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III プレ女王国連合の成立
ユッマランド王本陣到着、 砂緒の魔ローダー単縦陣出撃!!!
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「ふい~~~さっぱりしたなあ瑠璃ィ!!」
「さっぱりはええけど、狭いシャワールームの中でウェカ王子の頭がおっぱいに当たりまくりやで」
「何を言う、お前がシャワールームのど真ん中に仁王立ちするからだろ」
「頼みますからそういうお話は皆の前では止めて下さい、激しく誤解されますよ!」
メアはウェカ王子が妄想の中の美幼女依世ちゃんの事しか頭に無い事を十分知っているが、そういう事情を知らない一般兵にとっては、王子が山越え作戦に変なアダルトな愛人を連れて来ているふざけた行動にしか見えなかった。しかしそれはセクシーなメイドさんのメアにしても同じだったが。
「王子大変です! 斥候に出していた者が不審な動きを発見しました!!」
「シッ!!」
いつものほほんとしている王子が慌てて首を振る。
「もういいでしょ、いくら私でもまっすぐ川を進んでソーナサ・ガに向かっているのじゃ無いって事くらい気付きますよ」
「何だ報告せよ!!」
「ハッ、我らが野営地の真っすぐ下辺りに、巨大な兵器を持った魔ローダーが二機怪しい動きをしております。また近隣の木こりの話では魔砲の発射音の様な轟音が響いたとの話も……」
実は王子達は、ラ・マッロカンプ王のソーナサ・ガ国を攻めよという命令を無視して尾根伝いに東に進み、攻撃目標としていたメドース・リガリァ本国を越え、なんとトリッシュ国近くのサッワ達が陣取る山肌の真上辺りまで来ていた。そしてそれはスピネルの新ニナルティナ強襲部隊が出陣してから丁度入れ違いという状況だった。
「状況から明らかに同盟軍では無く、メド国軍の魔呂だと推定出来ますが、如何しますか?」
「どうするんや? このまま山下ってその巨大兵器とやらを持ってる敵倒すんか?」
多くの兵達と瑠璃ィがウェカ王子の顔色を伺う。
「………………メアはどう思う?」
全員コケた。
「え?? 私!? 私ですかっ!? え~~~っと、それ攻撃したら敵国を突然攻撃する作戦がバレちゃうんじゃないでしょうか」
「そうだな、ボクもそう思っていたんだ。そういう訳でメアの考えに従って、その敵は見逃す。もし全て何もかも上手く行かなくてこの作戦が大失敗に終わったら、全て全部メアの責任だからな」
「エーーーーーーーッ」
と、そこに別の新たな斥候の報告が上がって来た。
「報告します!! 木こりの情報によれば、少し以前に北に向かう魔ローダーと兵員の一団を見たとの事です!!」
思いがけない報告だが、それはスピネルの強襲部隊だった……
「何?? 北に向かう魔ローダーだって?? 瑠璃ィどういう事や??」
「王子言葉が伝染ってるで……そうやな、状況的に敵もウチらと同じ様に首都を急襲するつもりなんちゃうかなあ??」
「首都ってどこだよ……」
「それは同盟の女王様がいらっしゃる新ニナルティナではないでしょうか」
メアが恐る恐る言った。
「……同盟の女王様……ウッッ……依世ちゃんにそっくりだった!? 雪乃フル」
ドシュッ!!
