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Ⅳ セブンリーフ新北中同盟女王選定会議
大同盟か引き渡し要求か、砂緒の選択…… 下 シューネの決意
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「あうっ痛い……」
「大丈夫か砂緒?」
スナコちゃんの額から血が流れ思わずしゃがみ込んで額に手を当てる。心配そうに抱悶が傷口を見た。
「……」
その血を見てセレネが一瞬目を見開いたが、すぐにそのまま投票会場の舞台から走り去った。
「今どえらい修羅場みたんちゃう?」
「え、そうなんですか!?」
遠くから見ていた瑠璃ィとメアが声だけで想像していた。
「スナコ大丈夫? 猫呼回復魔法掛けてあげて。それとこの場は私が仕切るから、スナコちゃんはすぐにセレネに土下座謝罪して連れ戻して!!」
雪乃フルエレ女王は、突如俊敏に動き出してセレネが放り投げた魔法マイクを拾うと、てきぱきと皆に指示を出した。
「分かったわっ!」
抱悶が登場して以降、兄の話題が出やしないかと気配を消していた猫呼が素早く回復魔法を掛けた。
「エー? 私が土下座謝罪するんですか??」
「貴方……セレネの事が好きなんでしょう? 今すぐ行くのよ」
「はい、行きます」
スナコは言われるまま、即座にセレネの後を追った。
「雪乃フルエレです皆さまお騒がせしました。体調不良の者が出た為一時会議を中断しておりました。今皆さまも御覧になられた様に、この会場に招待していたまおう軍の抱悶様が来訪されました。そしてかねてより話し合いを重ねて来た結果、今日私どもの新同盟と南のまおう軍は和平合意を達成し、さらに大同盟を成立させる運びとなりました。平和の為に勇気ある一歩を踏み出して下さったまおう軍の抱悶様に拍手をお願いします」
オオオーーーーーッ
突然のフルエレの発表によって、会場中に地響きの様などよめきが起こった。
「フルエレさまの権威はまおうをも動かしたぞ!」
「これで南の心配は無くなったわ!」
「メドース・リガリァに続いてまおう軍まで憂いが無くなったぞ」
皆口々にフルエレの権威を称えた。
「抱悶ちゃん、握手よ握手」
フルエレが小声で言った。
「おお、良かろう」
投票会場の舞台の中心で雪乃フルエレ女王とまおう抱悶は笑顔でしっかりと握手をした。再びおおーっというどよめきが起こる。
「何だと!? 何て事だ……」
貴城乃シューネが無言で立ち上がり、猫弐矢が見上げた。
(何て事だ……若君がまおう討伐を迷いに迷ってもたもた先延ばししている間に、あろう事か北部列国とまおう軍が同盟を結んでしまったではないか!! ええいこの裏切り者の蛮族共め、聖帝陛下が調略の為に書簡を送っていたココナツヒメとやらはどうなったのだ??)
シューネの言葉は錯綜しているが正確に言えばまだまおう軍は裏切者では無い。紅蓮の父、神聖連邦帝国第二百十二代聖帝は紅蓮にまおう討伐という名目の派遣で、実はまおう軍と神聖連邦の大同盟を成立させようとしていたが、その計画自体は紅蓮自身には伝えられておらず、紅蓮ならばそうした結果に至るだろうという聖帝の親としての期待と望みに過ぎなかった。また老齢の聖帝がイケメン青年のふりをして手紙を送り続けていたココナツヒメは現在再起不能になっており、神聖連邦帝国からのセブンリーフ調略は全て不発に終わっていた。
(……致し方が無い。聖帝陛下申し訳ありません、陛下の御裁可を得る前に私の一存での独断専行をお許し下さい……セブンリーフの首脳がこの場に集結している間に一挙に殲滅する事とします……)
シューネは東の地の聖帝に心の中で頭を下げた。
「猫弐矢くん、後は頼む」
一言言って立ち去ろうとするシューネの腕を猫弐矢は掴んだ。
「何処に行くつもりだよ? 妙な事すると許さないよ」
「離したまえ。どうしても行かねばならぬのだ。こうした時の為の準備もして来た」
「……まさかとは思うけど、金輪を出す気じゃないよね?」
「え、違いますけど~??」
シューネは唇を尖らせた。
「嘘が下手だね……僕の家族や国民達の命運が君たちの帝国に握られてる以上命令に従うしか無いけど……この場に居る猫呼に何かあったら許さないからな?」
猫弐矢は真剣な目で睨んだ。
「当たり前だ。君の妹は僕の妹も同然だ」
「その言い方は誤解される」
「難しい男だな」
猫弐矢が手を離すと、シューネは何処かに消えて行った。
「僕の帰り道は確保されてるんだろうね?」
猫弐矢は肩をすぼめた。その様子をフゥーが遠くから息を殺して見つめていた。
舞台袖から捌けて通路に一人佇むセレネにスナコは追い付いた。
「セレネさんすいません」
スナコは光の速さで土下座した。
「今度という今度は我慢ならない。フルエレさんのアルベルトさんを失った痛みの事を考えて発言したのに、その当のフルエレさんがあたしを裏切って、あたしなんて馬鹿みたいじゃないかっ! もう恥ずかしくて帰れないよ」
土下座した頭を上げると、セレネは泣いていた。
「セレネさん泣かないで下さい。貴方が悲しいと私まで悲しい」
「ウソ付け!」
「ホントですって!!」
