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III プレ女王国連合の成立
カヌッソヌ市参戦
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「猫呼先輩済まない、全て横から聞いていた。詳しく事情が知りたい」
ピッシュッ!
まだまだ激しく泣き続けるフルエレの魔法画面が小さくなり、そこにセレネの魔法画面が割って入る。
「あのね、私フルエレの留守を埋める為に女王の影武者やってたのよね、それは良い?」
「お、おう、そうなんですか……仕方ないですね」
セレネは多少驚いたが、話を進める為に納得した。
「それでね、いつもの様に女王仮宮殿に登城してたら突然城に向かってメドース・リガリァの魔ローダー、その……濃いグレーのとげとげしいヤツ、ちょっとだけ……そのル・ツーに似てる奴が数機の魔ローダーを引き連れて強襲して来たの。配下に二、三千名程の特殊戦闘員を連れてね」
猫呼は兄猫名が乗る魔ローダーの事をあまり触れたく無かったが、表現として使った「ル・ツーに似ている」は正しかった。スピネルこと猫名は自機デスペラードを改造する度に愛着のあるクラウディア王国の旗機、ル・ツーに寄せて行っていた。
「そうかっ! 黒いトリッキーな奴が出て来ない出て来ないと思ったらそっちに向かっていたのか……なんて事だ」
「それで、どうなったんですか?」
「それでね、アルベルトさん達魔戦車隊がたった五両で必死に時間を稼いでくれてね、結局魔戦車部隊は壊滅してしまったのだけど、私達の避難所が襲われてる最中に、ラ・マッロカンプの王子様と配下の人々が何故か貴方のユティトレッド魔導王国から大量の魔ローダーを借り受けて突然救援に来てくれて……」
「あっあの行方不明のラ・マッロカンプの兵達が……何でユティトレッドに?」
「知らないけど、王子様も瑠璃ィと言う方もめっぽう強くて、あっさりと配下の魔ローダーは全機撃破して」
「そうか……で、黒いトリッキーな奴は?」
少し猫呼が黙り込んでセレネは待った。
「腕を斬り落としたりだいぶ痛んだ様だけど、走って山に逃げてったそうよ。あと、メド国の女王も一緒よ、本物ならね……」
「ほう女王が一緒? しかし撃ち漏らしたか、残念だな」
セレネは猫呼の言葉に何か隠している事があるなと感じたが、深く追求しなかった。
「つまり、アルベルトさんが戦死して魔戦車隊が壊滅した以外は、奇跡的に首都は守られたの」
「特殊戦闘員達は?」
「それはライラ達、私の配下の闇の冒険者ギルド員達が駆け付けてくれて排除してくれた。あとリュフミュランからも増援が来て……今リュフミュラン王が来てて……大きな顔をしているわ」
「そうか、それは大変だったですね」
大変だったですね、の辺りで猫呼がキッとした顔になって、セレネはビクッとした。
「セレネ、一言言わせて、貴方いつも天下国家の事を考えろだの、軍事の事だの言っているけど、今回の首都急襲作戦を見逃したのは貴方の落ち度よ、それだけはハッキリ言わせてもらうわ!」
「全くその通りだ。謝罪する」
モニター越しにセレネは一切反論する事無く即座に頭を下げた。その態度に猫呼は意外という顔になった。
「そ、そうね……あ、あとフルエレの事をどうすれば良いか……伝えるべきじゃ無かったかしら? 一刻も早く伝えるべきと、貴方のSRV2を使わせてもらったわっ」
「分かりました……フルエレさんは今居る街で休息させるか……」
「行くわっ! 行くわよ絶対に……此処で降りる訳には行かないじゃない、あああああああ」
突然フルエレが割って入って、また頭を抱えて無きじゃくり始めた。
「……セレネ、貴方には言い難いけど、フルエレを癒せる人間が一人だけいるとすれば砂緒だと思うの。愛情とか恋愛とかそんな簡単な話じゃ無くて、砂緒と最初に出会ったフルエレとの二人の間には何か深い因縁があると思うの……今砂緒は?」
(砂緒……)
猫呼の砂緒という言葉にフルエレは反応した。
「今我々は西側ミャマ地域軍を率い、カヌッソヌ市郊外にいる。砂緒は逆に東側から本隊を率いて進軍している。もうすぐ彼らもメド国に到達する頃だ」
「砂緒……になんて会えない……どんな顔すればいいのよ……」
「ではY子、いやもういいか、フルエレさん進軍を再開して良いのだな?」
「……うん、行って……」
小さい声でフルエレは答えた。