瑠璃ィが兵達に見えない速さで王子の後頭部をヒットする。ドサッと王子は崩れ落ちた。
「王子ッ!?」
「王子は山越えの疲労が突然出て来たんや、寝かしたり!!」
「瑠璃ィさんあんまりやり過ぎると王子の脳が壊れちゃいますよ……それに今もっと大事な話をしてた気が……」
「ええんやで」
瑠璃ィが片手でウェカ王子を抱えながらにこっと笑った。
「ええ事ないでしょ……」
メアは冷や汗を流しながら首を振った。
―同盟軍、砂緒やY子達の本陣。
「掲げる旗に王冠のマーク、ユッマランド王の御到着だぞ!!」
「おおおっ直接俺達のユッマランド王が陣頭指揮だっ!!」
「オオーーーーーーッッ!!」
「勝つぞーーーーー!!」
遂に何頭もの馬に曳かれた巨大な馬車が王様の存在を示す煌びやかな旗をはためかせて野営地にやって来た。その前後にはさらに煌びやかな鎧を身に着けた重装騎兵が警備していた。出陣というよりもその存在を強く示して兵達を鼓舞する為のパレードの様な行列だった。
「……しかしミミイ王女はどうなったんだ?」
「大怪我してお城に帰ったらしいぞ。俺はミミイ王女が馬車で帰ったって噂を聞いた」
「……おかしいなあ、俺の兄は目の前でミミイ王女の白い魔呂が爆散したって言」
「シッ、余計な事を言うな!」
「不敬だぞっ!!」
こうしてミミイ王女の戦死はなんとなく知っている者は知っていたが、王様のド派手な登場で有耶無耶になったのだった。
「王様、おん自らの御出陣痛み入ります。大切な御息女、ミミイ王女の御最後について誠に申し訳無く、全ては指揮官であったこのY子の責任、よってその責を負って一兵卒に降格致したく思います。つきましてはこのメド国征伐本隊の総大将にご就任して頂きたく……」
Y子が兜を被ったまま、王様に跪いてたどたどしく申し入れた。
「うむ、その為に来た。しかしY子殿よ、そなたもこれまで通り幕僚として指揮の一旦を担う事を命じる。汚名をそそぎ、名誉を挽回せよ!!」
「ははっなんという寛容なお言葉、身命を賭して使命を果たします」
Y子はさらに頭を下げ、兜の下で涙を流していた。
(ミミイ、戦死したSRVの操縦者達……ごめんなさい……)
イェラがすっと前に歩み出る。
「よし、皆の者、ミミイ王女と八名の魔ローダー操縦者に黙祷!!」
イェラの言葉で王様含め全員がしばし黙祷をした。
「さて、王様良いですか? それがし今しがた敵の超長距離攻撃を防ぐ策を思い付き訓練も終了した所です。いつ此処に敵の爆撃があるかもしれない以上、すぐさまトリッシュ国を攻略し、その住民を人質として安全を確保したいと思っています。王様にはご出馬のお疲れの中、大変申し訳無いのですが、今すぐ出陣の号令をお願いしたく」
「こ、こら!」
砂緒がすすっと歩み出て臆する事無く、いきなり王様にお願いをする。イェラが慌てて制止をした。
「な、なんだなんで幕僚が集うこの場にウェイターが居る!? 早くこの者を摘まみ出せ」
「王様、薄情ですなあ……一度謁見したではないですか……」
砂緒は遠慮無く王様に接近する。場面の描写は省略されていたが、砂緒とセレネが二人で旅を始めた冒頭でユッマランドに立ち寄り王様に謁見していた。王様は大して興味が無く、適当に相手をしていたのだった。
「おお、セレネ王女の付き人か?」
「はい、従者から愛人に昇格しております。今は司令部付きの情報将校兼参謀として此処に派遣されて来ました」
また適当な嘘を付いた。
「しかし砂緒の言うように此処も何時攻撃があるか分からん、来られた早々王様には申し訳無いが、なるべく早く出陣したいんだ。あ、俺は西リュフミュランの国主衣図ライグと申します。以後見知りおきを」
「おお、其方が何かと評判の悪い……」
「スマン、砂緒も衣図ライグさんも出て来るな、いちいち話がややこしくなる! Y子も私イェラも早期の出陣に賛成です。どうぞ王様お願いします」
砂緒と衣図を押しのけてイェラが前に出た。
「うむ、では早速陣容を整えよ! 休憩等不要、すぐさま出陣じゃ、早う用意せい」
当然の話だが、出陣と言っても老齢の王様自体は此処本陣に残るか、出撃しても一番最後の安全な場である。
