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III プレ女王国連合の成立
トリッシュ国陥落 下 開城とカレンの涙
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「おおお、噂をすれば影、Y子殿の御到着ですなあ」
キィイイイイイイイイイイインン!!!
「ん、キーーーン??」
砂緒が南方向からのル・ツーの接近を感じた直後、今度は甲高い風切り音が聞こえて来て、一同血の気が引いてドキッとした。
「また空爆か!?」
「伏せろっ!!」
「きゃーーーー!!」
一同気を抜いていただけに一瞬大混乱になり掛ける。が、程なくして風切り音は爆撃では無い事が分かった。
「あれを見ろ!」
「鳥か?」
「いや蛇輪だっ!!」
兵達が空を指さすと、鳥型に変形中の蛇輪がホバリングしながら兵達でひしめく王城の前になんとか隙間を探して着地する。気流が砂埃を吹き飛ばし、兵達が顔を覆い、カレンがげほげほと咳き込んだ。
「おお、旗機日蝕白蛇輪だぞ!」
「女王さまか、セレネ総司令官万歳!!」
兵達が歓声を上げた……
「……何やってるんですかセレネ、これからY子殿の見せ場、城攻めの総仕上げって時に」
珍しく砂緒は頭を抱えた。
ガシャガシャガシャ……
その歓声の中、Y子のル・ツーとSRV隊が到着した。
「あわわわわわわ」
空から良く分からない物体が飛んで来て、さらには南から六機の魔ローダーが到着。カレンはいよいよ大変な事になったと焦りまくった。
「おおおーーいい! 砂緒心配したぞっ!! 大丈夫だったか??」
蛇輪から飛び出たセレネが砂緒に抱き着く。城壁外に待機して以降、する事が無くなったメランが司令部のセレネに逐一戦況を伝えていたのだった。
「おおおおおーー」
「何で砂緒ばかりこんなにモテるんでしょう? 俺は理不尽で泣きそうですぜ~」
「お前より顔はマシだからだろ」
どよめく兵達。ラフが嘆いたが、衣図が平然と酷い事を言う。
「何やってるんですか! これからY子殿が来るんですよ、貴方が目立ってどうするんですか?」
当然セレネはY子の活躍を潰そうと思ってタイミングを見計らってやって来ていた。
「あたしだってすぐさま此処に飛んで来たかったが、ミャマ地域軍の仮設橋の部隊が攻撃されないかずっと警戒してたんだっ! どうやら爆撃部隊は一つしか無いって判断してようやく飛んで来たんだぞ!」
「そ、そうですかぁ? 何でも良いのですが、ここはY子殿の判断に従って下さいよ。それに早く離れて下さいって」
「何でだ?」
セレネは砂緒に抱き着いたままムスっとした顔をした。
ガシャガシャガシャ……
兵達が十戒の様に道を開け、丁度Y子のル・ツーは抱き合う砂緒とセレネの前でぴたっと止まった。
「何よこれ……兎幸、大丈夫だと思うけど爆撃が無いか魔ローンの警戒、まだ怠らないでっ」
「あいあい。ここは良いから早く取りあいして砂緒と抱き合って!!」
「なんでよ」
蛇輪が飛んで来た時点で嫌な予感しかしなかったが、眼前で抱き合う砂緒とセレネを見て、Y子こと雪乃フルエレ女王は真剣に踏んだろかと思った。
「セレネ総司令官殿、御遅い御到着ご苦労様です、ミミイ王女は戦死してしまいましたぞ……」
「よお、Y子」
イェラは遠くから手を上げY子は一瞬頭を下げた。さらにY子が嫌味っぽくセレネの前で敬礼すると、セレネはぱっと砂緒から離れた。
「うむ、砂緒から聞いたぞ、とても残念な事だな……彼女の死に報いる為にも早速トリッシュの王城を陥落させよう。どの様に当たるのか、Y子殿にお任せしたい」
「ええ、そうだな。この王城は小さいが、中に多数の住民達が避難している。力攻めは容易いが中の住民に多大な被害を出してはいけない」
「そうだな、人質として我らの安全を図る策も使えなくなる」
「ま、ね、けれど敵は住民ごと撃っちゃう様なクレージーな連中だけどね」
割りと真面目に会話するY子とセレネの間に砂緒が無理やり割って入る。
