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III プレ女王国連合の成立

サッワの超大型魔砲ライフル、秘策

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(以前一回、砲弾を撃ち落として敵を撃退したとけど、散らした三発連射なんてセレネ本当に撃ち落とせるの!?)

 Y子こと雪乃フルエレ女王が内心非情に心配している間にもどんどん敵弾は接近して来ていた。

『よし、Y子殿魔力を最大限放出してくれ! 氷の刃をもっと長くするぞ!』

 セレネが言うとY子も必死に魔力を操縦桿から注入した。途端にもともと長かった氷の刃の魔法剣がさらに長大となり、全高二十五Nメートルの魔ローダー自体よりも巨大な大きさになる。
 ヒュルルルルルーーーーーーーーー

『来たっ、魔力の格子にビンビン感じるよ!』
『ちょと、セレネ、アンタ何目をつぶってるの!?』
『うるさい、集中出来んわっ』

 セレネは見えない魔力の格子に触れながら進む三発の魔砲弾に精神を集中させる。

「三発が……一振りで斬り落とせるライン……見えたッ!!」

 バシャッ!!
 蛇輪は背中の羽を展開させると、人型形態のまま着弾より先んじて走り出しジャンプした。

「ハァーーーーーーーッッ!!」

 ジャンプした瞬間に身体を大きく捻って剣を振り被ると、勢いよく巨大な氷の剣を振り回した。
 ブンッッ
 バンッ! バンッバンッッドドドーーーン!!
 セレネが振った巨大な氷の魔法剣は、飛来する魔砲弾が惑星直列の様に剣の一振りで一気に全弾斬り落とせるラインを見切っていて、本当に全て剣の真芯に捉える事に成功し、全弾空中で破裂して消滅した。それは苦し紛れの砂緒いーじすシステムよりも、より鮮やかな技だった……

「凄い……」

 思わずカレンが魔法モニターに映る光景に感嘆の声を上げた。

『凄くなーーい! 全然っ凄くないから』
『素直になれよY子殿……飛ぶよっ!』
『ヘッ? あ、はいはい』

 どちらからともなくセレネとY子は鳥の姿を念じると、一瞬で変形して脚で魔法剣をしっかり握り予測射撃ポイント目掛けて飛び立った。

「うおーーー!」
「セレネさま万歳っ! 女王陛下万歳!!」

 後ろで進軍する魔ローダー達も兵達も歓声を上げ手を振った。

「おおお、本当にあのセレネとか言う娘っ子は凄いですなあ」
「娘っ子って総司令官殿ですよ」

 大アリリァ乃シャル王が言った言葉にコーディエが突っ込んだ。

「そうですか、セレネ殿もY子殿もワシには可愛い娘にしか見えません。コーディエ殿は彼女らに特別な感情は無いのですな、安心しましたハハハハハ」
「は、はあ? よ、よしでは我らは障害突破の準備ですね!」

 コーディエはこのシャル王がY子から何か相談されたのではと冷や汗を掻いた。それを誤魔化す為にもすぐさま目の前の堀と土塁突破の工兵を手配し始めた。


『駄目です! 前と同じでメッキ野郎にも散らした三連射でも全弾斬り落とされます!』
『そうね、やはり事前の想定通りもうこの超長距離爆撃は無効化されてると判断するべきね……あ、待って、サッワちゃんメッキ野郎がやっぱり飛んで来たわっ!!』
『はい、ココナツヒメさま、事前の計画通り例の作戦に移ります!!』

 ココナツヒメのル・ワンとサッワのレヴェル一号機は勢いよく飛んで来たメッキ野郎こと、鳥型形態に変形した魔ローダー日蝕白蛇輪を、前回と違い応射する事無く静かに待った。

『撃って来ない、なんで!?』
『関係無い、今度こそ半透明を斬る!!』

 ギューーーーン!!
 物凄い勢いで空を飛び、一瞬でサッワ達の射撃ポイントに到達しそうになる蛇輪。上空で巨大魔砲ライフルを構えたレヴェルと半透明、つまりル・ワンを確認すると今度は急降下し始めた。

『行くよっ蹴散らしてやる!!』
『セレネ、油断しないでっ!!』

『今よっサッワちゃん、長バレル離脱!!』
『バレルパージ!! アサルトフォーム!!』

 ババッバッバババ、バンッ!!
 サッワが叫ぶと、長大なバレル基部を一周する様に小さな破裂音と煙が上がり、魔ローダーの身長に匹敵する様な長いバレルがごとんと地面に落ちた。
 ドサッ!!
 落ちたバレルに沿って土煙が上がる。

『何!?』
『どゆこと!?』

『サッワちゃん上よ構えてっ!』
『はいっ』

 重く長いバレルを捨て去って身軽になった巨大ライフルの基部をひょいと腰だめで持ち上げるサッワのレヴェル。
 シュバンッ!!
 直後にブラストの閃光が。

『近くとも!!』

 一瞬で落下しながら人型に変形すると、少し小型になってしまった氷の刃を振り被るが、セレネの魔法の格子には無数の小さな弾丸が散らばって感じて標的が定められなかった。
 キラキラキラキラ……

『見えん』
『散弾!!』

 そう叫ぶとY子は一瞬の判断で最近普段から付けているシールドの腕輪の能力を操縦桿から流せるか試した。
 バサッ!!
 バババババ!!
 同時にセレネも片腕で顔を隠しながら落下すると、Y子の腕輪の光の魔法シールドがかろうじて展開して、小さな散弾の一粒一粒がシールドに弾かれて行く。

 ドシャッ
 身体中に小さな散弾を受けながら、致命傷になる事無くサッワ達の至近に落着する蛇輪。

『威力低いは承知の上!』
『行くわよサッワちゃん!!』

 シュンッ!!
 しかし蛇輪の落着と同時にサッワのレヴェルとル・ワンは瞬間移動で消え去った。

『しまった!!』
『隊が危ない!!』

 落着と同時に間髪入れずすぐさま飛び上がろうと、二三歩ほど歩き出す蛇輪。
 カチッ!!
 ドドドーーーーーン!!!
突然連鎖する様に地面のあちこちから大きな火柱が上がる。

『キャーーーー!? 何よっ』
『ちっ対魔呂地雷型魔法瓶かっ』

 飛び立とうとして、しかしグラリと傾く蛇輪だった……
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