「ははっ!!」
来て早々王様はくつろぐ事も無く、全部隊に出撃の準備を命令した。そして砂緒が考えた策を実行に移すべく、Y子と兎幸のル・ツーを先頭に、まさに電車ごっこかムカデ競争の様に一列にずらっと並んだ。さらに衣図ライグ達地下侵入部隊は、トンネルの入り口に集結する。部隊の進行に合わせてバレ無いように次々にトンネルに突入する手はずだ。
「これは……何だ? 遊んでおるのでは無いな??」
「違います、これが必殺の防御策なのです。では私はこれでっ!」
等と言いながら砂緒は走って行き、自ら巨大なル・ツーの掌に掴まれた。
「や、やはり遊んでおるのではないか!? 何故あの男は人形の様に掴まれた!?」
王様がいちいち砂緒の行動に驚く……最後にイェラが王様の前に立った。
「王様、出撃の準備、滞り無く完了致しました。出撃の御下知を!!」
イェラが恭しく頭を下げた。それを聞いて列になった魔ローダー達の眼前ですっと片手を上げた。
「うむ、メドース・リガリァ征伐軍、ミミイ王女の仇を討ち、敵を殲滅せよ、出陣!!!」
王様が上げた手を振り下ろすと、Y子のル・ツー以下六機の魔ローダーを先頭に一斉に一列になって動き出した。
「さっぱりはええけど、狭いシャワールームの中でウェカ王子の頭がおっぱいに当たりまくりやで」
「何を言う、お前がシャワールームのど真ん中に仁王立ちするからだろ」
「頼みますからそういうお話は皆の前では止めて下さい、激しく誤解されますよ!」
メアはウェカ王子が妄想の中の美幼女依世ちゃんの事しか頭に無い事を十分知っているが、そういう事情を知らない一般兵にとっては、王子が山越え作戦に変なアダルトな愛人を連れて来ているふざけた行動にしか見えなかった。しかしそれはセクシーなメイドさんのメアにしても同じだったが。
「王子大変です! 斥候に出していた者が不審な動きを発見しました!!」
「シッ!!」
いつものほほんとしている王子が慌てて首を振る。
「もういいでしょ、いくら私でもまっすぐ川を進んでソーナサ・ガに向かっているのじゃ無いって事くらい気付きますよ」
「何だ報告せよ!!」
「ハッ、我らが野営地の真っすぐ下辺りに、巨大な兵器を持った魔ローダーが二機怪しい動きをしております。また近隣の木こりの話では魔砲の発射音の様な轟音が響いたとの話も……」
実は王子達は、ラ・マッロカンプ王のソーナサ・ガ国を攻めよという命令を無視して尾根伝いに東に進み、攻撃目標としていたメドース・リガリァ本国を越え、なんとトリッシュ国近くのサッワ達が陣取る山肌の真上辺りまで来ていた。そしてそれはスピネルの新ニナルティナ強襲部隊が出陣してから丁度入れ違いという状況だった。
「状況から明らかに同盟軍では無く、メド国軍の魔呂だと推定出来ますが、如何しますか?」
「どうするんや? このまま山下ってその巨大兵器とやらを持ってる敵倒すんか?」
多くの兵達と瑠璃ィがウェカ王子の顔色を伺う。
「………………メアはどう思う?」
全員コケた。
「え?? 私!? 私ですかっ!? え~~~っと、それ攻撃したら敵国を突然攻撃する作戦がバレちゃうんじゃないでしょうか」
「そうだな、ボクもそう思っていたんだ。そういう訳でメアの考えに従って、その敵は見逃す。もし全て何もかも上手く行かなくてこの作戦が大失敗に終わったら、全て全部メアの責任だからな」
「エーーーーーーーッ」
と、そこに別の新たな斥候の報告が上がって来た。
「報告します!! 木こりの情報によれば、少し以前に北に向かう魔ローダーと兵員の一団を見たとの事です!!」
思いがけない報告だが、それはスピネルの強襲部隊だった……
「何?? 北に向かう魔ローダーだって?? 瑠璃ィどういう事や??」
「王子言葉が伝染ってるで……そうやな、状況的に敵もウチらと同じ様に首都を急襲するつもりなんちゃうかなあ??」
「首都ってどこだよ……」
「それは同盟の女王様がいらっしゃる新ニナルティナではないでしょうか」
メアが恐る恐る言った。
「……同盟の女王様……ウッッ……依世ちゃんにそっくりだった!? 雪乃フル」
ドシュッ!!
