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III プレ女王国連合の成立
メド国市街大混乱 侵攻開始……
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『お急ぎ下さい、あと残り1時間四十五分でメドース・リガリァ総攻撃が開始されます。皆さまお誘いあわせの上こぞってお逃げ下さい』
兎幸の魔ローンが各種センサーで動けない人を探知しながら、魔法録音した退避勧告音声を流し続ける。もはや機械的に繰り返し流されるその音声は人々の恐怖の的になっていた。
「何が飛んでいるの? あの丸い物体は何??」
「何だあれは!? 何でメドース・リガリァ軍は対応しない?」
「メド国の魔ローダーは全部潰されたらしい……」
「そんな私達はどうなってしまうの!?」
「避難しろってどこへ行けばいいんだ」
「東も西も敵軍が張り付いているらしい、北の山か南に逃げるしか無い……」
「私はパン屋なのよ、オーブンはどうやって運ぶの!?」
「誰か機織機を運ぶのを手伝っておくれ」
街で行き交う人々は大混乱となり、慌てふためいて逃げ始めた。
「さあお前、早く逃げるぞっ」
「おじいさん私は生れたこの街で死んで行くよ……」
「何を言ってるんだっ!」
「いやっ何処にも行きませんっ」
家から出ない老婆を主人のお爺さんが必死に引っ張っていく。この様に逃げる事を最初から諦めたり放棄している者達も多数いた。
「スピネル! スピネルという人を知りませんかっメドース・リガリァの剣士なの! ああ、お願い早く戻って来て」
弁当屋の娘は大混乱の街の中でひたすらスピネルの帰りを待っていた。しかし最後に出撃して以降、ぱったりと彼との連絡は付かなくなっていた。
「あの子よっあの着飾った子、あの娘は貴嶋協力者の弁当屋の娘よ、スピネルという剣士に媚びを売って取り入っていた女よっ! この街をこんなにした責任者の一人よっ」
以前スピネルと親しい弁当屋の娘に対して、抜け駆けよ~と嫉妬していたスピネル取り巻きの娘達が、大混乱の中腹いせに弁当屋の娘を吊るし上げようと追いかけて来た。
「娘さん方、貴嶋協力者とは何処の誰かな? 俺達に詳しく教えてくれんか?」
その娘達に数人のガラの悪そうな、メド国軍服を着崩した男達が話し掛けた。
「ひっ貴方達は? 外の同盟軍と戦って下さらないの??」
「俺達は今日たった今結成された、メドース・リガリァ革命派軍だっ、今は外の敵よりもこの国を破滅に追いやった貴嶋一派に懲罰を加える活動を開始したのだ」
「同盟軍さま大歓迎さっ。同盟軍様が入城される前に異分子を排除してるのさっへへ」
娘達はあからさまにガラの悪そうな男達に一瞬怯んだが、自分達がターゲットにされない様に、遠くで見つめる弁当屋の娘に一斉に指を指した。
「あ、あの子よ、あの高そうな身分不相応のドレスを着た子、あの弁当屋の娘はスピネルという幹部の剣士に取り入っていい目を見ていた女なんです」
「ほほう……あの娘がねえ」
「俺スピネルって聞いた事あるぜ。魔呂に乗ってたとかでブイブイ言わせてたらしいな」
「気に入らない兵士に勝手に罰を与えてたりもしてたらしい」
「そりゃかなり悪質な独裁協力者だな……」
「それにしてもあの娘、かなりの上物だな……」
今日発足した自称メド国革命派軍の男達は、舌なめずりしながら弁当屋の娘を見た。
「ドレスの下はかなりいい体してると見たぜ」
「これは懲罰のしがいがあるな、ヒヒ」
怪し気な男達にじろりと見られ、恐怖を感じた弁当屋の娘は走り出した。
(パパ、ママ、ごめんなさい、私のせいで大変な事になってしまった、早く逃げて!)