「猫呼先輩、フルエレさんの言葉通りだ、我々はこのまま一気呵成にメド国を落としこの戦争を一刻も早く終わらせる。今何か他に伝えるべき事はありますか?」
「そうね、ラ・マッロカンプの王子様がこれからどうしたら良いかと聞いていたわ」
「黒いル・ツーに似たトリッキーなヤツが山から下りて来るかもしれない。そのまま警戒してもらって欲しい」
「わかったわ、じゃあ……」
猫呼は悲しい顔になると、シュッと魔法通信を切った。
「では行くぞフルエレさん」
「うん」
(砂緒、辛い悲しい……助けて……)
雪乃フルエレ女王はもはや兜を脱ぎっぱなしで操縦席の上で三角座りで再び泣き始めた。
ピピッ
しかし突然再び魔法秘匿通信の音が鳴った。
「魔戦車からコーディエです」
「うん何だコーディエ殿?」
「それがカヌッソヌ軍が是非とも地上兵を出したいと申し出が」
「そうか……」
地上兵がサッワの散弾魔砲で壊滅状態にさせられた為に兵不足に陥っていた西側部隊にとっては渡りに船だった。
「カヌッソヌ軍司令官が出たいそうですが」
「うむ代わって頂こう」
「どうもご挨拶出来て光栄です! カヌッソヌ軍司令官であります。若い者から老人まで男をかき集め地上兵五千を整え参陣致します!」
「そうか、有難く思うぞ。勝った暁にはカヌッソヌ市には大きな名誉と権益が与えられるだろうな」
セレネは以前メド国に真っ先に恭順しながら旗色が悪くなると同盟についたカヌッソヌを非難していたが背に腹は代えられなかった。
「ハハッ!! 有難き幸せ、メド国の者共を蹂躙して見せましょうぞ!!」
「お、おい同盟軍は紳士な軍だぞ、それを」
「いいわっやってしまって、メド国の様な邪悪な国は根こそぎ痛めつけるべきだわっ蹂躙して頂戴」
兜を被り直したフルエレは、セレネの言葉に割って入ってカヌッソヌ軍司令官を炊き付けた。
(フルエレさん何を?)
セレネはフルエレの声がY子を演じているという事では無く、実際に怒りに打ち震えている為に、尋常じゃない雰囲気がして言い返す事が出来なかった。
「ハハッ見事活躍してご覧に見せます!」
カヌッソヌ司令官は喜び勇んで魔法通信を終えた。
「Y子殿、シャル王と会話してみるか?」
「ううん、いい、会いたくない」
「コーディエそういう事だ、頑張ってくれたまえ」
「は?」
コーディエはY子の雰囲気に少し疑問を持ちながら通信を終えた。
「今度こそ行くわよ、メド国を……メチャメチャに……壊してあげるわっ」
セレネは初めて力の籠ったフルエレの声が怖いと思った。
ピッシュッ!
まだまだ激しく泣き続けるフルエレの魔法画面が小さくなり、そこにセレネの魔法画面が割って入る。
「あのね、私フルエレの留守を埋める為に女王の影武者やってたのよね、それは良い?」
「お、おう、そうなんですか……仕方ないですね」
セレネは多少驚いたが、話を進める為に納得した。
「それでね、いつもの様に女王仮宮殿に登城してたら突然城に向かってメドース・リガリァの魔ローダー、その……濃いグレーのとげとげしいヤツ、ちょっとだけ……そのル・ツーに似てる奴が数機の魔ローダーを引き連れて強襲して来たの。配下に二、三千名程の特殊戦闘員を連れてね」
猫呼は兄猫名が乗る魔ローダーの事をあまり触れたく無かったが、表現として使った「ル・ツーに似ている」は正しかった。スピネルこと猫名は自機デスペラードを改造する度に愛着のあるクラウディア王国の旗機、ル・ツーに寄せて行っていた。
「そうかっ! 黒いトリッキーな奴が出て来ない出て来ないと思ったらそっちに向かっていたのか……なんて事だ」
「それで、どうなったんですか?」
「それでね、アルベルトさん達魔戦車隊がたった五両で必死に時間を稼いでくれてね、結局魔戦車部隊は壊滅してしまったのだけど、私達の避難所が襲われてる最中に、ラ・マッロカンプの王子様と配下の人々が何故か貴方のユティトレッド魔導王国から大量の魔ローダーを借り受けて突然救援に来てくれて……」
「あっあの行方不明のラ・マッロカンプの兵達が……何でユティトレッドに?」
「知らないけど、王子様も瑠璃ィと言う方もめっぽう強くて、あっさりと配下の魔ローダーは全機撃破して」
「そうか……で、黒いトリッキーな奴は?」
少し猫呼が黙り込んでセレネは待った。
「腕を斬り落としたりだいぶ痛んだ様だけど、走って山に逃げてったそうよ。あと、メド国の女王も一緒よ、本物ならね……」
「ほう女王が一緒? しかし撃ち漏らしたか、残念だな」
セレネは猫呼の言葉に何か隠している事があるなと感じたが、深く追求しなかった。
