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Ⅳ セブンリーフ新北中同盟女王選定会議
貴城乃シューネ追い出される 下② 気付かない初対面
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「七華! 目覚めたんですか?」
「あら……貴方もしかして砂緒さま? 少し見ない間になんて可憐なお姿に」
七華はスナコちゃんの全身を上から下までくまなく見た。
「よく分かりましたねえ、姿も声も完全に女体化してるはずですが……」
「分かりますとも、わたくしと砂緒さまの只ならぬ仲ではありませんか……いやですわ」
七華は言いながら少し頬を赤らめてスナコの肩を軽く押した。
「へェーーー、只ならぬ仲ねえ?」
「ちょっと詳しく聞いてみたいわぁ」
「あへ? どうしてフルぇ」
「あばーーー!! はいはいそれはね、雪布瑠ちゃんの悲しい過去が……」
「ぐむむ??」(ゆき・ふるちゃん?)
七華が妖しいパピヨンマスクのフルエレを見て思わず名前を呼びそうになり、スナコが慌てて口を押さえる。その慌てようを見て、賢い七華は何かあると思ってそれ以上は何も言うのを止めた。なにしろ彼女自身が貴城乃シューネという砂緒そっくりな男と旅をしている最中だったからだ。
「はは、楽しい仲間の様だね! それじゃあ僕はこの辺で……」
言いながら紅蓮は横たわるシューネを肩に担ごうとする。
「待てい!!」
しかし即座にセレネが剣先を向けて制止する。
「だからセレネ貴方話聞いてますの? その白マスク男はお父様の正式な外交使節で客分なのですわ。貴方お父様の、リュフミュランの顔を潰すおつもり?」
「はぁ? 面目潰れる様な事する人間が悪いんだろうが、そんな事知ったこっちゃないねえ」
紅蓮に剣を向けていたセレネが、今度は七華に怒りを向ける。
「はは、まあまあセレネさんも七華もそんなプリプリ怒らないで!!」
「砂緒さまは黙ってて下さいな!」
「お前は黙れや」
「むぐう」
美少女二人同時に怒りを向けられて黙るスナコちゃんだった。
「お父様は神聖連邦帝国の政治に大変興味がおありでしたわ。貴方が不遜な態度でいると、お父様のお心がますます離れてしまいますわよ」
「何様なんだ、リュフミュランがどうだって言うんだ??」
「なんですって??」
この二人はとにかく反りが合わない様だ……
「セレネ、今回は七華の言う事を聞いてあげて頂戴。結局マスクの男は殺人とかした訳じゃないし、ぎりぎり許せる範囲で終わっているわ」
「フル、雪さん、そんな甘い考えでは……」
「お願い、私からのお願いよ、今回はこの者共を追放するだけで許してあげて?」
「雪……」
七華は仲が悪いと思っていた雪乃フルエレからの助け舟に意外という気持ちだったが、セレネは逆に大いに不満だった。
「……そんな事では同盟の結束が」
「お願いよ」
「……はい、貴方のお願いなら仕方ないですね」
半ば命令に渋々従う形になった。
「セレネさん、聞いてくれて有難う」
「うるさいわ、スナコちゃんにお礼言われたくないわ」
そんな四人を紅蓮はじっと観察していた。
(あのパピヨンちゃんの言葉をセレネちゃんが渋々従った??)
