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Ⅳ セブンリーフ新北中同盟女王選定会議
フゥーの旅立ち ①
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「!」
「シッ」
その乱暴な声を聞いて、フゥーの顔がビクッとしたが即座に猫弐矢が指を立てて黙る様に諭した。
『おやおやこれは乱暴なご挨拶だな。しかし今は君の言う通り大人しくしておこうか』
『オウ、力抜けや大人しくしとけー、ザ・イ・オサ新城にしょっぴくからなオラー』
『君はいちいちオラーとか言わないと気が』
プチュッ
貴城乃シューネが何か言い掛けた所でスナコは通信を一方的に切った。
「これは良い。運搬される間、とにかく精神集中して魔力を回復させよう」
「はい、シューネさま」
「エ~~?? マジか君は」
まだまだ諦めていないシューネを見て、猫弐矢はウンザリした。
―ザ・イ・オサ新城。
「おお~~い、王子無事やったかっ! 大方の王族達は安全な地下に避難したわ。今地上におるんわ同盟でも発言権が大きいユッマランド王やら大アリリァ乃シャル王やらみたいな幹部連中だけや」
ウェカ王子や猫呼の下に瑠璃ィキャナリーが走って来た。
「ウェカ王子も瑠璃ィ様もご苦労さまです。皆に代わってお礼を言います」
雪乃フルエレ女王が居ない今、影武者の猫呼クラウディアが女王の名代として頭を下げた。
「え、ええんか? 東の地出身のウチを信用して……」
「貴方の顔を見れば何も知らなくて戸惑っておられるのが良く分かります」
実は猫呼自身も猫兄の事で肩身の狭い思いしており瑠璃ィの気持ちが良く分かった……
「安心しろ瑠璃ィ! お前が疑われない為にもボクは命を張ったんだぞ!!」
「有難うやで王子……所でなんでメアちゃん顔面を地面にめり込ませてじっとしてるんや?」
瑠璃ィの声を聞いて、そのメアはむくっと起き上がった。
「はぁ~~もう良いです! 王子と瑠璃ィさんとまた三人で楽しく過ごせたらそれで……」
「なんやよ~~分からんが良かった良かった! 一件落着や~」
良く無かった。まだ砂緒と雪乃フルエレ女王が乗る蛇輪がどうなったか、その時点では城の連中は誰も知らない。
ガシャーンガシャーーン……
『あ、あのうお取込み中申し訳無いのですが、砂緒さんかフルエレさんかセレネさん知りませんか?』
「お、おうびっくりしたなあもう」
突如大きな声がして皆が振り向くと、メランと兎幸のル・ツー黒い稲妻Ⅱが復活して皆の間近まで来ていた。
「ああっメランさん、砂緒とフルエレさんは金色を追い掛けてどっかに飛んで行った! SRV隊は壊滅したので貴方が復活してくれて良かった! 今ユッマランドから大急ぎでSRV二機を持って来てもらっています。引き続き城の警備をお願いします」
セレネがイェラに肩を貸してもらいながら大声で言った。
『エーッ? 壊滅しちゃったの……後で操縦者連中、全員鉄拳制裁ね』
メランはハッチを開けてその場に座り込んだ。
ピーーッ!!
と、その直後にル・ツーの警告音が鳴った。
「メラン蛇輪が帰って来た」
『蛇輪が帰って来たそうです!!』
「敵も一緒だよー」
『敵も一緒だそうです!!』
「なんだってーーー!?」
セレネ始め、その場に居た一同が驚愕した。てっきり金輪はまだ健在で追い掛け合いしていると思ったのだ。
「ああっ砂緒さまご無事でしたのね」
七華は軽く目に涙を滲ませた。そんな姉を五華は寄り添って見ている。
「何故貴様がそこまでヤツを心配する? もともと嫌いであったろーが?」
イェラが七華を睨んだ。
「あーら、貴方にいちいち言う必要もないですわっフンッ!」
「そうかよ、こっちも聞きたくもないな! ふんっ」
(もしかしてこの二人……)
七華とイェラはそっぽを向いた。その間でセレネは後で砂緒に色々聞くべき事があるなと思った。
ヒューーーーーーン
「え? 何の音だ??」
ドォーーーーーーン!!
