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Ⅳ セブンリーフ新北中同盟女王選定会議
フルエレ一味のリュフミュラン出張 上 投票日決定……
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「レナードさんは黙っていて下さい」
「うっ」
「正直に気持ちを言えば、ライス氏が仲間が死んでも常に生き残るアルベルトさんを不死身のアルベルトとなじった事が彼の死に繋がったのではないかと恨んでいます」
フルエレの言葉で砂緒とセレネの顔が一層恐ろしい顔になり、命の危険を感じたライス氏は硬直したまま冷や汗を流し黙り込んだ。
「返す言葉も御座いません……」
ライス氏は首を差し出す様にうな垂れた。
「ただ……そんな運命は誰にも証明出来ない事。今はアルベルトさんが必死に守ったこの国の政治を立て直す事を考えましょう。私はアルベルトさんの記憶を共有する者として貴方に政治を委ねましょう。レナードさんと協力して私を盛り立てて下さい」
「陛下……」
信じられないという顔でライス氏が頭を上げるとフルエレはゆっくりと彼の手を取った。どういう意味の物かは分からないがフルエレの目からは涙が溢れていた。
―久々の同盟女王ご臨席重臣会議開始。
「今回は久々にネコミミの付いていない本物の女王陛下がご臨席されるぞ、皆畏まってお言葉に耳を傾けろ」
レナード自身は良く知っているフルエレなのでいつもの調子で始めたが……女王がしずしずと入場すると、途端に議場に緊張感が走った。自ら戦装束で先陣に立ち敵国を滅ぼした雪乃フルエレ女王の権力はもはや以前の物では無かった。
「皆、私の居ない間も国を守り続けて下さってありがとう。まずは先の首都襲撃で命を落とした者達の為に黙祷を捧げましょう」
女王の言葉で皆が目を閉じしばし黙祷をした。
「皆、苦しい事もあったでしょうがまたこうして重臣会議に集まってくれた事を嬉しく思う。皆で協力して同盟と新ニナルティナを盛り立てて行こうぞ。ではまずは今回から私の母親違いの弟が参加する事をお知らせします。砂緒と言います、彼もメド国攻めで大いに戦功を挙げた猛者ですからね……」
(お父様ごめんなさい、浮気者にしてしまいました)
「オッス、オラ砂緒だっ! よろしくなっ!」
砂緒は無表情のまま片手をピッと上げた。砕けた口調とは裏腹に笑ってない三白眼は非情に恐ろしく冷たく見えた。この様に昇進したイライザの兄ニィル等も含め、フルエレは身内で周囲を固めており、皮肉な事に国のナンバー2のアルベルトが消えた事で、その権力は以前と比べ揺るぎない物となっていた。
「それと今回は特別にユティトレッド魔導王国からセレネ王女がオブザーバーとして参加されます」
「どもっ」
スーツ姿のセレネも不機嫌に憮然とした顔でちょこっと頭を下げた。途端にざわつく場内。
「なんと……我々を下位に見るだけでは飽き足らず、とうとう王女を送り込んで来たか?」
「アルベルト殿が亡くなった途端に遂に直接支配を強化するつもりか!?」
「女王陛下はどうなされるおつもりなのか」
一斉に重臣達が訝しがって口々に批判を始めた。
「皆、お黙りなさい。セレネ王女も同盟軍総司令官として一緒に戦ってくれた戦友、私の真の友です。侮辱する事は許しませんよ」
フルエレの言葉一つで議場はシーンとなった。
「安心してくれ、あたしは乗っ取りに来た訳じゃないぞ。今回会議に出るのもフルエレさんに頼まれたからだ。嫌なら今すぐ出て行くからな」
「コラッ余計な事言わないでっ。ごほんっ、彼女も来るべき北部中部新同盟女王選定会議に正式に立候補する事になった、だから私が強くこの会に出る様にお勧めしたのです。皆もそのつもりで」
「しまった! 図られたッフルエレさんそのつもりであたしを無理やり出席させたのか」
「むふふ、残念でした」
重臣達が逆らえなくなっただけでは無く、フルエレ自身も気付かない内に心に余裕が生まれていた。
「では女王陛下、新同盟女王選定会議の日取りと場所をお決めになったのですか?」