「ねえ、パピヨンちゃんは何て名前なのかな? 結構可愛い?」
今度は雪に声を掛け始めた紅蓮を見て、セレネはコケた。
「真面目そうな顔して、お前割と見境無しかよ?」
「私パピヨンちゃんじゃないわ、雪ちゃんよ」
しかし今度は雪から直接声を聞いて、紅蓮は何故かどきっとした。
「あれ……君何処かで会った事あるかな? そのパピヨンマスク外せないの??」
とうとう紅蓮が、実は彼の姉姫乃ソラーレと顔と声が全く同じ雪乃フルエレの素性に興味を持ち始めた。そしてそれは彼の大切なパートナー、美柑の姉探しの答えでもあった。遂に彼は探し求める雪乃フルエレと初対面している事に気付いていなかった。
「あらあら何とも古いタイプのアプローチですこと、おほほほ」
七華は先程のお礼では無いが、二人の間に割って入って誤魔化した。紅蓮の態度で彼女も何かの秘密があるのだろうとピーンと来たのだった。
「そうよね、雪ちゃんは貴方になんて興味は無いのよ、オホホホ」
スナコちゃんも七華に合わせて雪を守った。
「んで、それよか雪さんこの後どーすんで?」
「セレネえっと、まず結界魔器を一回切ってリセットしてから再起動して、その後にこの二人を追放すれば、魔力の波長が認識されててもう結界張ってるから中に再侵入は出来なくなるわよ」
「そうね、じゃあそうしましょう!」
スナコも手を合わせて賛成した
「おーじゃあ女体ともお別れだな」
「そ、そうね、じゃあアタシちょっとおトイレに行ってくるわ」
しかしスナコのその言葉の直後に、セレネがガシッと腕を掴んだ。
「お前は結界再起動するまで単独行動禁止な!」
「いやおトイレが……」
「我慢しろ」
セレネは恐ろしい顔でスナコを睨んだ。
「はひ」
「面白い二人だね!」
「うるさいわ! お前ら変な行動しない様に、マスク担いで付いて来い」
「はいはい」
紅蓮はセレネに言われると、事も無げに寝転ぶシューネを肩にひょいっと片腕で担いだ。
「じゃあわたくしはこの猫耳庭師が猫呼ちゃんに悪さしないか見張っておきますわよ」
七華は気絶したままの黒猫スーツ猫弐矢と庭師猫弐矢を見比べて言った。
「七華さん十分気を付けて下さい、この庭師どんな度すけべえか分かりませんからな!」
「わしゃあ何もせんぞ! 心外じゃよ……」
等と言いながらスナコちゃんとセレネと雪とシューネを担いだ紅蓮は玉座の間へ急いだ。
「あら……貴方もしかして砂緒さま? 少し見ない間になんて可憐なお姿に」
七華はスナコちゃんの全身を上から下までくまなく見た。
「よく分かりましたねえ、姿も声も完全に女体化してるはずですが……」
「分かりますとも、わたくしと砂緒さまの只ならぬ仲ではありませんか……いやですわ」
七華は言いながら少し頬を赤らめてスナコの肩を軽く押した。
「へェーーー、只ならぬ仲ねえ?」
「ちょっと詳しく聞いてみたいわぁ」
「あへ? どうしてフルぇ」
「あばーーー!! はいはいそれはね、雪布瑠ちゃんの悲しい過去が……」
「ぐむむ??」(ゆき・ふるちゃん?)