「……Y子殿、何故私が眼前にいるのに感動の再会をしないのですか??」
「……無視しよう」
「そうだな」
Y子とセレネは間に割り込んだ砂緒をすっと避けて会話を再開した。
「取り敢えず魔戦車で包囲して城壁に猛砲撃を加え、その後に魔呂で堀を埋め城壁を蹴りまくって壊し、城を完全に丸裸にした上で魔法外部スピーカーで城をぶっ潰すと大声で脅しまくりましょうか」
「どうしたY子殿、そんな強硬派であったか? しかしまあそれで良いであろう。早速取り掛かろう!」
「もしそれでも開城しない場合、城の一部でも破壊してやりましょう」
「ますますどうした?」
「そうですよ、Y子殿は仮にもフルエレの名代なのでしょう、フルエレが居たら避難している住民達に過度のストレスを与える策は絶対に許可しません。いくら兜の中に謎の魔物が封印されているとは言え、強硬派のセレネと対照的な発言をしてくれませんとバランスが悪いんです。でもまあ作戦自体は賛成ですから私に城門を殴らせて下さい」
「賛成なの、反対なの? どっちなのよややこしいぞ」
「兜の中に魔物が封印とか、お前それ本気で信じてるのな。かわいいヤツ」
とにかく砂緒は何でも良いから城門を殴り壊したかっただけだ。
(……大変だわ、なんだかヤバイ人達がいっぱい増えて来た!! なんとかしなきゃ)
地面に転がりながらカレンは増々冷や汗を流した。
「よしでは早速我はル・ツーに乗り、とりあえず大声で城の中を脅しまくりましょう!」
いきなり順番を無視し、Y子は立膝を着いたル・ツーに乗り込もうと向かって行った。
「やめてっ!! お願いお城を潰すとか酷い事しないでっ!!」
ようやくここに来て、カレンが勇気を出して大声を出した。その声に反応してY子は初めて地面に転がるぐるぐる巻きにされた少女を発見した。
「ぎゃーーー!!! なんて事、誰がこんな少女を性的暴行しようとしたの?? 下手人は誰だっ!!」
一目見て、びくっと反応したY子は走って行き、カシャッと背中の大鎌を展開させた。
「ヒッ」
「Y子さん、それ逆にストレス与えてるって……」
大鎌を振り上げて縄を切ろうとするY子を制止して、セレネが剣先で縄を切り裂いた。
「誰がやったの?? ラフでしょ!!」
「へっY子さんて何で俺の事知ってんだ、もしかして?」
ガスッ
衣図ライグはノールックで突然ラフを殴り飛ばした。
「ひ、酷い……」
「聞いて下さいY子殿、別にその子に性的暴行を加えた訳ではありません。その子は多分ほっとけばサッワとかいう凶悪な敵の砲撃に巻き込まれ死ぬ運命だった物を、私という天使に奇跡的に助けられたのです。彼女は私の現地妻にするつもりです」
「犯人は貴様か~~~」
Y子は突然砂緒の首を締めた。
「本気でぐるじいです。止めて下さい、殴りますよ」
そこに縄を解かれたカレンがY子に訴えた。
「お願いっ! 私を私を開城の使者に立てて下さい! 貴方達を見てて分かりました。サッワくんが言った事は多分本当……多分開城すれば私達を皆殺しにする様な人達じゃない……うっっうっ」
カレンはサッワの中部小国群の一部の国に虐殺行為をしたのは自分達だという告白が、真実なんだろうと和やかな砂緒達を見て悟り自然と泣き始めていた。
「Y子殿、泣き落としだ。古典的だが有効的な策かもしれん、それで戦闘が回避できるなら安い物だ」
「いいわ、その代わり人質と受け取られたく無いから、一人で城に行かせてあげたい」
「いいだろう」
総司令官のセレネが決断した事ですぐさま方針が決まった。
『これより城にカレンという少女が向かう、彼女の話をしっかり聞け!!』
突然城の中に魔ローダーから大きなY子の声が鳴り響き、いつ総攻撃が始まるかと恐れおののいていた避難住民達が戦慄した。
「カレン!? カレンは私の娘です!! 私達が出向きます!!!」
王城の城壁近くに避難していたカレンの両親が立ち上がって城兵に訴えた。
城門が開き、一人で歩くカレンが城の中に入ると、そこに両親が立っていた。