事前の手はず通りライス氏がしれっと立ち上がって聞いた。
「おおっライス師が復帰されたのだな」
軽くざわついたがライス氏は一切無視した。
「ライス師よ良く聞いてくれました、いつまでも伸ばす訳には行きません。戦後新たに同盟の絆を強くする為にも、私は二週間後に三十七人の王達を一堂に集め、新たな女王を決める投票を行うと決めました」
「二週間後……」
再びざわつく会議場。
「では女王陛下、投票会議の場所は何処に?」
「そうですねフルエレ、コ・ウサ・コの神殿跡等は?」
「それについては以前と同様にリュフミュランの海の見える神殿か小島の神殿が良いかと……どうお思いかセレネ王女」
「北部海峡列国同盟から中部七葉後川流域が参加する事になった以上、前の様に海峡に面した海の見える神殿では悪かろうと……やはり新加盟する中部の国々を尊重してタカラ山新城が良いのではないかと」
「おおタカラ山新城ですかあそこは景色も良く……」
「しかしセレネ王女、タカラ山新城では逆に北部列国に不満が出ませんか? 新たな同盟は我らを蔑ろにするのかと」
「何故二人は私を無視する?」
フルエレもセレネも会議が壊れない様に必死に砂緒を無視し続けた。
「そうですね、では知恵者のライス氏に聞いてみれば如何でしょうか?」
最後に少し嫌味っぽくセレネは言った。
「それならば、私がハルカ城城代として勤めた経験から言わせて頂けば、今回王達が一同に会するに最適の場所が一つありまする」
「ほほう何処かな?」
「北部列国にも中部諸国にも睨みが効き、そして外からの脅威の守りの要となる中心の地、それがザ・イ・オサ新城だと思っております。その地が王達が一同に会するに最適かと」
ライス氏の言葉に皆が口々に話した。
「おおっ我ら新ニナルティナからも近く、中部諸国の地で最大兵力のユッマランドとの丁度中間地点、そして滅ぼしたばかりのメド国にも近い、まさに中心の地……」
「出来たばかりの新城のあそこならば各国の顔も立つ、まさに最適な場所」
「むむっ私の意見など無視して会議が進みますね」
ムッとした砂緒をフルエレがヴェール越しに笑顔で見つめた。
「うっ」
「正直に気持ちを言えば、ライス氏が仲間が死んでも常に生き残るアルベルトさんを不死身のアルベルトとなじった事が彼の死に繋がったのではないかと恨んでいます」
フルエレの言葉で砂緒とセレネの顔が一層恐ろしい顔になり、命の危険を感じたライス氏は硬直したまま冷や汗を流し黙り込んだ。
「返す言葉も御座いません……」
ライス氏は首を差し出す様にうな垂れた。
「ただ……そんな運命は誰にも証明出来ない事。今はアルベルトさんが必死に守ったこの国の政治を立て直す事を考えましょう。私はアルベルトさんの記憶を共有する者として貴方に政治を委ねましょう。レナードさんと協力して私を盛り立てて下さい」
「陛下……」
信じられないという顔でライス氏が頭を上げるとフルエレはゆっくりと彼の手を取った。どういう意味の物かは分からないがフルエレの目からは涙が溢れていた。
―久々の同盟女王ご臨席重臣会議開始。
「今回は久々にネコミミの付いていない本物の女王陛下がご臨席されるぞ、皆畏まってお言葉に耳を傾けろ」
レナード自身は良く知っているフルエレなのでいつもの調子で始めたが……女王がしずしずと入場すると、途端に議場に緊張感が走った。自ら戦装束で先陣に立ち敵国を滅ぼした雪乃フルエレ女王の権力はもはや以前の物では無かった。
「皆、私の居ない間も国を守り続けて下さってありがとう。まずは先の首都襲撃で命を落とした者達の為に黙祷を捧げましょう」
女王の言葉で皆が目を閉じしばし黙祷をした。
「皆、苦しい事もあったでしょうがまたこうして重臣会議に集まってくれた事を嬉しく思う。皆で協力して同盟と新ニナルティナを盛り立てて行こうぞ。ではまずは今回から私の母親違いの弟が参加する事をお知らせします。砂緒と言います、彼もメド国攻めで大いに戦功を挙げた猛者ですからね……」
(お父様ごめんなさい、浮気者にしてしまいました)