「ぎゃーーーーーっ!?」
「何事よ!?」
皆がびっくりする中、ザ・イ・オサ新城の広場に金輪が落ちて来た。
『おーい皆の衆! 喜べけえって来たぞっ!』
落下して来て動かない金輪の真横に、人間形態に戻った蛇輪が降り立った。
「ふぅ~~~何だよ兎にも角にも砂緒が勝ったって事だろ? 心配したぜ~~」
騒動が起こってから姿を消していた有未レナードが突然ひょっこり姿を現した。その横には自称美人秘書の眼鏡も居た。
「おい貴様、一体今まで何処に行っていた? フルエレやセレネが居ない時は猫呼と同格の貴様が司令塔にならんと駄目ではないか。場合によっては斬るぞ!」
イェラが剣に手を掛けようとして、レナードはビクッとなった。
「お、おいおいお嬢さん、決して逃げてた訳じゃねーよ、色々と策を練ってたんだ本当さっ!」
「本当か? 疑わしい物だな」
「まあよいイェラお姉さま、今はそんな奴相手にしてる暇は無さそうだ」
セレネがイェラに教えた様に、さっきまで崩れ落ちていた金輪がよろよろと立ち上がった。
『おいテメーオラーーッ! 温情掛けてやったのに恩を仇で返すつもりかオラー?』
『さっきから何なのその口調? もしかして怪我をしたセレネの物真似してるの??』
『い、いえそういうつもりでは……』
「砂緒のヤツ、バカだな」
等と言いながらもセレネは少し照れた。
「おいシューネ、どうするつもりだ? もう大人しくお縄に付こうじゃないか」
「シューネさま?」
フゥーもいささか主人シューネの往生際の悪さに疑問を感じた。
『もはや逃げも隠れもしない。だが騎士としての意地もある。どうだ、スキルや雷などの飛び道具一切無しで魔呂の剣と剣とで最後の決闘をしてくれないか?』
『なんつー厚かましいヤツ! んなモン受ける訳ねーだろがボケー』
砂緒は即座に断った。
「シッ」
その乱暴な声を聞いて、フゥーの顔がビクッとしたが即座に猫弐矢が指を立てて黙る様に諭した。
『おやおやこれは乱暴なご挨拶だな。しかし今は君の言う通り大人しくしておこうか』
『オウ、力抜けや大人しくしとけー、ザ・イ・オサ新城にしょっぴくからなオラー』
『君はいちいちオラーとか言わないと気が』
プチュッ
貴城乃シューネが何か言い掛けた所でスナコは通信を一方的に切った。
「これは良い。運搬される間、とにかく精神集中して魔力を回復させよう」
「はい、シューネさま」
「エ~~?? マジか君は」
まだまだ諦めていないシューネを見て、猫弐矢はウンザリした。
―ザ・イ・オサ新城。
「おお~~い、王子無事やったかっ! 大方の王族達は安全な地下に避難したわ。今地上におるんわ同盟でも発言権が大きいユッマランド王やら大アリリァ乃シャル王やらみたいな幹部連中だけや」
ウェカ王子や猫呼の下に瑠璃ィキャナリーが走って来た。
「ウェカ王子も瑠璃ィ様もご苦労さまです。皆に代わってお礼を言います」
雪乃フルエレ女王が居ない今、影武者の猫呼クラウディアが女王の名代として頭を下げた。
「え、ええんか? 東の地出身のウチを信用して……」
「貴方の顔を見れば何も知らなくて戸惑っておられるのが良く分かります」
実は猫呼自身も猫兄の事で肩身の狭い思いしており瑠璃ィの気持ちが良く分かった……
「安心しろ瑠璃ィ! お前が疑われない為にもボクは命を張ったんだぞ!!」
「有難うやで王子……所でなんでメアちゃん顔面を地面にめり込ませてじっとしてるんや?」
瑠璃ィの声を聞いて、そのメアはむくっと起き上がった。
「はぁ~~もう良いです! 王子と瑠璃ィさんとまた三人で楽しく過ごせたらそれで……」
「なんやよ~~分からんが良かった良かった! 一件落着や~」
良く無かった。まだ砂緒と雪乃フルエレ女王が乗る蛇輪がどうなったか、その時点では城の連中は誰も知らない。
ガシャーンガシャーーン……
『あ、あのうお取込み中申し訳無いのですが、砂緒さんかフルエレさんかセレネさん知りませんか?』
「お、おうびっくりしたなあもう」
突如大きな声がして皆が振り向くと、メランと兎幸のル・ツー黒い稲妻Ⅱが復活して皆の間近まで来ていた。
「ああっメランさん、砂緒とフルエレさんは金色を追い掛けてどっかに飛んで行った! SRV隊は壊滅したので貴方が復活してくれて良かった! 今ユッマランドから大急ぎでSRV二機を持って来てもらっています。引き続き城の警備をお願いします」
セレネがイェラに肩を貸してもらいながら大声で言った。
『エーッ? 壊滅しちゃったの……後で操縦者連中、全員鉄拳制裁ね』
メランはハッチを開けてその場に座り込んだ。
ピーーッ!!
