魔法の魔ローダー✿セブンリーファ島建国記(工事中2)

佐藤うわ。

文字の大きさ
上 下
434 / 588
Ⅳ セブンリーフ新北中同盟女王選定会議

第三幕 戦火の嵐 下 開戦の決意~進撃

しおりを挟む
「フルエレさんを責める訳では無いけど……あの時私の進言に従っていてくれたら、大切な親友のミミィ王女とリナさんが侵略者と戦い討ち死にする事は無かったかもしれない」

 戻って来たセレネがくどくどと言って、皆からじとっとした目で見られた。

(す、砂緒さんや、あたしゃをどうしたいんだ? 嫌われキャラにしたいんか?)

 等とセレネは疑問を感じたが、普段から本当にこんな役割で似た様な事を言っているので仕方が無い。

「そうね、全て私の所為ね……ごめんなさいミミィ王女、リナさん……」

 フルエレは声を震わせた。

『セレネさんそこまで言う必要無いでしょ! フルエレ女王が一番悔やんでいるのよっ!』

 涙を滲ませながらスナコちゃんが叫ぶと、フルエレが思わずスナコの肩に手を置いた。

(スナコ貴様ぁ~~~!!)

 セレネは無言でスナコを睨んだが、スナコは一切気にしていない。

「我が愛娘ミミィとその愛する侍女リナよ、二人の命は決して無駄にはなっておらんぞ!!」

 ユッマランド王は目を閉じてしばし娘の事を思い返した。

「なーーウチさっきからこの舞台見てて、現実の歴史の流れがどんなんやったかもー分からん様になって来たんや。こんな感じやったかなあ?」

 同じく瑠璃ィるりぃキャナリーが首を傾げてウェカ王子とメアに聞いた。

「大体こんな感じじゃなかったカ~~?」
「私なんて三日前の事もあんまりよく覚えてませんよ! テヘッ」

 厳密に言えば実際にはミミィ王女とリナが自ら国境線を侵犯して戦闘が始まったのであり、侵略から領土を守って戦死したという美談な描かれ方は完全に嘘であった。しかし勝者側であるフルエレの同盟にとってそんな小さな事はどうでも良かったのだ。しかしそれは逆に言えばいつの日か仮にフルエレの同盟が何者かに敗北した時には、同じ様に歴史の勝者から悪し様に描かれる可能性があるという事だった。もちろんそんな事が無い様に砂緒はフルエレを全力で守るつもりだ……

「しかしフルエレ女王陛下、同盟の大切な一員のユッマランドが酷い目にあってもうこのまま黙って見てる訳にはいかねえな」

 有未うみレナードがフルエレに最後の決断を促した。

「その通りです。今回の事でわたくしも目が覚めました。もはやメドース・リガリァの侵略を許すつもりは毛頭ありません! これより北部海峡列国同盟は全加盟国を動員してメド国のアンジェ玻璃音はりね女王を討ち取ります!!」

 フルエレ女王は玉座から立ち上がって手を振り上げて叫んだ。

「そのお言葉をお待ち申しておりました」

 セレネは深々と頭を下げた。

『でも、具体的にどう戦いを進めるの?』

 スナコちゃんが可愛く小首を傾げた。

「それにはあたしが答えよう。よろしいか女王陛下?」
「ええ、お願いするわ」

 フルエレが許可を与えると、セレネが地図を出して皆に解説を始めた。

「我らの北部海峡列国にバックマウンテンを挟んで南に位置する、七葉後川流域小国群は主に北側のメドース・リガリァ本城の存在するSa・ga地域と、南側のミァマ地域に別れます。そして北側のSa・ga地域は古来よりメドース・リガリァとの関係が深く、隣国のカヌッソヌ等自ら進んで侵略に協力している国も多い」
『なるへそ』

 スナコちゃんが頷いてセレネがギロッと睨んだ。

「セレネそれで?」
「ええ、それに対して川の南側のミァマ地域やグルメタウン、それにタカラ山監視砦等はもともとメドース・リガリァとの関係は浅く、メド国の魔ローダーによる侵攻を恐れて渋々恭順を示した国々も多い。さらにまおう軍との境を接する神秘の小国、海と山とに挟まれた小さき王国はまだメド国に唯一従っておりません」
「ほほうぅ?」

 有未レナードが興味深げに顎を触った。セレネはフルエレの表情をちらっと見たが変化は無かった。

「よって我ら同盟はユッマランドの地上軍大兵力と我がユティトレッド魔導王国の最新鋭量産型魔ローダー部隊を合わせて七葉後川南側を進軍し、飛び石的に各国と要衝を陥落させ、あるいは恭順させ遂には海と山と国にまで辿り着き、なんとか当該国に同盟参加を促し守りを盤石にした上で北側のメド国に総攻撃を掛ける……という作戦を考えておりますが」

 地図をマジマジと見つめていたフルエレが口を開いた。

「素晴らしい作戦ね。同盟の全勢力を動員して一気にメド国を叩く……良いでしょう。許可致します」
「有難う御座います。では早速我ら出陣致しますゆえ、女王陛下は勝利の吉報をお待ち下さい!」

 セレネは喜び勇んで言った。

「待って、何を言っているの? その作戦にはこの私も参加します。先頭に立って戦うわっ!」
『え、本当なの??』

 スナコちゃんは驚いて聞き返したが、フルエレの決意は固かった。

「安心して、この首都新ニナルティナは為嘉なかアルベルトさんに守ってもらうわ……」
「ははっこのセレネ付き従い命に代えても勝利を献上してみせましょう!」

 フルエレは遠い目をしていた。砂緒はフルエレが何故こんな台詞を入れる様言ったのか良く理解出来なかった。

『こうして雪乃フルエレ女王陛下は自ら聖魔神騎を駆り、戦場に舞い降りたので御座います』


 ―ナメ国。
 王国の主、大アリリァ乃シャル王はフルエレの前で深々と頭を下げた。

「ははーーっ雪乃フルエレ女王陛下、我がナメ国これより全て同盟に恭順致します。その証に我が愛娘が半裸踊りを舞いましょうぞっ!」

(え、何故半裸??)

 セレネが怪訝な顔をする中、パンパンッとシャル王が手を叩くと、ダイエットに成功してすっかり美貌と美ボディ自慢になった娘さんが、かなり際どい衣装で情熱的な舞を舞った。

『候補者No.7 ナメ国大アリリァ乃シャル王の娘さん』

 腰を揺らす情熱的な踊りに客席の男性王族達は夢中になり、御婦人方は目を細めた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

貞操逆転世界の男教師

やまいし
ファンタジー
貞操逆転世界に転生した男が世界初の男性教師として働く話。

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...