「カレン!!」
「お父さんお母さん、ラン隊長が、皆が……死んでしまった、うわーーーーー!!」
カレンはようやく両親と再会出来て泣きながら抱き着いた。
「よし、カレンとやら王様が実際にお話しを聞かれるそうだ。侍女からボディチェックを受けてから玉座に参れ」
「はいっ! お父さんお母さんお城と避難民を守るから!」
カレンは兵士に連れられて行った。
―玉座の間。
「そうか……メド国侵攻に城をあけ渡せば、避難民も城の者も領土も安堵すると……」
「はい、敵は頭は悪そうな人たち揃いですが、根本的な悪人には見えません。もはや城の皆を全員虐殺するなんて事は無いでしょう」
カレンは敵の司令官がY子と美しい少女セレネという、揃って二人の女性である事で、本能的にそう感じていた。特にY子が飛んで来て縄を解いてくれようとした事が大きかった。
「王様、騙されないで下さい! この少女は敵に洗脳され利用されておるのやも」
重臣達が当然の心配をする。
「……いや、もしこの少女を疑い、最後の一戦を仕掛けても戦力差からすれば一瞬で全滅する事であろう。ならば一縷の望みを託しこの少女の言を信じ、城を明け渡そう。わしが城門から出て降伏を申し出よう」
「……ははっ」
もはやそうするしかないと誰もが分かっていたが、無位無官の少女カレンの説得でようやく王様がそれを口にする口実が出来たのだった。
「おおっ城門からトリッシュ王が出て来たぞ!!」
大軍と巨大な魔ローダー達が居並ぶ中、Y子とセレネの前に少数の騎士を従えたトリッシュ王が現れ、跪き臣下の礼をとってようやくトリッシュ王国は降伏、開城した。王城の中で避難民や家臣や兵達の殆どが泣いていた。
「ラン隊長……負けちゃったよ……けど住民達は守ったから、うっうっっ」
カレンは王城の城壁からセレネとY子に臣下の礼を取る王様を泣きながら見守り続けた。
一書に曰く、この地は元トリッシュ王国と呼ばれていたが、何者かがバレーボールのトスでこの国を守った事から、後の時代にこの地はトス市と呼ばれる様になったと伝わる。
―城壁の外。メランはまだまだひたすら待ち続けていた。
「………………なんか私忘れられてる? 放置プレイ??」
キィイイイイイイイイイイインン!!!
「ん、キーーーン??」
砂緒が南方向からのル・ツーの接近を感じた直後、今度は甲高い風切り音が聞こえて来て、一同血の気が引いてドキッとした。
「また空爆か!?」
「伏せろっ!!」
「きゃーーーー!!」
一同気を抜いていただけに一瞬大混乱になり掛ける。が、程なくして風切り音は爆撃では無い事が分かった。
「あれを見ろ!」
「鳥か?」
「いや蛇輪だっ!!」
兵達が空を指さすと、鳥型に変形中の蛇輪がホバリングしながら兵達でひしめく王城の前になんとか隙間を探して着地する。気流が砂埃を吹き飛ばし、兵達が顔を覆い、カレンがげほげほと咳き込んだ。
「おお、旗機日蝕白蛇輪だぞ!」
「女王さまか、セレネ総司令官万歳!!」
兵達が歓声を上げた……
「……何やってるんですかセレネ、これからY子殿の見せ場、城攻めの総仕上げって時に」
珍しく砂緒は頭を抱えた。
ガシャガシャガシャ……
その歓声の中、Y子のル・ツーとSRV隊が到着した。
「あわわわわわわ」
空から良く分からない物体が飛んで来て、さらには南から六機の魔ローダーが到着。カレンはいよいよ大変な事になったと焦りまくった。
「おおおーーいい! 砂緒心配したぞっ!! 大丈夫だったか??」
蛇輪から飛び出たセレネが砂緒に抱き着く。城壁外に待機して以降、する事が無くなったメランが司令部のセレネに逐一戦況を伝えていたのだった。
「おおおおおーー」
「何で砂緒ばかりこんなにモテるんでしょう? 俺は理不尽で泣きそうですぜ~」
「お前より顔はマシだからだろ」
どよめく兵達。ラフが嘆いたが、衣図が平然と酷い事を言う。
「何やってるんですか! これからY子殿が来るんですよ、貴方が目立ってどうするんですか?」