七華が妖しいパピヨンマスクのフルエレを見て思わず名前を呼びそうになり、スナコが慌てて口を押さえる。その慌てようを見て、賢い七華は何かあると思ってそれ以上は何も言うのを止めた。なにしろ彼女自身が貴城乃シューネという砂緒そっくりな男と旅をしている最中だったからだ。
「はは、楽しい仲間の様だね! それじゃあ僕はこの辺で……」
言いながら紅蓮は横たわるシューネを肩に担ごうとする。
「待てい!!」
しかし即座にセレネが剣先を向けて制止する。
「だからセレネ貴方話聞いてますの? その白マスク男はお父様の正式な外交使節で客分なのですわ。貴方お父様の、リュフミュランの顔を潰すおつもり?」
「はぁ? 面目潰れる様な事する人間が悪いんだろうが、そんな事知ったこっちゃないねえ」
紅蓮に剣を向けていたセレネが、今度は七華に怒りを向ける。
「はは、まあまあセレネさんも七華もそんなプリプリ怒らないで!!」
「砂緒さまは黙ってて下さいな!」
「お前は黙れや」
「むぐう」
美少女二人同時に怒りを向けられて黙るスナコちゃんだった。
「お父様は神聖連邦帝国の政治に大変興味がおありでしたわ。貴方が不遜な態度でいると、お父様のお心がますます離れてしまいますわよ」
「何様なんだ、リュフミュランがどうだって言うんだ??」
「なんですって??」
この二人はとにかく反りが合わない様だ……
「セレネ、今回は七華の言う事を聞いてあげて頂戴。結局マスクの男は殺人とかした訳じゃないし、ぎりぎり許せる範囲で終わっているわ」
「フル、雪さん、そんな甘い考えでは……」
「お願い、私からのお願いよ、今回はこの者共を追放するだけで許してあげて?」
「雪……」
七華は仲が悪いと思っていた雪乃フルエレからの助け舟に意外という気持ちだったが、セレネは逆に大いに不満だった。
「……そんな事では同盟の結束が」
「お願いよ」
「……はい、貴方のお願いなら仕方ないですね」
半ば命令に渋々従う形になった。
「セレネさん、聞いてくれて有難う」
「うるさいわ、スナコちゃんにお礼言われたくないわ」
そんな四人を紅蓮はじっと観察していた。
(あのパピヨンちゃんの言葉をセレネちゃんが渋々従った??)
「ねえ、パピヨンちゃんは何て名前なのかな? 結構可愛い?」
今度は雪に声を掛け始めた紅蓮を見て、セレネはコケた。
「真面目そうな顔して、お前割と見境無しかよ?」
「私パピヨンちゃんじゃないわ、雪ちゃんよ」
しかし今度は雪から直接声を聞いて、紅蓮は何故かどきっとした。
「あれ……君何処かで会った事あるかな? そのパピヨンマスク外せないの??」
とうとう紅蓮が、実は彼の姉姫乃ソラーレと顔と声が全く同じ雪乃フルエレの素性に興味を持ち始めた。そしてそれは彼の大切なパートナー、美柑の姉探しの答えでもあった。遂に彼は探し求める雪乃フルエレと初対面している事に気付いていなかった。
「あらあら何とも古いタイプのアプローチですこと、おほほほ」
七華は先程のお礼では無いが、二人の間に割って入って誤魔化した。紅蓮の態度で彼女も何かの秘密があるのだろうとピーンと来たのだった。
「そうよね、雪ちゃんは貴方になんて興味は無いのよ、オホホホ」
スナコちゃんも七華に合わせて雪を守った。
「んで、それよか雪さんこの後どーすんで?」
「セレネえっと、まず結界魔器を一回切ってリセットしてから再起動して、その後にこの二人を追放すれば、魔力の波長が認識されててもう結界張ってるから中に再侵入は出来なくなるわよ」
「そうね、じゃあそうしましょう!」
スナコも手を合わせて賛成した
「おーじゃあ女体ともお別れだな」
「そ、そうね、じゃあアタシちょっとおトイレに行ってくるわ」
しかしスナコのその言葉の直後に、セレネがガシッと腕を掴んだ。
「お前は結界再起動するまで単独行動禁止な!」
「いやおトイレが……」
「我慢しろ」
セレネは恐ろしい顔でスナコを睨んだ。
「はひ」
「面白い二人だね!」
「うるさいわ! お前ら変な行動しない様に、マスク担いで付いて来い」
「はいはい」
紅蓮はセレネに言われると、事も無げに寝転ぶシューネを肩にひょいっと片腕で担いだ。
「じゃあわたくしはこの猫耳庭師が猫呼ちゃんに悪さしないか見張っておきますわよ」
七華は気絶したままの黒猫スーツ猫弐矢と庭師猫弐矢を見比べて言った。
「七華さん十分気を付けて下さい、この庭師どんな度すけべえか分かりませんからな!」
「わしゃあ何もせんぞ! 心外じゃよ……」
等と言いながらスナコちゃんとセレネと雪とシューネを担いだ紅蓮は玉座の間へ急いだ。
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