上 下
353 / 588
Ⅳ セブンリーフ新北中同盟女王選定会議

謎の美少女スナコちゃん登場!! の巻 上

しおりを挟む

 イェラが包丁を握りながら怖い顔で振り返った。

「いい加減聞いてやれ、聞いてやらんと帰れないパターンだぞ!」
「流石イェラ優しいですー」
「はぁ~~仕方ないな、ここは砂緒と付き合ってるあたしが犠牲になろうか」
(えっ付き合ってる事になってるの!?)

 セレネの発言にフルエレはギョッとした。

「あ~~砂緒さん、この一番下の謎の美少女スナコちゃんってな何なんだよ?」
「………………何だと思います?」

 砂緒は頬を赤らめチラッと皆を見ながら片腕を上げ小声で言った。

「めんどくさいわあああ!!!」
「はよ結果出せやっ!!」

 遂にブチギレたイェラが包丁を振り上げ、セレネが砂緒の胸ぐらを掴んだ。

「は、はい分かりました。では此処に謎の美少女スナコちゃんお連れするので、しばし待って頂けますか?」

 砂緒は胸ぐらを掴むセレネを必死になだめつつ、遂に謎の美少女スナコちゃんを連れて来る決心を固めた。

「…………おう、早くしろよ」
「早くしてね……大体想像は付くけどね」

 その場に居た猫呼とフルエレとイェラとセレネは特に期待する事無く渋い顔で待つ事とした。

「ではメラーーーン、早速兎幸うさこを起こして来て下され!!」
「何で私が!?」

 等と言いつつも呼ばれたメランは渋々と兎幸を起こしに行った。


 ―何も無い殺風景な砂緒の自室。

「も~~~砂緒なにい? 寝てたのにっ!!」

 兎幸は眠い眼をこすりながら部屋中をきょろきょろ見た。メランも初めて砂緒の部屋に入りドキドキしていた。

「お、男の子の部屋に初めて入ってしまった!!」
「ささっ此処に、こんな事もあろうかと最近の若い女どもに人気のプチプラコスメを買い集めて起きましたっ」
「怖すぎるわっっ!!」
(コイツ、マジでやばい人なんじゃ……告白解除してて良かったあー)
「わぁ~~いっぱいある可愛い~~」

 兎幸は可愛いケースに入ったコスメグッズを見て行く。

「さあっ兎幸、貴方の自動魔法人形の能力で、私の顔面を3D精密スキャンして下さいっ!」
「あいあい!!」

 ピカッ!!
 兎幸の両目が光り、あらゆる角度から砂緒の顔面をスキャニングし始めた。

「スナコちゃーーーん、スーパーーーマジカルメイクアーーーーープッ!!」

 砂緒は片腕を天高く掲げると突然大声で叫んだ。

「え、何々!? どうしたっ??」
「砂緒はマジカルメイクアップと叫ぶと、サポートメカの兎幸が約四十五分の一瞬でのっぺりした顔を謎の美少女に変身させる最適なメイク術を提供するのだっっ!!」
「…………前々から壊れてたけど、さらに壊れた!?」

 メランは天高く片腕を上げた砂緒を呆然と見た。

「さっぼーっとしている暇はありませんよ、メランは兎幸と協力してさっさと四十五分以内にメイクを完成させて下さい! こんな事をお願い出来るのは私を振った貴方しか居ないのです!!」
「嬉しく無いわよ……なんていう陰湿な報復の方法……」


 ―四十分経過……

「はぁはぁ……さすが兎幸ちゃん、なんとか形になって来たわっ」
「ふふ、最後にカラコンを装着して三白眼を解消、そして地毛と同色の銀髪のおさげ髪カツラを装着……」
「あと五分、砂緒さんが密かに購入してた可愛い服に着替えて変身完了よ……ってまだ脱ぐなキャー」

 慌ててメランは部屋を飛び出た。


 ―そして着替えに手こずって結局合計一時間後……。

「皆さん! 遂にスナコちゃんやって来ましたよ~~って皆死んだ目をして床で三角座りして待ってたの!?」
「だってお前らが待てと言うから」
「何か他の事しながら待てばいいじゃない!?」
「フルエレ、セレネ、スナコちゃん来たぞ~~~」

 兎幸が笑顔で調理場に入って来た。

「よし皆大爆笑する準備だぞ」
「可哀そうよ……せめてクスクス笑いにしましょう……」

 コツコツコツ……
 厚底パンプスの音が鳴り響き、一同は唾を飲み込んだ。その直後、すすっと伏目がちの色白美少女が、可愛いブラウスにヒラヒラのミニスカートを纏い調理場に恥ずかしそうに入って来た……

(あれ?)
(……何コレ一番リアクションに困る……)

 爆笑しようと待ち構えていた一同は意外にそこそこ可愛い美少女の登場に拍子抜けした。

「なんだ可愛いではないかっ!」
「う、うんそうだな」

 遂にイェラが口火を切り、セレネが同意した。

「腕とか足まで凄く色が白いけど何か塗ってるの??」
「いえ違いますよ、身体の表面だけ硬化して大理石の乳白色にしてるんです。それで色白に」

 フルエレの問いに砂緒はいつもの調子で話しただけだが、美少女の外見でいつもの声は不気味だった。

「ああやっと砂緒だと確信出来たわ。でも清楚なコスチュームに比べて胸が大きすぎると思うの。詰め物を取った方が良いわぁ」

 フルエレが頬に手を当てて真剣にアドバイスした。

「フルエレさん真面目だなっ!」
「こうですか??」

 言われて砂緒がすぐに胸元から腕を突っ込んだので、皆偽物だと分かっていてもドキドキした。すぐに二つの大きめの詰め物が取り出され、胸元がすっきりした。

「こんな感じでしょうか?」
「うんうん! こっちの方が清潔感があって良いわね!! 完成形よ」

 だが服の元々の形状なのか胸に微かな膨らみが残り、ここにいる全員が砂緒はブラジャーを装着しているのか怖くて恐ろしくて聞く事が出来なかった。それは永遠の謎であろう……
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...