「オッス、オラ砂緒だっ! よろしくなっ!」
砂緒は無表情のまま片手をピッと上げた。砕けた口調とは裏腹に笑ってない三白眼は非情に恐ろしく冷たく見えた。この様に昇進したイライザの兄ニィル等も含め、フルエレは身内で周囲を固めており、皮肉な事に国のナンバー2のアルベルトが消えた事で、その権力は以前と比べ揺るぎない物となっていた。
「それと今回は特別にユティトレッド魔導王国からセレネ王女がオブザーバーとして参加されます」
「どもっ」
スーツ姿のセレネも不機嫌に憮然とした顔でちょこっと頭を下げた。途端にざわつく場内。
「なんと……我々を下位に見るだけでは飽き足らず、とうとう王女を送り込んで来たか?」
「アルベルト殿が亡くなった途端に遂に直接支配を強化するつもりか!?」
「女王陛下はどうなされるおつもりなのか」
一斉に重臣達が訝しがって口々に批判を始めた。
「皆、お黙りなさい。セレネ王女も同盟軍総司令官として一緒に戦ってくれた戦友、私の真の友です。侮辱する事は許しませんよ」
フルエレの言葉一つで議場はシーンとなった。
「安心してくれ、あたしは乗っ取りに来た訳じゃないぞ。今回会議に出るのもフルエレさんに頼まれたからだ。嫌なら今すぐ出て行くからな」
「コラッ余計な事言わないでっ。ごほんっ、彼女も来るべき北部中部新同盟女王選定会議に正式に立候補する事になった、だから私が強くこの会に出る様にお勧めしたのです。皆もそのつもりで」
「しまった! 図られたッフルエレさんそのつもりであたしを無理やり出席させたのか」
「むふふ、残念でした」
重臣達が逆らえなくなっただけでは無く、フルエレ自身も気付かない内に心に余裕が生まれていた。
「では女王陛下、新同盟女王選定会議の日取りと場所をお決めになったのですか?」
事前の手はず通りライス氏がしれっと立ち上がって聞いた。
「おおっライス師が復帰されたのだな」
軽くざわついたがライス氏は一切無視した。
「ライス師よ良く聞いてくれました、いつまでも伸ばす訳には行きません。戦後新たに同盟の絆を強くする為にも、私は二週間後に三十七人の王達を一堂に集め、新たな女王を決める投票を行うと決めました」
「二週間後……」
再びざわつく会議場。
「では女王陛下、投票会議の場所は何処に?」
「そうですねフルエレ、コ・ウサ・コの神殿跡等は?」
「それについては以前と同様にリュフミュランの海の見える神殿か小島の神殿が良いかと……どうお思いかセレネ王女」
「北部海峡列国同盟から中部七葉後川流域が参加する事になった以上、前の様に海峡に面した海の見える神殿では悪かろうと……やはり新加盟する中部の国々を尊重してタカラ山新城が良いのではないかと」
「おおタカラ山新城ですかあそこは景色も良く……」
「しかしセレネ王女、タカラ山新城では逆に北部列国に不満が出ませんか? 新たな同盟は我らを蔑ろにするのかと」
「何故二人は私を無視する?」
フルエレもセレネも会議が壊れない様に必死に砂緒を無視し続けた。
「そうですね、では知恵者のライス氏に聞いてみれば如何でしょうか?」
最後に少し嫌味っぽくセレネは言った。
「それならば、私がハルカ城城代として勤めた経験から言わせて頂けば、今回王達が一同に会するに最適の場所が一つありまする」
「ほほう何処かな?」
「北部列国にも中部諸国にも睨みが効き、そして外からの脅威の守りの要となる中心の地、それがザ・イ・オサ新城だと思っております。その地が王達が一同に会するに最適かと」
ライス氏の言葉に皆が口々に話した。
「おおっ我ら新ニナルティナからも近く、中部諸国の地で最大兵力のユッマランドとの丁度中間地点、そして滅ぼしたばかりのメド国にも近い、まさに中心の地……」
「出来たばかりの新城のあそこならば各国の顔も立つ、まさに最適な場所」
「むむっ私の意見など無視して会議が進みますね」
ムッとした砂緒をフルエレがヴェール越しに笑顔で見つめた。
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