当然セレネはY子の活躍を潰そうと思ってタイミングを見計らってやって来ていた。
「あたしだってすぐさま此処に飛んで来たかったが、ミャマ地域軍の仮設橋の部隊が攻撃されないかずっと警戒してたんだっ! どうやら爆撃部隊は一つしか無いって判断してようやく飛んで来たんだぞ!」
「そ、そうですかぁ? 何でも良いのですが、ここはY子殿の判断に従って下さいよ。それに早く離れて下さいって」
「何でだ?」
セレネは砂緒に抱き着いたままムスっとした顔をした。
ガシャガシャガシャ……
兵達が十戒の様に道を開け、丁度Y子のル・ツーは抱き合う砂緒とセレネの前でぴたっと止まった。
「何よこれ……兎幸、大丈夫だと思うけど爆撃が無いか魔ローンの警戒、まだ怠らないでっ」
「あいあい。ここは良いから早く取りあいして砂緒と抱き合って!!」
「なんでよ」
蛇輪が飛んで来た時点で嫌な予感しかしなかったが、眼前で抱き合う砂緒とセレネを見て、Y子こと雪乃フルエレ女王は真剣に踏んだろかと思った。
「セレネ総司令官殿、御遅い御到着ご苦労様です、ミミイ王女は戦死してしまいましたぞ……」
「よお、Y子」
イェラは遠くから手を上げY子は一瞬頭を下げた。さらにY子が嫌味っぽくセレネの前で敬礼すると、セレネはぱっと砂緒から離れた。
「うむ、砂緒から聞いたぞ、とても残念な事だな……彼女の死に報いる為にも早速トリッシュの王城を陥落させよう。どの様に当たるのか、Y子殿にお任せしたい」
「ええ、そうだな。この王城は小さいが、中に多数の住民達が避難している。力攻めは容易いが中の住民に多大な被害を出してはいけない」
「そうだな、人質として我らの安全を図る策も使えなくなる」
「ま、ね、けれど敵は住民ごと撃っちゃう様なクレージーな連中だけどね」
割りと真面目に会話するY子とセレネの間に砂緒が無理やり割って入る。
「……Y子殿、何故私が眼前にいるのに感動の再会をしないのですか??」
「……無視しよう」
「そうだな」
Y子とセレネは間に割り込んだ砂緒をすっと避けて会話を再開した。
「取り敢えず魔戦車で包囲して城壁に猛砲撃を加え、その後に魔呂で堀を埋め城壁を蹴りまくって壊し、城を完全に丸裸にした上で魔法外部スピーカーで城をぶっ潰すと大声で脅しまくりましょうか」
「どうしたY子殿、そんな強硬派であったか? しかしまあそれで良いであろう。早速取り掛かろう!」
「もしそれでも開城しない場合、城の一部でも破壊してやりましょう」
「ますますどうした?」
「そうですよ、Y子殿は仮にもフルエレの名代なのでしょう、フルエレが居たら避難している住民達に過度のストレスを与える策は絶対に許可しません。いくら兜の中に謎の魔物が封印されているとは言え、強硬派のセレネと対照的な発言をしてくれませんとバランスが悪いんです。でもまあ作戦自体は賛成ですから私に城門を殴らせて下さい」
「賛成なの、反対なの? どっちなのよややこしいぞ」
「兜の中に魔物が封印とか、お前それ本気で信じてるのな。かわいいヤツ」
とにかく砂緒は何でも良いから城門を殴り壊したかっただけだ。
(……大変だわ、なんだかヤバイ人達がいっぱい増えて来た!! なんとかしなきゃ)
地面に転がりながらカレンは増々冷や汗を流した。
「よしでは早速我はル・ツーに乗り、とりあえず大声で城の中を脅しまくりましょう!」
いきなり順番を無視し、Y子は立膝を着いたル・ツーに乗り込もうと向かって行った。
「やめてっ!! お願いお城を潰すとか酷い事しないでっ!!」
ようやくここに来て、カレンが勇気を出して大声を出した。その声に反応してY子は初めて地面に転がるぐるぐる巻きにされた少女を発見した。
「ぎゃーーー!!! なんて事、誰がこんな少女を性的暴行しようとしたの?? 下手人は誰だっ!!」
一目見て、びくっと反応したY子は走って行き、カシャッと背中の大鎌を展開させた。
「ヒッ」
「Y子さん、それ逆にストレス与えてるって……」
大鎌を振り上げて縄を切ろうとするY子を制止して、セレネが剣先で縄を切り裂いた。