と、その直後にル・ツーの警告音が鳴った。
「メラン蛇輪が帰って来た」
『蛇輪が帰って来たそうです!!』
「敵も一緒だよー」
『敵も一緒だそうです!!』
「なんだってーーー!?」
セレネ始め、その場に居た一同が驚愕した。てっきり金輪はまだ健在で追い掛け合いしていると思ったのだ。
「ああっ砂緒さまご無事でしたのね」
七華は軽く目に涙を滲ませた。そんな姉を五華は寄り添って見ている。
「何故貴様がそこまでヤツを心配する? もともと嫌いであったろーが?」
イェラが七華を睨んだ。
「あーら、貴方にいちいち言う必要もないですわっフンッ!」
「そうかよ、こっちも聞きたくもないな! ふんっ」
(もしかしてこの二人……)
七華とイェラはそっぽを向いた。その間でセレネは後で砂緒に色々聞くべき事があるなと思った。
ヒューーーーーーン
「え? 何の音だ??」
ドォーーーーーーン!!
「ぎゃーーーーーっ!?」
「何事よ!?」
皆がびっくりする中、ザ・イ・オサ新城の広場に金輪が落ちて来た。
『おーい皆の衆! 喜べけえって来たぞっ!』
落下して来て動かない金輪の真横に、人間形態に戻った蛇輪が降り立った。
「ふぅ~~~何だよ兎にも角にも砂緒が勝ったって事だろ? 心配したぜ~~」
騒動が起こってから姿を消していた有未レナードが突然ひょっこり姿を現した。その横には自称美人秘書の眼鏡も居た。
「おい貴様、一体今まで何処に行っていた? フルエレやセレネが居ない時は猫呼と同格の貴様が司令塔にならんと駄目ではないか。場合によっては斬るぞ!」
イェラが剣に手を掛けようとして、レナードはビクッとなった。
「お、おいおいお嬢さん、決して逃げてた訳じゃねーよ、色々と策を練ってたんだ本当さっ!」
「本当か? 疑わしい物だな」
「まあよいイェラお姉さま、今はそんな奴相手にしてる暇は無さそうだ」
セレネがイェラに教えた様に、さっきまで崩れ落ちていた金輪がよろよろと立ち上がった。
『おいテメーオラーーッ! 温情掛けてやったのに恩を仇で返すつもりかオラー?』
『さっきから何なのその口調? もしかして怪我をしたセレネの物真似してるの??』
『い、いえそういうつもりでは……』
「砂緒のヤツ、バカだな」
等と言いながらもセレネは少し照れた。
「おいシューネ、どうするつもりだ? もう大人しくお縄に付こうじゃないか」
「シューネさま?」
フゥーもいささか主人シューネの往生際の悪さに疑問を感じた。
『もはや逃げも隠れもしない。だが騎士としての意地もある。どうだ、スキルや雷などの飛び道具一切無しで魔呂の剣と剣とで最後の決闘をしてくれないか?』
『なんつー厚かましいヤツ! んなモン受ける訳ねーだろがボケー』
砂緒は即座に断った。
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