「つまり、アルベルトさんが戦死して魔戦車隊が壊滅した以外は、奇跡的に首都は守られたの」
「特殊戦闘員達は?」
「それはライラ達、私の配下の闇の冒険者ギルド員達が駆け付けてくれて排除してくれた。あとリュフミュランからも増援が来て……今リュフミュラン王が来てて……大きな顔をしているわ」
「そうか、それは大変だったですね」
大変だったですね、の辺りで猫呼がキッとした顔になって、セレネはビクッとした。
「セレネ、一言言わせて、貴方いつも天下国家の事を考えろだの、軍事の事だの言っているけど、今回の首都急襲作戦を見逃したのは貴方の落ち度よ、それだけはハッキリ言わせてもらうわ!」
「全くその通りだ。謝罪する」
モニター越しにセレネは一切反論する事無く即座に頭を下げた。その態度に猫呼は意外という顔になった。
「そ、そうね……あ、あとフルエレの事をどうすれば良いか……伝えるべきじゃ無かったかしら? 一刻も早く伝えるべきと、貴方のSRV2を使わせてもらったわっ」
「分かりました……フルエレさんは今居る街で休息させるか……」
「行くわっ! 行くわよ絶対に……此処で降りる訳には行かないじゃない、あああああああ」
突然フルエレが割って入って、また頭を抱えて無きじゃくり始めた。
「……セレネ、貴方には言い難いけど、フルエレを癒せる人間が一人だけいるとすれば砂緒だと思うの。愛情とか恋愛とかそんな簡単な話じゃ無くて、砂緒と最初に出会ったフルエレとの二人の間には何か深い因縁があると思うの……今砂緒は?」
(砂緒……)
猫呼の砂緒という言葉にフルエレは反応した。
「今我々は西側ミャマ地域軍を率い、カヌッソヌ市郊外にいる。砂緒は逆に東側から本隊を率いて進軍している。もうすぐ彼らもメド国に到達する頃だ」
「砂緒……になんて会えない……どんな顔すればいいのよ……」
「ではY子、いやもういいか、フルエレさん進軍を再開して良いのだな?」
「……うん、行って……」
小さい声でフルエレは答えた。
「猫呼先輩、フルエレさんの言葉通りだ、我々はこのまま一気呵成にメド国を落としこの戦争を一刻も早く終わらせる。今何か他に伝えるべき事はありますか?」
「そうね、ラ・マッロカンプの王子様がこれからどうしたら良いかと聞いていたわ」
「黒いル・ツーに似たトリッキーなヤツが山から下りて来るかもしれない。そのまま警戒してもらって欲しい」
「わかったわ、じゃあ……」
猫呼は悲しい顔になると、シュッと魔法通信を切った。
「では行くぞフルエレさん」
「うん」
(砂緒、辛い悲しい……助けて……)
雪乃フルエレ女王はもはや兜を脱ぎっぱなしで操縦席の上で三角座りで再び泣き始めた。
ピピッ
しかし突然再び魔法秘匿通信の音が鳴った。
「魔戦車からコーディエです」
「うん何だコーディエ殿?」
「それがカヌッソヌ軍が是非とも地上兵を出したいと申し出が」
「そうか……」
地上兵がサッワの散弾魔砲で壊滅状態にさせられた為に兵不足に陥っていた西側部隊にとっては渡りに船だった。
「カヌッソヌ軍司令官が出たいそうですが」
「うむ代わって頂こう」
「どうもご挨拶出来て光栄です! カヌッソヌ軍司令官であります。若い者から老人まで男をかき集め地上兵五千を整え参陣致します!」
「そうか、有難く思うぞ。勝った暁にはカヌッソヌ市には大きな名誉と権益が与えられるだろうな」
セレネは以前メド国に真っ先に恭順しながら旗色が悪くなると同盟についたカヌッソヌを非難していたが背に腹は代えられなかった。
「ハハッ!! 有難き幸せ、メド国の者共を蹂躙して見せましょうぞ!!」
「お、おい同盟軍は紳士な軍だぞ、それを」
「いいわっやってしまって、メド国の様な邪悪な国は根こそぎ痛めつけるべきだわっ蹂躙して頂戴」
兜を被り直したフルエレは、セレネの言葉に割って入ってカヌッソヌ軍司令官を炊き付けた。
(フルエレさん何を?)
セレネはフルエレの声がY子を演じているという事では無く、実際に怒りに打ち震えている為に、尋常じゃない雰囲気がして言い返す事が出来なかった。
「ハハッ見事活躍してご覧に見せます!」
カヌッソヌ司令官は喜び勇んで魔法通信を終えた。
「Y子殿、シャル王と会話してみるか?」
「ううん、いい、会いたくない」
「コーディエそういう事だ、頑張ってくれたまえ」
「は?」
コーディエはY子の雰囲気に少し疑問を持ちながら通信を終えた。
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