「誰がやったの?? ラフでしょ!!」
「へっY子さんて何で俺の事知ってんだ、もしかして?」
ガスッ
衣図ライグはノールックで突然ラフを殴り飛ばした。
「ひ、酷い……」
「聞いて下さいY子殿、別にその子に性的暴行を加えた訳ではありません。その子は多分ほっとけばサッワとかいう凶悪な敵の砲撃に巻き込まれ死ぬ運命だった物を、私という天使に奇跡的に助けられたのです。彼女は私の現地妻にするつもりです」
「犯人は貴様か~~~」
Y子は突然砂緒の首を締めた。
「本気でぐるじいです。止めて下さい、殴りますよ」
そこに縄を解かれたカレンがY子に訴えた。
「お願いっ! 私を私を開城の使者に立てて下さい! 貴方達を見てて分かりました。サッワくんが言った事は多分本当……多分開城すれば私達を皆殺しにする様な人達じゃない……うっっうっ」
カレンはサッワの中部小国群の一部の国に虐殺行為をしたのは自分達だという告白が、真実なんだろうと和やかな砂緒達を見て悟り自然と泣き始めていた。
「Y子殿、泣き落としだ。古典的だが有効的な策かもしれん、それで戦闘が回避できるなら安い物だ」
「いいわ、その代わり人質と受け取られたく無いから、一人で城に行かせてあげたい」
「いいだろう」
総司令官のセレネが決断した事ですぐさま方針が決まった。
『これより城にカレンという少女が向かう、彼女の話をしっかり聞け!!』
突然城の中に魔ローダーから大きなY子の声が鳴り響き、いつ総攻撃が始まるかと恐れおののいていた避難住民達が戦慄した。
「カレン!? カレンは私の娘です!! 私達が出向きます!!!」
王城の城壁近くに避難していたカレンの両親が立ち上がって城兵に訴えた。
城門が開き、一人で歩くカレンが城の中に入ると、そこに両親が立っていた。
「カレン!!」
「お父さんお母さん、ラン隊長が、皆が……死んでしまった、うわーーーーー!!」
カレンはようやく両親と再会出来て泣きながら抱き着いた。
「よし、カレンとやら王様が実際にお話しを聞かれるそうだ。侍女からボディチェックを受けてから玉座に参れ」
「はいっ! お父さんお母さんお城と避難民を守るから!」
カレンは兵士に連れられて行った。
―玉座の間。
「そうか……メド国侵攻に城をあけ渡せば、避難民も城の者も領土も安堵すると……」
「はい、敵は頭は悪そうな人たち揃いですが、根本的な悪人には見えません。もはや城の皆を全員虐殺するなんて事は無いでしょう」
カレンは敵の司令官がY子と美しい少女セレネという、揃って二人の女性である事で、本能的にそう感じていた。特にY子が飛んで来て縄を解いてくれようとした事が大きかった。
「王様、騙されないで下さい! この少女は敵に洗脳され利用されておるのやも」
重臣達が当然の心配をする。
「……いや、もしこの少女を疑い、最後の一戦を仕掛けても戦力差からすれば一瞬で全滅する事であろう。ならば一縷の望みを託しこの少女の言を信じ、城を明け渡そう。わしが城門から出て降伏を申し出よう」
「……ははっ」
もはやそうするしかないと誰もが分かっていたが、無位無官の少女カレンの説得でようやく王様がそれを口にする口実が出来たのだった。
「おおっ城門からトリッシュ王が出て来たぞ!!」
大軍と巨大な魔ローダー達が居並ぶ中、Y子とセレネの前に少数の騎士を従えたトリッシュ王が現れ、跪き臣下の礼をとってようやくトリッシュ王国は降伏、開城した。王城の中で避難民や家臣や兵達の殆どが泣いていた。
「ラン隊長……負けちゃったよ……けど住民達は守ったから、うっうっっ」
カレンは王城の城壁からセレネとY子に臣下の礼を取る王様を泣きながら見守り続けた。
一書に曰く、この地は元トリッシュ王国と呼ばれていたが、何者かがバレーボールのトスでこの国を守った事から、後の時代にこの地はトス市と呼ばれる様になったと伝わる。
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