「いやっ今回はいつものペースで誤魔化されないぞ。もう投票はフルエレさんとお前が中心になってやれ。あたしは一旦国に帰る」
砂緒は昔のドラマの人妻役が言う実家に帰らせて頂きます……的な台詞に衝撃を受けた。
「大丈夫か砂緒?」
スナコちゃんの額から血が流れ思わずしゃがみ込んで額に手を当てる。心配そうに抱悶が傷口を見た。
「……」
その血を見てセレネが一瞬目を見開いたが、すぐにそのまま投票会場の舞台から走り去った。
「今どえらい修羅場みたんちゃう?」
「え、そうなんですか!?」
遠くから見ていた瑠璃ィとメアが声だけで想像していた。
「スナコ大丈夫? 猫呼回復魔法掛けてあげて。それとこの場は私が仕切るから、スナコちゃんはすぐにセレネに土下座謝罪して連れ戻して!!」
雪乃フルエレ女王は、突如俊敏に動き出してセレネが放り投げた魔法マイクを拾うと、てきぱきと皆に指示を出した。
「分かったわっ!」
抱悶が登場して以降、兄の話題が出やしないかと気配を消していた猫呼が素早く回復魔法を掛けた。
「エー? 私が土下座謝罪するんですか??」
「貴方……セレネの事が好きなんでしょう? 今すぐ行くのよ」
「はい、行きます」
スナコは言われるまま、即座にセレネの後を追った。
「雪乃フルエレです皆さまお騒がせしました。体調不良の者が出た為一時会議を中断しておりました。今皆さまも御覧になられた様に、この会場に招待していたまおう軍の抱悶様が来訪されました。そしてかねてより話し合いを重ねて来た結果、今日私どもの新同盟と南のまおう軍は和平合意を達成し、さらに大同盟を成立させる運びとなりました。平和の為に勇気ある一歩を踏み出して下さったまおう軍の抱悶様に拍手をお願いします」
オオオーーーーーッ
突然のフルエレの発表によって、会場中に地響きの様などよめきが起こった。
「フルエレさまの権威はまおうをも動かしたぞ!」
「これで南の心配は無くなったわ!」
「メドース・リガリァに続いてまおう軍まで憂いが無くなったぞ」
皆口々にフルエレの権威を称えた。
「抱悶ちゃん、握手よ握手」
フルエレが小声で言った。
「おお、良かろう」
投票会場の舞台の中心で雪乃フルエレ女王とまおう抱悶は笑顔でしっかりと握手をした。再びおおーっというどよめきが起こる。
「何だと!? 何て事だ……」
貴城乃シューネが無言で立ち上がり、猫弐矢が見上げた。
(何て事だ……若君がまおう討伐を迷いに迷ってもたもた先延ばししている間に、あろう事か北部列国とまおう軍が同盟を結んでしまったではないか!! ええいこの裏切り者の蛮族共め、聖帝陛下が調略の為に書簡を送っていたココナツヒメとやらはどうなったのだ??)
シューネの言葉は錯綜しているが正確に言えばまだまおう軍は裏切者では無い。紅蓮の父、神聖連邦帝国第二百十二代聖帝は紅蓮にまおう討伐という名目の派遣で、実はまおう軍と神聖連邦の大同盟を成立させようとしていたが、その計画自体は紅蓮自身には伝えられておらず、紅蓮ならばそうした結果に至るだろうという聖帝の親としての期待と望みに過ぎなかった。また老齢の聖帝がイケメン青年のふりをして手紙を送り続けていたココナツヒメは現在再起不能になっており、神聖連邦帝国からのセブンリーフ調略は全て不発に終わっていた。
(……致し方が無い。聖帝陛下申し訳ありません、陛下の御裁可を得る前に私の一存での独断専行をお許し下さい……セブンリーフの首脳がこの場に集結している間に一挙に殲滅する事とします……)
シューネは東の地の聖帝に心の中で頭を下げた。
「猫弐矢くん、後は頼む」
一言言って立ち去ろうとするシューネの腕を猫弐矢は掴んだ。
「何処に行くつもりだよ? 妙な事すると許さないよ」
「離したまえ。どうしても行かねばならぬのだ。こうした時の為の準備もして来た」
「……まさかとは思うけど、金輪を出す気じゃないよね?」
「え、違いますけど~??」
シューネは唇を尖らせた。
「嘘が下手だね……僕の家族や国民達の命運が君たちの帝国に握られてる以上命令に従うしか無いけど……この場に居る猫呼に何かあったら許さないからな?」
猫弐矢は真剣な目で睨んだ。
「当たり前だ。君の妹は僕の妹も同然だ」
「その言い方は誤解される」
「難しい男だな」
猫弐矢が手を離すと、シューネは何処かに消えて行った。
「僕の帰り道は確保されてるんだろうね?」
猫弐矢は肩をすぼめた。その様子をフゥーが遠くから息を殺して見つめていた。
舞台袖から捌けて通路に一人佇むセレネにスナコは追い付いた。
「セレネさんすいません」
スナコは光の速さで土下座した。
「今度という今度は我慢ならない。フルエレさんのアルベルトさんを失った痛みの事を考えて発言したのに、その当のフルエレさんがあたしを裏切って、あたしなんて馬鹿みたいじゃないかっ! もう恥ずかしくて帰れないよ」
土下座した頭を上げると、セレネは泣いていた。
「セレネさん泣かないで下さい。貴方が悲しいと私まで悲しい」
「ウソ付け!」
「ホントですって!!」
「いやっ今回はいつものペースで誤魔化されないぞ。もう投票はフルエレさんとお前が中心になってやれ。あたしは一旦国に帰る」
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