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Ⅳ セブンリーフ新北中同盟女王選定会議

まおう抱悶、降臨 下 半透明、ココナツヒメの扱い……

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「何じゃあ? 自分達の同盟と会議に箔を付ける為に、来ないと思い込んでおったワシを第四候補等と祭り上げておいて、何を怖い顔しとるんじゃ? お主前に会った時はキャッ新婚旅行みたいヤダーとか言っておったろーが。キャラが変わっておるぞよ」

 セレネはそう言えばそんな事もあったなっとチラッとスナコとフルエレを見比べたが、直ぐに真面目モードに直した。

抱悶だもんちゃん真面目な話だ。君は瞬間移動のスキルを持つ青白い半透明の装甲に覆われたル・ワンという魔ローダーに乗った、ココナツヒメという凶悪な氷の魔女を知らないか? 砂緒とあたし達はずっとその女と戦っていたんだ」

 セレネの問いに抱悶は来たなという顔をした。

「それはル・ワン玻璃の宮、そしてそれに乗るココナツヒメはワシの家臣、いや一番の重臣じゃ! 今も我が領内に生きておる」

 抱悶の言葉によってその場は凍り付き、再び警備兵達に緊張が走った。

『ココナツヒメが抱悶ちゃんの家来? じゃあまおう軍所属だったの?』
「でも私達がメドース・リガリァと戦ってる間、ずっとあの国の軍隊と一緒に襲って来たわよ?」

 雪乃フルエレ女王とスナコは不審に思った。

「……つまり、これまでの戦争は全て君が裏で糸を引いて操っていたとでも言うのか? そうならもう完全に敵だ。大同盟も何も無い!!」

 セレネは緊張しつつ剣の柄を握ろうとした。

「慌てるでない!! そうではないわっ。信じてくれぬかも知れぬがワシがあ奴を信じて放任しておる間に、あ奴は我が軍の魔呂や魔戦車を各国に横流しして戦争を長引かせておったのじゃ。何故あ奴がそんな事をしておったのか分からんのじゃ。しかしそれはワシの監督不行き届きであり落ち度でもある。それについては謝ろう……」

 抱悶は熊耳の付いた可愛い頭をペコリと微妙な角度にだが下げた。だがセレネはより一層恐ろしい顔になった。

「……全て部下がやった事で知らなかっただと? ココナツヒメを放任しておっただと?? 一瞬だが抱悶ちゃんと旅が出来た事はあたしの中で忘れられない一生の思い出だ。今でもしんどい時は砂緒と南の島々を旅した事を思い返して乗り切るくらいだ……」
『セレネ……』
「セレネ……」

 フルエレとスナコはほぼ同時に彼女の名前を呼んだ。

「だが、あのメド国との戦いでミミィ王女やリナ、それにフルエレさんの大切な人まで死んだ。その結果の重大さを考えればあたしは失った命達を裏切る事は出来ない。君との同盟なんて無理だ。少なくとも此処にココナツヒメを連れて来いと言いたい。みんなの前で処刑する!」
「セレネ、貴方そこまで」

 フルエレも自分が当事者であるとようやく理解出来た。

「……もうココナツヒメが各国の戦争を煽ったり、自らが魔ローダーに乗って暴れる事は無いのじゃ。此処に連れて来る事も難しい」
『どうして?』

 セレネが切れる前に今度はスナコが聞いた。

「あ奴は今や何も分らん様になって動けんようになって車椅子の上じゃ。常に我が兵に監視もさせておる」

 思いがけない言葉に皆どんよりと重い空気になった。

「そ、そんな事信じられるかっ! とにかく今回の話はナシだっ!!」

 セレネは首を振った。

「……信じてくれぬかもしれぬが、ワシは政治にも外交にも戦争にも興味が無く、いつも熊達と遊び惚けておった。確かにその間に全てあ奴に仕事を押し付けていたワシの落ち度じゃ。しかし最強硬派のあ奴がリタイアした以上、これからのまおう軍は完全に方針転換をする。その手始めに一緒に旅をした砂緒とセレネが実権を握る同盟と友好を深めに来たのじゃ……もちろん雪乃フルエレとも話し合う為じゃ」

『アタシ別に実権を握ってないわ……普段から肉付きの薄いセレネさんの尻にひかれてるわよ?』
「砂緒真面目な時に余計な事を言わないの! 私は、私は抱悶ちゃんと話し合っても良い。ううん、それどころかセブンリーフ大同盟は願っても無い事よ!」

 雪乃フルエレはスッと手を伸ばそうとしたが、すぐにセレネに遮られた。

「フルエレさんそれで良いのか? ココナツヒメの煽った戦争でアルベルトさんが巻き込まれて亡くなってしまったんだぞ!? 許せるのか??」

 一瞬だがフルエレは黙り込んで抱悶はじっと見た。

「許せない。今でも……アルベルトさんの事を想ったら一瞬で涙が出るのよ」
『フルエレ……』

 スナコは心配気に彼女を見た。

「じゃあ?」
「でも……アルベルトさんが必死に守った平和を保つ為にこの子は来たのよ、この子とアルベルトさんは同じ方向を見ているわ。それにこの子の目を見てて良くありがちな政治家の責任逃れとは思えないの。本当にココナツヒメの行動を知らなかっただけかもしれない。セレネと砂緒はどうなの? 一緒に旅をした時の抱悶ちゃんとこの子は違う子なの??」

 フルエレの必死な訴えにセレネは抱悶の目をじっと見た。

『セレネさん……』

 スナコはセレネの手をそっと握った。
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