上 下
463 / 588
Ⅳ セブンリーフ新北中同盟女王選定会議

フルエレ復活 中 大ジャンプ② 金髪美少女空を舞う

しおりを挟む
「おかしい……銀色は何をしている? どうして真剣勝負をしない??」
「動きもぎこちないままだね」
(確実にセレネくんや砂緒くんは乗っていない、誰か代用操縦者が?)

 猫弐矢ねこにゃはそう考えたが、実際には砂緒が操縦しフルエレ待ちだった。

「シューネさま、あそこを! あの金髪の少女……」
(女王陛下、フルエレさま……)

 フゥーは自分で告げ口をしてハッとして、猫弐矢ねこにゃの鋭い視線を感じた。

(そうか……フルエレ女王が)
「フゥーくん! 君がつい先程まで所属していた同盟の仮にも女王陛下じゃないか! それをいきなり敵に売る様な事して恥ずかしくないのか!!」
「そ、そういうつもりでは……」

 珍しくフゥーが押し黙った。猫弐矢は知らないが、フゥーは同盟の所属の奴隷処か、雪乃フルエレと同じ喫茶猫呼ねここに所属していた同僚でもあった。さすがに猫弐矢に指摘されて恥ずかしさを感じていた。

「フゥー気にするな。君は今立派な神聖連邦帝国の戦士だ! だから雪乃フルエレの事を売った訳じゃない。敵として当然の報告をしたまでだ。猫弐矢くんこそ失言だぞ」
「そうかな?」

 しかし素直な猫弐矢はそれ以上言い返す事が出来なかった。シューネの言葉にも一理あると思ったからだ。

「そういう事か。彼女を乗せようと必死だった訳か。彼女が乗れば銀色はいつもの様にパワーアップするのかな? ならばする事は一つ! 彼女を消す!」

 シューネが聖都であっさり瞬殺された時は、セレネ×砂緒のコンビだった訳で、仮に雪乃フルエレ×砂緒の搭乗が成立したとして、それがセレネの時程の強さがあるかは未知数であったが、そんな事はシューネはあずかり知らない事だった。

「君って奴はっ!!」

 が、その直後雪乃フルエレはジャンプするのに丁度よいSRVの装甲の破片を見つけた。

「この破片に思い切り突っ込めば大ジャンプ出来るわっ! それで砂緒の元に行ける!!」

 いつもの様に血が上って他の事に頭が回らなくなった彼女は、まっしぐらに壊れた装甲が作ったジャンプ台に向けて、ブゥンという音さえしないがアクセル全開で全速力で魔輪を突っ込ませた。

「おりゃおりゃおりゃおりゃおりぁ!!!」

『あっ助走を始めました。キャッチします!』
『はい、移動!!』

 蛇輪の砂緒はフルエレの大ジャンプを見事キャッチしやすい様に自らひたすら位置を調整した。その姿は野球の野手の様でもあった。

「待ってて砂緒! たああああああああああああああああああ!!」

 SRVの破片が作った坂に全速力で突っ込んだフルエレの魔輪は思惑通り、ぴょいいい~んと大ジャンプをした。もちろんそれでも全高25Nメートルの魔呂の操縦席には全然足りない。蛇輪は必死に手を伸ばして彼女を追った。

「アーーーッフルエレさん飛んだッ!」

 セレネイェラ始め城の人々も固唾を飲んで見守った。
 ふわり……
 飛び上がった魔輪は上至点まで来ると自由落下を始めた。それに遅れる様にふわりと金髪の美少女が中を舞った。その時彼女の手がアクセルグリップから離れる瞬間、知らずにアルベルトの指輪諸共スルリと抜け落ちていたが彼女は気付いていない。

「きゃあっ」

 それよりも彼女は思いがけず落下する勢いでスカートがふわりとめくれ上がり、真っ白いスラリとした両足が丸見えになって恥ずかしくて無意識に慌てて空中でスカートを押さえた。

『ふざけた真似をっ! スキル金輪こんりん!!』

 シューネが魔法モニターを凝視して、空中に舞うきらきら輝く金髪のふわふわ美少女をターゲットに選んだ。魔法モニター上で彼女をカーソルに捉え、背中の後光の輪から光の剣がニョキニョキと湧き出る。

「何……!? 姫乃……殿下??」

 つい無意識に空中に舞う美少女の顔に注意が向かってしまい、魔法モニターはフルエレの顔をカシャッとアップにした。その時シューネは空中に舞う美少女が彼が密かに慕う神聖連邦帝国聖帝の娘、姫乃ソラーレと瓜二つである事に気付き、一瞬で光輪の攻撃態勢は解除された。

『取った!!』

 その直後、蛇輪の掌が空中に舞う雪乃フルエレを優しくだが確実に受け取った。
 バシャッ!!
 直後に下側のハッチが開き、ライラの座る操縦席に雪乃フルエレは放り込まれた。

『砂緒、ごめんなさい!! 皆に迷惑を掛けたわっ!!』

 雪乃フルエレは珍しく乗り込んだ途端に砂緒に全力で謝罪した。

『もういいんです。私は元々フルエレとセレネと猫呼やイェラや七華五華にメランや抱悶だもんちゃんなどごく一部の女性の安全にしか興味ありませんから。貴方が無事ならそれで良いのです』

 多いな! とライラとフルエレは思ったが、何も言わなかった。

『ささっサクッとあのふざけた野郎を倒しますか?』
『そうね、ライラでは代わってくれるかしら?』
「ハッ!」

 フルエレに言われてライラはサッと席を譲り、フルエレはいつも砂緒が座る下の座席に座った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...