「見ろ、逃げやがった!」
「追い掛けろっひひっ」
自称メド国革命派軍は一斉に弁当屋の娘を追い掛けた。その顛末を見て多少の罪悪感を感じた元スピネル取り巻きの娘達は、怖くなって慌てて自分達の避難を再開した。
バリバリバリ、ガラガラガラ……
「きゃあっ一体なんだい!?」
建物の壁が突然巨大な魔法マジックハンドで取り壊され、ベッドで動けない人物を取り出して乗り合い馬車に乗せる。
『ふぅ、これで一応蛇輪の予定進行方向に居る動けない人達は全員強制避難させたけど!?』
「あの者達は同盟軍のミャマ地域軍のキャンプに収容しよう……ま、そんな事をしても偽善と言われるだろうがな」
兎幸の魔法通信を聞いていたセレネが呟いた。
「フルエレ、もうすぐ予定の二時間になりますが、本当に全面侵攻を開始しますか?」
砂緒がいつしか黙り込んで操縦席に三角座りをしていた雪乃フルエレ女王に優しく聞いた。
「うん」
「意志は固いようですね。セレネ、我々が七葉後川流域の平定戦争を開始した時から、各国の城壁都市を征服する度に、どれだけ配慮してもある程度の数の犠牲者が出ていたのです。今回はこの様に警告を発しただけ優しいモノです。気にする必要はありませんよ」
「や、やっぱり……」
砂緒の話を聞いていたフルエレが遮る様にふいに話し出した。
「やっぱり?」
「魔ローダーと魔戦車と地上兵は本城を速やかに落とす為に予定通り城壁内に全軍侵攻させるわ。だけど街をメチャメチャに破壊するのは止めておく……なるべく市民に被害は出さない様にして……けど、本城は予定通り蛇輪でメチャメチャに踏み潰すわ」
「ええ、そうしましょう」
砂緒は最初からメド国市民などどうでも良かったが、いつものフルエレに少し戻ったのが嬉しくてにこっと笑った。
「フルエレさん予定時間となったぞ!」
セレネがフルエレの顔を見た。
「私が、全軍侵攻開始を命令するわ」
Y子の黒いコスチューム姿の雪乃フルエレ女王が操縦席の前でゆっくりと立ち上がって、魔法通信と外部スピーカーで同時に命令を下そうと腕を振り上げかけた。
「待って下さい、汚れ仕事は私がやります。女王はあくまで皆に慈愛を示す存在で居て下さい」
「慈愛って難しい事言い出したな。じゃああたしがやろう!」
「いや私が……」
砂緒もセレネも堂々巡りは良く無いと思い、すぐに黙った。
「よし、じゃ砂緒言ってくれ!」
「はいでは……」
砂緒は魔法モニターの前に立ち、腕を振り上げた。
『これより同盟軍全軍、メドース・リガリァ城壁内に侵攻を開始する! 狙うは本城ただ一つ、避難する市民を踏むな! 建物もなるべく無意味に壊すなっ』
『という事です。イェラさん衣図ライグさんお願いしますよっ』
メランも命令を復唱した。しかし、この命令はカヌッソヌ軍には徹底されなかった……
「よ~~し、カヌッソヌ軍五千、張り切ってメドース・リガリァの連中を蹂躙しろ!! 行け!!」
「おおお~~~~!!」
「行け~~~!!」
カヌッソヌ軍は城壁内の市街区にいきなり火をかけた……
兎幸の魔ローンが各種センサーで動けない人を探知しながら、魔法録音した退避勧告音声を流し続ける。もはや機械的に繰り返し流されるその音声は人々の恐怖の的になっていた。
「何が飛んでいるの? あの丸い物体は何??」
「何だあれは!? 何でメドース・リガリァ軍は対応しない?」
「メド国の魔ローダーは全部潰されたらしい……」
「そんな私達はどうなってしまうの!?」
「避難しろってどこへ行けばいいんだ」
「東も西も敵軍が張り付いているらしい、北の山か南に逃げるしか無い……」
「私はパン屋なのよ、オーブンはどうやって運ぶの!?」
「誰か機織機を運ぶのを手伝っておくれ」
街で行き交う人々は大混乱となり、慌てふためいて逃げ始めた。
「さあお前、早く逃げるぞっ」
「おじいさん私は生れたこの街で死んで行くよ……」
「何を言ってるんだっ!」
「いやっ何処にも行きませんっ」
家から出ない老婆を主人のお爺さんが必死に引っ張っていく。この様に逃げる事を最初から諦めたり放棄している者達も多数いた。
「スピネル! スピネルという人を知りませんかっメドース・リガリァの剣士なの! ああ、お願い早く戻って来て」
弁当屋の娘は大混乱の街の中でひたすらスピネルの帰りを待っていた。しかし最後に出撃して以降、ぱったりと彼との連絡は付かなくなっていた。
「あの子よっあの着飾った子、あの娘は貴嶋協力者の弁当屋の娘よ、スピネルという剣士に媚びを売って取り入っていた女よっ! この街をこんなにした責任者の一人よっ」
