縦席を叩き割るか』
『砂緒待って!! 金色さんそこまでよっ! シャルお願いやっておしまいなさい!!』
突然雪乃フルエレがシャルに向かって叫んだ。大半の人間が訳が分からずポカーンとした中、群衆の中からシャルがひょいっと出て来て叫んだ。
「はいは~~~い、ようやく俺の出番かよ! 行っっくぜーーー!!」
飛び出たシャルはポケットに突っ込んでいた両手を出した。SRVの剣を漁るシューネはもちろん小さなシャルに全く気付いていない……
すかさずセレネが大声を出した。
『よっしゃー覚悟しろやボケー』
『雷の少年、ならばこれではどうだ??』
『?』
今度は貴城乃シューネが即座に反応して、再び共通魔法回線の映像付きで砂緒にコンタクトを取って来た。その映像ではシューネは手に何やらアクセサリーを持っていた。
「シューネ?」
「シューネ様?」
猫弐矢もフゥーも横で怪訝な顔をした。
「無視しろってば!」
再びイェラに寄り掛かるセレネが叫ぶ。
『これは姫乃殿下が御幼少のみぎりに、ある幼馴染の男に贈った露店で買った安物のペンダントだ』
映像でシューネはそのペンダントらしき物を前に掲げて度アップとなった。
『それがなんじゃー?』
『……これは私の真の心であり魂だ。そして私が私であると証明する唯一絶対の物だ。姫乃に会ったお前ならば、いや私と同じ顔をしたお前にしかこのペンダントの価値は分からないだろう』
価格帯こそ違うが、砂緒もセレネも新ニナルティナ湾岸都市でセレネに贈った宝石の耳飾りの事を思い出していた。
『それが何です?』
『これを決闘に賭けよう。私が勝てば無事に帰らせて貰うが、貴様が勝てばこれを授けよう。もし決闘を受けぬなら、今魔法でこのペンダントは燃やし溶かす』
「ふざけんなーーっ! こっちは先にお前の手足斬り落としてそのペンダントやらも奪うから一緒じゃボケー! はよやれや砂緒!!」
セレネが牙を剥いてがなり立てた。何となく耳飾りの件を思い出して気恥ずかしい面もあった。最も知っているのは砂緒とセレネの二人だけの話だが。
『よかろう!! その勝負受けて立つ!! 魔法剣も光の輪も雷も何も無し、剣と剣だけの真剣勝負だ』
いきなりスナコこと砂緒が受けて立ってセレネはコケた。
「アホー! 何でそんな条件を受ける!?」
『砂緒どうしたの? そんなにその姫乃って子が可愛いの?』
下の操縦席から雪乃フルエレ女王が小首を傾げて聞いて来た。砂緒なら問答無用でセレネの言う通り手足斬り捨てる様な場面だからだ。
『い、いや~フルエレには一番説明が難しいでござるよ……でもフルエレの方が何倍も美人でござるハハハ。それにあのペンダント、実は凄い魔法アイテムかも知れぬでござるよ』
もちろん凄い魔法アイテム等では無くただの露店のペンダントである、分かっててスナコは頭を掻いた。雪乃フルエレ女王と神聖連邦聖帝の娘、姫乃ソラーレは年齢こそ違えど顔と声は双子程に全く同じであった。
『礼を言うぞ雷のたぶらかしの少年! 今日こそ雌雄を決しよう、同じ顔は地上に二つも要らん!』
ボロボロの金輪は剣を構えた。
「シューネ勝てるのか?」
「私は神聖連邦の重臣なのだぞ、あんな子供に負ける訳が無かろう」
(シューネさまどうぞ勝って下さい)
フゥーは目を閉じて両手を組んで祈った。
『そのペンダント必ず頂く!!』
スナコの蛇輪も剣を両手で構えた。
『砂緒勝てるの?』
『ご安心を。伊達にイェラのおっぱい目的で早朝剣修行してた訳ではありせん!!』
『おっぱい目的だったのね……』
『あ、いや、今のは言葉の綾です』
言うまでも無いが、初めて蛇輪に乗った時と違い、今は魔法外部スピーカーと内部の通信ときっちり使い分けている。
『じゃあ私が手を振り下ろしたら決闘開始よ!』
空気を読んだメランが見届け人を買って出た。
『よかろう!』
『頼む』
ル・ツー黒い稲妻Ⅱが手を高く掲げ、二機の操縦席内と見守る人々に緊張が走った。
「ああっ砂緒さまっまたまたどうぞ勝って下さいましっ!」
七華が再び必死に祈り始めると、イェラが目を細めて渋い顔をした。
『はじめっ!!』
勢いよく手が振り下ろされた。
ガシィーーーン!!
直後に二機の魔ローダーの剣と剣が組み合い、激しい火花を散らした。さらに蛇輪は右に左に激しく剣を繰り出しシューネの金輪を追い詰める。
「くっなかなかやるなっ!」
『なんだ大した事無いじゃないですかっ!』
バシーーン! ガシーーン!!
どんどん砂緒の蛇輪の剣は激しさを増し、金輪三毛猫スペシャルは防戦一方となった。決闘を申し込んで一番恥ずかしいパターンである。しかし中で見守るフゥーは最後の一閃でシューネが逆転する物と祈った。
『まだまだ! うおおおおおおお!!!』
フゥーの無言の祈りが届いたのか、突然目覚めたシューネは激しいラッシュを繰り出した。
ガシーンバシーンガキーーン!!
『遅い!!』
ザシュッッ!!
だがむしろ逆に冷静にシューネの動きを見切った砂緒が、逆転の一閃で剣を握る金輪の片腕を斬り落とした。
ダーーーン!!
転がる片腕。
「やたーーーーっ!」
「勝ったぜ!!」
「砂緒さまっっ!」
その瞬間、見守っていたいつもの連中から歓声が上がった。
『勝負あった!! そこまでっさぁ早く降りて来なさい』
SRV隊が壊滅してイラついているメランが厳しい声を上げた。
「シューネ?」
「シューネさま……」
『嫌だっ……このペンダントは誰にも渡さん! まだまだ勝負は終わって無い!!』
金輪はしゃがんでSRV隊の残骸の中から剣を探そうと漁り始めた。
「なんつー諦めの悪いヤツだ」
さすがに皆もセレネもドン引きし始めた。
『……仕方ない操縦席を叩き割るか』
『砂緒待って!! 金色さんそこまでよっ! シャルお願いやっておしまいなさい!!』
突然雪乃フルエレがシャルに向かって叫んだ。大半の人間が訳が分からずポカーンとした中、群衆の中からシャルがひょいっと出て来て叫んだ。
「はいは~~~い、ようやく俺の出番かよ! 行っっくぜーーー!!」
飛び出たシャルはポケットに突っ込んでいた両手を出した。SRVの剣を漁るシューネはもちろん小さなシャルに全く気付いていない……
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