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Ⅳ セブンリーフ新北中同盟女王選定会議
反撃! 下 ウェカ王子とメア……
しおりを挟む「今だっ」
突然呟いたウェカ王子は、腰から華麗な装飾が施された家宝の剣をシャランと抜くと、何故か振りかぶって構えた。
「ひっ!? なんですか、正気ですか??」
「メア動くなッ!」
「え~~?」
メアの額に〇る子の如きグレーの斜線が大量に入った。トチ狂った王子にいきなり斬り殺されると思ったのだ。
シャッぱらりん……
王子が剣を振り下ろすと、メアをぐるぐる巻きにしていた縄が鮮やかに切られた。王子は避ける反射神経だけで無く、剣の腕も確かだった様だ。
「え?」
メアは何事かと怪訝な顔をした。
「……メア、今ヤツは駐機場のSRV隊に向かってて旗機にもボク達にも興味が薄れてる様だ。だからこの隙に降りてくれ。ボクはメアが下り次第旗機の盾になるか、こっちから決死の攻撃を仕掛けるか考えるよ、じゃあナッあばよっ!」
ウェカ王子は魔法モニター上の金輪の背中を凝視しつつ、メアに片手間に伝えた。途端に明るいメアが普段は見せない様な険しい顔になった。
「ちょっと待って下さい王子……」
「ああぁごめんごめん、メイドさんのメアを此処まで無理やり付き合わせた事は悪かったよ! 掌をかざすから早く降りるんだ」
「そういう意味じゃ無いです。私此処までついて来たのに、まだ王子にとって単なる一人のメイドさん扱いなんですか??」
魔法モニターを凝視していた王子は、メアの必死の問い掛けに思わず向き直した。
「いやそんな事無いよー、いつも一緒のメアが居てくれたら不安が無くなるなーと無理やり連れて来たんだ、だからごめん。もう危ないから降りてくれ!」
メアは王子の結局はぐらかした様な答えに少しイラッとした。
「……そんな言い方勝手です! 無理やりす巻きにして連れて来て、用済みになったらポイですか?」
「いや、そーいうつもりじゃ無いんだよ」
いつもメアを困らせている王子がメアに困り果てた。
「じゃあ私も最後まで操縦席に残ります! だから王子も死ぬ様な選択はしないで下さい……」
その言葉を聞いて、いつも朗らかなウェカ王子が普段見せない様なムッとした顔をしたので、メアは内心びびりまくって後悔した。
(あ、アチャー、メイド風情で王子様に偉そうに言い過ぎちゃった!?)
「……だったら、これから急に心変わりしたって、もうメアの事絶対離さないからなっ?」
王子の言葉にメアは一瞬沈黙状態になった。
「……え?」
「エ?」
本当に素朴で邪心の無い二人は、え……という事は? と言った方も言われた方もポカーンと考えた。
パラリッ
が、その二人の素敵な沈黙の時間を打ち破る様に、突如メアのセクシーなメイド服のぴちぴちに胸を覆っている薄布がいきなりぱらりと前に外れ、メアの若々しく健康的な両胸がトップから丸出しにボヨンと飛び出した。実は王子の巧過ぎる剣技が、メアのメイドの服の背中から下着まで切り落としていたのだった……
「きゃ、ギャーーーッッ!?」
「こ、こらメアーはしたないぞ、ちゃんと隠せー」
一瞬丸出しのまま硬直したメアは王子の言葉で顔を真っ赤にしてすぐに両手で隠した。しかし組んだ腕からはみ出る程の量感のある大きな胸が隠しきれない。
「も、申し訳御座いません!!」
メアは赤面しながら座席の後ろにささっと下がった。王子くらいの年齢なら神様に感謝して涙するくらいのラッキースケベ? だがメアは王子のこうしたそっけない態度はどういう事なのだろうと少し悩んだ。その直後王子は何事も無かった様に、上半身を起き上げたばかりの蛇輪の前に盾になるべく静かに移動した……
その時蛇輪の中ではライラが必死に雪野フルエレ女王の影を探していた。
「あの、何処にいるんですか?」
「申し訳ありません、陛下にそこでじっと待機してて下さいと言った場所を先程から必死に探しているのですが、どこにも見当たらないのです」
砂緒はスナコちゃんの可愛い顔のまま、眉間にシワを寄せた。
「貴方はフルエレの事を何も判って無い。あの子はじっとしてて下さいと言ってもじっとしてる様なタマではありません……」
「え、そうなんですか? てっきりお淑やかな御方だと……」
スナコは首を振った。
「よくあるパターンです、外見に騙されてます。恐らく今彼女はこっちに走って来ようとして余計な工夫をしてるハズです。じっとしてる他無いでしょう……」
「は、はぁ……」
砂緒の読んだ通りだった。今フルエレはあっさりと待機場所から移動し、戦場に早く到着する為に魔輪を探してさ迷っていた。しかもそれは自分の大切なサイドカー付き魔輪だと壊れるのが嫌なので、特に壊れても良いセレネの魔輪を必死に探している最中なのであった。
「どうした諸君、走って逃げないのかね? それくらい自分で考えたまえ」
と、その時ふわふわと宙に浮く貴城乃シューネの金輪は、怖気づいて動けない十機のSRVと強く上を睨むジェンナとカレンの搭乗するSRVの上空に到達していた。
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