以前スピネルと親しい弁当屋の娘に対して、抜け駆けよ~と嫉妬していたスピネル取り巻きの娘達が、大混乱の中腹いせに弁当屋の娘を吊るし上げようと追いかけて来た。
「娘さん方、貴嶋協力者とは何処の誰かな? 俺達に詳しく教えてくれんか?」
その娘達に数人のガラの悪そうな、メド国軍服を着崩した男達が話し掛けた。
「ひっ貴方達は? 外の同盟軍と戦って下さらないの??」
「俺達は今日たった今結成された、メドース・リガリァ革命派軍だっ、今は外の敵よりもこの国を破滅に追いやった貴嶋一派に懲罰を加える活動を開始したのだ」
「同盟軍さま大歓迎さっ。同盟軍様が入城される前に異分子を排除してるのさっへへ」
娘達はあからさまにガラの悪そうな男達に一瞬怯んだが、自分達がターゲットにされない様に、遠くで見つめる弁当屋の娘に一斉に指を指した。
「あ、あの子よ、あの高そうな身分不相応のドレスを着た子、あの弁当屋の娘はスピネルという幹部の剣士に取り入っていい目を見ていた女なんです」
「ほほう……あの娘がねえ」
「俺スピネルって聞いた事あるぜ。魔呂に乗ってたとかでブイブイ言わせてたらしいな」
「気に入らない兵士に勝手に罰を与えてたりもしてたらしい」
「そりゃかなり悪質な独裁協力者だな……」
「それにしてもあの娘、かなりの上物だな……」
今日発足した自称メド国革命派軍の男達は、舌なめずりしながら弁当屋の娘を見た。
「ドレスの下はかなりいい体してると見たぜ」
「これは懲罰のしがいがあるな、ヒヒ」
怪し気な男達にじろりと見られ、恐怖を感じた弁当屋の娘は走り出した。
(パパ、ママ、ごめんなさい、私のせいで大変な事になってしまった、早く逃げて!)
「見ろ、逃げやがった!」
「追い掛けろっひひっ」
自称メド国革命派軍は一斉に弁当屋の娘を追い掛けた。その顛末を見て多少の罪悪感を感じた元スピネル取り巻きの娘達は、怖くなって慌てて自分達の避難を再開した。
バリバリバリ、ガラガラガラ……
「きゃあっ一体なんだい!?」
建物の壁が突然巨大な魔法マジックハンドで取り壊され、ベッドで動けない人物を取り出して乗り合い馬車に乗せる。
『ふぅ、これで一応蛇輪の予定進行方向に居る動けない人達は全員強制避難させたけど!?』
「あの者達は同盟軍のミャマ地域軍のキャンプに収容しよう……ま、そんな事をしても偽善と言われるだろうがな」
兎幸の魔法通信を聞いていたセレネが呟いた。
「フルエレ、もうすぐ予定の二時間になりますが、本当に全面侵攻を開始しますか?」
砂緒がいつしか黙り込んで操縦席に三角座りをしていた雪乃フルエレ女王に優しく聞いた。
「うん」
「意志は固いようですね。セレネ、我々が七葉後川流域の平定戦争を開始した時から、各国の城壁都市を征服する度に、どれだけ配慮してもある程度の数の犠牲者が出ていたのです。今回はこの様に警告を発しただけ優しいモノです。気にする必要はありませんよ」
「や、やっぱり……」
砂緒の話を聞いていたフルエレが遮る様にふいに話し出した。
「やっぱり?」
「魔ローダーと魔戦車と地上兵は本城を速やかに落とす為に予定通り城壁内に全軍侵攻させるわ。だけど街をメチャメチャに破壊するのは止めておく……なるべく市民に被害は出さない様にして……けど、本城は予定通り蛇輪でメチャメチャに踏み潰すわ」
「ええ、そうしましょう」
砂緒は最初からメド国市民などどうでも良かったが、いつものフルエレに少し戻ったのが嬉しくてにこっと笑った。
「フルエレさん予定時間となったぞ!」
セレネがフルエレの顔を見た。
「私が、全軍侵攻開始を命令するわ」
Y子の黒いコスチューム姿の雪乃フルエレ女王が操縦席の前でゆっくりと立ち上がって、魔法通信と外部スピーカーで同時に命令を下そうと腕を振り上げかけた。
「待って下さい、汚れ仕事は私がやります。女王はあくまで皆に慈愛を示す存在で居て下さい」
「慈愛って難しい事言い出したな。じゃああたしがやろう!」
「いや私が……」
砂緒もセレネも堂々巡りは良く無いと思い、すぐに黙った。
「よし、じゃ砂緒言ってくれ!」
「はいでは……」
砂緒は魔法モニターの前に立ち、腕を振り上げた。
『これより同盟軍全軍、メドース・リガリァ城壁内に侵攻を開始する! 狙うは本城ただ一つ、避難する市民を踏むな! 建物もなるべく無意味に壊すなっ』
『という事です。イェラさん衣図ライグさんお願いしますよっ』
メランも命令を復唱した。しかし、この命令はカヌッソヌ軍には徹底されなかった……
「よ~~し、カヌッソヌ軍五千、張り切ってメドース・リガリァの連中を蹂躙しろ!! 行け!!」
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