魔法の魔ローダー✿セブンリーファ島建国記(工事中2)

佐藤うわ。

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III プレ女王国連合の成立

悲しい知らせ 上

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「見て、東側の部隊がもうすぐメドース・リガリァの城壁に到達しそうよっ!」

 バックマウンテン山中での魔ローダー同士の戦いが終わったあと、紅蓮と美柑は山中の少し高い位置からメド国攻防戦を眺めていた。

「西側の部隊もカヌッソヌに到達しているみたいだし、メド国はどうなるんだろう……」
「メド国じゃなくてアンジェでしょ?」
「……ついでに貴嶋サンも」

 紅蓮は三角座りしながら下で展開される攻防を眺めるばかりで一向に動こうとはしなかった。

「どうするの? 助けに行くの?」
「行かない。行けない」

 紅蓮は首を振った。

「魔王討伐の方は??」
「魔王を討伐したら旅が終わってしまう。本当は美柑と離れたく無いだけなんだ」
「そっか何もしないんだ」
「………………」

 そのまましばらくずっと二人は無言で麓で展開される戦いを眺め続けた。


 ―砂緒の東側本隊

「もうすぐメド国城壁だっ! 七機のSRVは全機城壁に張りついて東側の城壁を潰せ!! ただし濃いグレーのヤツが出て来ないかだけ警戒しなさい」

 ドンッ! パパパパパッ
 城壁からか細い抵抗が見られるが、組織的な攻城戦は起こらない様子だった。

「その後ろは魔戦車隊。地上兵は大型攻城魔法の範囲外で待機だっ!」
「砂緒さんどうしちゃったんですか!? 時々そんな感じになるから戸惑っちゃいます」

 てきぱきと指示を与える砂緒にメランが手を組んで目をキラキラさせて見た。

「いやー私いつもこんな感じだと自分で思っていますが……」
「全然違いますよ」
「砂緒ーっ私達はどうするのっ?? あと蛇輪はまだ出ないよっ!」

 今度は兎幸がメランの反対側から抱き着いて来て、メランが少し睨んだ。

「私達はル・ツーの外部魔法スピーカーで一般民に退去を呼びかけます。我々の地上兵が減っている以上、地上兵で力押しするのは不可能です。よってセレネが蛇輪やSRVで街をめちゃめちゃに破壊するとか言い出しかねません。その前になるべく民を退去させます」
「え~~砂緒さんらしくな~~い、色々考えてる~~」
「……フルエレにしろ貴方にしろ、何故みなさん私の事を馬鹿だと思うのでしょう」
「さあ」
「砂緒っ何て言えばいいの?」
「まずは私が言いましょう」

 砂緒は魔法外部スピーカーを起動した。

『あーテステス、あれじゃ男はやりきれない只今マイクのテスト中』
「?」
『あーーメド国市民の諸君! 諸君らの地上軍は先程我らに最後の突撃を敢行しあえなく壊滅した。死傷者アンド捕虜多数の状態だ。メド国の地上兵はもはや組織的軍隊の体を成していない。よってもうすぐ城壁内に総攻撃を開始するが、それまでに市民の諸君は速やかに大八車に荷物をまとめて城外に退去する様に。退去せぬ者に関しては身の安全の保証は出来ない! 以上!!』

 プチュッ
 砂緒は魔法外部スピーカーを切った。

「こんな感じの事を定期的に言い続けて下さい」
「エーー感じ悪っ」
「砂緒さん、ダイハチグルマって何? 砂緒さん?」

 兎幸が肩をすぼめ両手を広げて首を振った。しかしこの一回の大音響による警告で本城の外側の市街区の人々は大混乱状態となってしまった。

「なんて事!? スピネルはいつ戻って来るの!? パパ、ママ早く知らせないと」
「どけっ邪魔だっ」
「きゃっすいません……」

 弁当屋の娘は急ぎ足で行き交う人々にぶつかってしまう。

「あれは嘘だっ! あんな嘘に騙されるなっ!」
「お前が嘘つきだっ! 我が軍の魔ローダーはどこに消えた??」
「何を黙れっ」
「……」
(スピネル、早く戻って来て)

 弁当屋の娘は言い合う人々を横目で見た。そして慌てふためく人々の混乱の中で、両親を心配して取り敢えず自分の店へと急いだ。


 ―少し時間を戻す、同盟首都、新ニナルティナ港湾都市、仮女王宮殿。

「うっっうっ……」
「アルベルトさん……」
「酷い……アルベルトさんが何故っ」

 女王仮宮殿のあちこちで、女子職員や侍女に絶大な人気のあったアルベルトの死に涙する者達がいた。

「なんや、凄く沈痛な場面やな……ウチらこれ以上行ったらあかん気がするわ。帰るかー?」
「さっきからボク達ほったらかしだしな。でも一応女王に挨拶しないのは変だろ。なんと言っても敵を撃退したのはボクらだぞ……」
(こんな場面じゃ依世ちゃんの事なんて聞けない……)

 宮殿の一部を破壊され、今も慌ただしく人々が走り回り、その他の者はしくしくと泣いている非常に居辛い場所を、ウェカ王子と瑠璃ィキャナリーとメア、そして配下のフード軍団は行く当ても無く歩いていた。

「王子、瑠璃ィさん、くれぐれも変な発言行動は慎んで下さいよ、分かっていますね?」

 メアは二人に強く釘を刺した。

「お前な、一応ボクも王族なんだぞ、礼儀くらいちゃんと心得ておるわっ」
「お願いしますよっ」
「しつこいな……」

 ウェカ王子は冷や汗を流してメアを見た。

「お待ちになって!! お待ちになって下さいっ!!」

 そこに猫耳を付けた、少し小さい大変可愛い女の子がお付きの者を大量に引き連れて走って来た。

「な、なんやっめっちゃ可愛い猫耳が走って来たで……てか同盟の時居たんちゃう?」

 走って来た猫呼は一瞬はあはあ言って息を整えると瑠璃ィの手を取った。

「あ、貴方がメドース・リガリァの魔ローダー達を撃退して下さった御方ですね?」
「え、ええ、まあ」

 猫呼は瑠璃ィがリーダーだと勘違いして挨拶を始めた。

「私は同盟の女王、雪乃フルエレと申します。あなた方のご活躍で命を救われました。城内混乱していてご挨拶が遅れ申し訳ない」
「え、えー?」

 瑠璃ィもウェカ王子も戸惑った。見知っていた金髪の雪乃フルエレと違い過ぎるからだ。

「……貴方達に救われました。危うく大切な仲間を殺めた者とむざむざと手を握り合う所でした、貴方達は真の恩人です」

 フード帽を被っていない素顔の猫呼は沈痛な面持ちで深々と頭を下げた。
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