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Ⅳ セブンリーフ新北中同盟女王選定会議
謎の美少女スナコちゃん登場!! の巻 上
しおりを挟むイェラが包丁を握りながら怖い顔で振り返った。
「いい加減聞いてやれ、聞いてやらんと帰れないパターンだぞ!」
「流石イェラ優しいですー」
「はぁ~~仕方ないな、ここは砂緒と付き合ってるあたしが犠牲になろうか」
(えっ付き合ってる事になってるの!?)
セレネの発言にフルエレはギョッとした。
「あ~~砂緒さん、この一番下の謎の美少女スナコちゃんってな何なんだよ?」
「………………何だと思います?」
砂緒は頬を赤らめチラッと皆を見ながら片腕を上げ小声で言った。
「めんどくさいわあああ!!!」
「はよ結果出せやっ!!」
遂にブチギレたイェラが包丁を振り上げ、セレネが砂緒の胸ぐらを掴んだ。
「は、はい分かりました。では此処に謎の美少女スナコちゃんお連れするので、しばし待って頂けますか?」
砂緒は胸ぐらを掴むセレネを必死になだめつつ、遂に謎の美少女スナコちゃんを連れて来る決心を固めた。
「…………おう、早くしろよ」
「早くしてね……大体想像は付くけどね」
その場に居た猫呼とフルエレとイェラとセレネは特に期待する事無く渋い顔で待つ事とした。
「ではメラーーーン、早速兎幸を起こして来て下され!!」
「何で私が!?」
等と言いつつも呼ばれたメランは渋々と兎幸を起こしに行った。
―何も無い殺風景な砂緒の自室。
「も~~~砂緒なにい? 寝てたのにっ!!」
兎幸は眠い眼をこすりながら部屋中をきょろきょろ見た。メランも初めて砂緒の部屋に入りドキドキしていた。
「お、男の子の部屋に初めて入ってしまった!!」
「ささっ此処に、こんな事もあろうかと最近の若い女共に人気のプチプラコスメを買い集めて起きましたっ」
「怖すぎるわっっ!!」
(コイツ、マジでやばい人なんじゃ……告白解除してて良かったあー)
「わぁ~~いっぱいある可愛い~~」
兎幸は可愛いケースに入ったコスメグッズを見て行く。
「さあっ兎幸、貴方の自動魔法人形の能力で、私の顔面を3D精密スキャンして下さいっ!」
「あいあい!!」
ピカッ!!
兎幸の両目が光り、あらゆる角度から砂緒の顔面をスキャニングし始めた。
「スナコちゃーーーん、スーパーーーマジカルメイクアーーーーープッ!!」
砂緒は片腕を天高く掲げると突然大声で叫んだ。
「え、何々!? どうしたっ??」
「砂緒はマジカルメイクアップと叫ぶと、サポートメカの兎幸が約四十五分の一瞬でのっぺりした顔を謎の美少女に変身させる最適なメイク術を提供するのだっっ!!」
「…………前々から壊れてたけど、さらに壊れた!?」
メランは天高く片腕を上げた砂緒を呆然と見た。
「さっぼーっとしている暇はありませんよ、メランは兎幸と協力してさっさと四十五分以内にメイクを完成させて下さい! こんな事をお願い出来るのは私を振った貴方しか居ないのです!!」
「嬉しく無いわよ……なんていう陰湿な報復の方法……」
―四十分経過……
「はぁはぁ……さすが兎幸ちゃん、なんとか形になって来たわっ」
「ふふ、最後にカラコンを装着して三白眼を解消、そして地毛と同色の銀髪のおさげ髪カツラを装着……」
「あと五分、砂緒さんが密かに購入してた可愛い服に着替えて変身完了よ……ってまだ脱ぐなキャー」
慌ててメランは部屋を飛び出た。
―そして着替えに手こずって結局合計一時間後……。
「皆さん! 遂にスナコちゃんやって来ましたよ~~って皆死んだ目をして床で三角座りして待ってたの!?」
「だってお前らが待てと言うから」
「何か他の事しながら待てばいいじゃない!?」
「フルエレ、セレネ、スナコちゃん来たぞ~~~」
兎幸が笑顔で調理場に入って来た。
「よし皆大爆笑する準備だぞ」
「可哀そうよ……せめてクスクス笑いにしましょう……」
コツコツコツ……
厚底パンプスの音が鳴り響き、一同は唾を飲み込んだ。その直後、すすっと伏目がちの色白美少女が、可愛いブラウスにヒラヒラのミニスカートを纏い調理場に恥ずかしそうに入って来た……
(あれ?)
(……何コレ一番リアクションに困る……)
爆笑しようと待ち構えていた一同は意外にそこそこ可愛い美少女の登場に拍子抜けした。
「なんだ可愛いではないかっ!」
「う、うんそうだな」
遂にイェラが口火を切り、セレネが同意した。
「腕とか足まで凄く色が白いけど何か塗ってるの??」
「いえ違いますよ、身体の表面だけ硬化して大理石の乳白色にしてるんです。それで色白に」
フルエレの問いに砂緒はいつもの調子で話しただけだが、美少女の外見でいつもの声は不気味だった。
「ああやっと砂緒だと確信出来たわ。でも清楚なコスチュームに比べて胸が大きすぎると思うの。詰め物を取った方が良いわぁ」
フルエレが頬に手を当てて真剣にアドバイスした。
「フルエレさん真面目だなっ!」
「こうですか??」
言われて砂緒がすぐに胸元から腕を突っ込んだので、皆偽物だと分かっていてもドキドキした。すぐに二つの大きめの詰め物が取り出され、胸元がすっきりした。
「こんな感じでしょうか?」
「うんうん! こっちの方が清潔感があって良いわね!! 完成形よ」
だが服の元々の形状なのか胸に微かな膨らみが残り、ここにいる全員が砂緒はブラジャーを装着しているのか怖くて恐ろしくて聞く事が出来なかった。それは永遠の謎であろう……
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