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Ⅳ セブンリーフ新北中同盟女王選定会議

貴城乃シューネ、リュフミュランへ行く 上

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「うむ、そこな少女どうしたのかな?」

 顔色一つ変えず、貴城乃シューネは突然大量の牛乳をマーライオンの様に吹いた伽耶クリソベリルと猫弐矢ねこにゃの顔を冷静に品定めする様に見比べた。

「い、いえ、考え事をしていまして……」
(まずい、伽耶ちゃんと僕があの時砂緒くん達と聖都ナノニルヴァに蛇輪で行ってた事がバレてる?? いやいや旧都では兎も角、ナノニルヴァには箱に乗っててチョロッと顔を出したかどうか程度……いやっあの金色の魔ローダーの魔法カメラで捉えられてて録画されてたかも? どっちだ、カマ掛けてるだけかそれとも何か確証があって捕縛されるのか? いやいやいや捕縛される時はどんな事があっても結局最後は捕縛される、ならば今の最善の策はすっとぼける事では??)

 焦りまくる伽耶を見ながら猫弐矢は冷静を装い考えていた。

「アハハッ伽耶ちゃんは牛乳が苦手でよく噴水の様に吹き出すのですよ。えっとそれと確か貴城乃シューネ様にそっくりな少年、ですか?? 何なのですかそれはちょっと話が良く見えないのですが……当然知らないですけど?」

 猫弐矢は至って平静を装いながらすっとぼけて答えた。

「ほほう、確か猫弐矢殿は最近突然予定外に旧都に訪問されて、それと同時期に不審魔ローダーによる聖都襲撃事件があったもので、何かご存じかと思ったが失礼したなフフ」
「何とその様な恐ろしい事があったのですか!? それは聖帝陛下と姫乃殿下はご無事でしたのでしょうか? 恐ろしい事もある物ですね」

 突然旧都に訪問した事実は無視して大袈裟に驚いてみせた。

「ふむ、さもありなん。聖帝陛下にも姫乃殿下にも害は無くご無事であった」
「我々は二人で謎の銀色の機体と戦ってな、えらい騒動であったわっハハハ」

 夜叛モズが再び大声で笑ったが、猫弐矢はやはり無視をした。

「失礼します……」

 伽耶は服を着替える為に部屋から逃げる様に出て行った。


 その後、戻って来た伽耶も共に、神殿建設予定地近くの西の砂浜にやって来た。

「この浜の向こうに荒涼回廊やセブンリーフ島があるのです。将来新神殿が完成した暁にはこの国にやって来る者達への新しいランドマークとなる事でしょう、期待に胸が膨らむ想いですな」

 猫弐矢は先程の事があるので神聖連邦帝国に大袈裟に迎合した事を言った。

「……そんな物言いは君らしくないね……」
「ナヌッ!?」
(貴様に僕の何が分かるっ!?)

 大袈裟に迎合した事をいきなり接待相手の貴城乃シューネに完全否定されて、危うくキレ掛ける猫弐矢だったが、なんとか耐えた。

「あははっこれはいいですなあっ」

 見透かされて夜叛モズにまで笑われ、猫弐矢はさらにムッとした。

「猫弐矢さま……」
(いいから早く帰れや~~~)

 いつも朗らかで平和的な猫弐矢の接待による気苦労に伽耶は心を痛めた。

「この砂浜に来たのは丁度良かった、実は猫弐矢殿貴方に一つお願いがあったのだ」
「は、はて何でしょうか?」

 また何かシューネに無理難題を言われるのかと思い猫弐矢は気が重くなった。

「実は私はこの後、此処に夜叛モズを置いてセブンリーフ島のリュフミュランに親善外交の為に赴くつもりなのだよ……」

 (ホッそんな話か……一人でも減ってくれてラッキーだ)

「なななんと、それは残念です。もっとごゆっくりされて行かれれば良かった物を……」
「いやそういう訳にも行かぬのだよ」
「それで、頼み事とは? 何なりと言って下さい」

 ホッとした猫弐矢は満面の笑顔で聞いた。

「うむ、実はそのリュフミュラン行に猫弐矢殿に是非同行して頂きたい」
「えっ」

 猫弐矢は一瞬言葉に詰まった。

「何を言うのですか!? 猫弐矢さまは仮にも伝統あるクラウディア王国の現代表です、それをあたかも我が部下か猫か犬かの様に連れ去る等とは失礼にも程がありますぞっ!」
「仮にも……とか、猫とか犬って伽耶ちゃん用法合ってるかな? ソレ……」

 しかし猫弐矢は伽耶の言った本意自体は否定しなかった。
 
「これは命令である、歯向かうおつもりかな?」

(その為の魔ローダーだったか……)

 猫弐矢は一瞬迷ったが、すぐに気持ちを切り替え従う事に決めた。

「いえ、伽耶よ神聖連邦からの御使者に失礼であるぞ、謝りなさい」
「えっ? そんな猫弐矢さま……」

 猫弐矢を庇ったつもりなのに、たしなめられて俯く伽耶。

「分かりました。貴城乃シューネ様に従いリュフミュランに赴きましょう。私も以前からセブンリーフに渡った兄の行方を捜したかったのです」
「うむ快諾して頂いて助かりました」
「ほほほ、お嬢さん我らは仲良く留守番と致しましょう」
「………………」

 伽耶は暗い顔をした。

「伽耶ちゃん許しておくれ、決して強制じゃない以前から行きたいと思っていたんだ。それと、もしあの変態鳥仮面からお酌を強要されたりセクハラタッチをされた時は構わず短魔銃で撃つのだよ!」
「はい!!」
「聞こえておるぞ?」
「ただし貴城乃シューネさま、即日出航はさすがに僕も無理です。出来れば出発は明日にして頂きたい!」

 猫弐矢はこれは譲れないという決意の顔でシューネを見た。

「良いでしょう。では明日出発致しましょう」
「はい……」

 そうして皆は浜を後にして旧宮殿に戻って行った。

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