瑠璃ィが兵達に見えない速さで王子の後頭部をヒットする。ドサッと王子は崩れ落ちた。
「王子ッ!?」
「王子は山越えの疲労が突然出て来たんや、寝かしたり!!」
「瑠璃ィさんあんまりやり過ぎると王子の脳が壊れちゃいますよ……それに今もっと大事な話をしてた気が……」
「ええんやで」
瑠璃ィが片手でウェカ王子を抱えながらにこっと笑った。
「ええ事ないでしょ……」
メアは冷や汗を流しながら首を振った。
―同盟軍、砂緒やY子達の本陣。
「掲げる旗に王冠のマーク、ユッマランド王の御到着だぞ!!」
「おおおっ直接俺達のユッマランド王が陣頭指揮だっ!!」
「オオーーーーーーッッ!!」
「勝つぞーーーーー!!」
遂に何頭もの馬に曳かれた巨大な馬車が王様の存在を示す煌びやかな旗をはためかせて野営地にやって来た。その前後にはさらに煌びやかな鎧を身に着けた重装騎兵が警備していた。出陣というよりもその存在を強く示して兵達を鼓舞する為のパレードの様な行列だった。
「……しかしミミイ王女はどうなったんだ?」
「大怪我してお城に帰ったらしいぞ。俺はミミイ王女が馬車で帰ったって噂を聞いた」
「……おかしいなあ、俺の兄は目の前でミミイ王女の白い魔呂が爆散したって言」
「シッ、余計な事を言うな!」
「不敬だぞっ!!」
こうしてミミイ王女の戦死はなんとなく知っている者は知っていたが、王様のド派手な登場で有耶無耶になったのだった。
「王様、おん自らの御出陣痛み入ります。大切な御息女、ミミイ王女の御最後について誠に申し訳無く、全ては指揮官であったこのY子の責任、よってその責を負って一兵卒に降格致したく思います。つきましてはこのメド国征伐本隊の総大将にご就任して頂きたく……」
Y子が兜を被ったまま、王様に跪いてたどたどしく申し入れた。
「うむ、その為に来た。しかしY子殿よ、そなたもこれまで通り幕僚として指揮の一旦を担う事を命じる。汚名をそそぎ、名誉を挽回せよ!!」
「ははっなんという寛容なお言葉、身命を賭して使命を果たします」
Y子はさらに頭を下げ、兜の下で涙を流していた。
(ミミイ、戦死したSRVの操縦者達……ごめんなさい……)
イェラがすっと前に歩み出る。
「よし、皆の者、ミミイ王女と八名の魔ローダー操縦者に黙祷!!」
イェラの言葉で王様含め全員がしばし黙祷をした。
「さて、王様良いですか? それがし今しがた敵の超長距離攻撃を防ぐ策を思い付き訓練も終了した所です。いつ此処に敵の爆撃があるかもしれない以上、すぐさまトリッシュ国を攻略し、その住民を人質として安全を確保したいと思っています。王様にはご出馬のお疲れの中、大変申し訳無いのですが、今すぐ出陣の号令をお願いしたく」
「こ、こら!」
砂緒がすすっと歩み出て臆する事無く、いきなり王様にお願いをする。イェラが慌てて制止をした。
「な、なんだなんで幕僚が集うこの場にウェイターが居る!? 早くこの者を摘まみ出せ」
「王様、薄情ですなあ……一度謁見したではないですか……」
砂緒は遠慮無く王様に接近する。場面の描写は省略されていたが、砂緒とセレネが二人で旅を始めた冒頭でユッマランドに立ち寄り王様に謁見していた。王様は大して興味が無く、適当に相手をしていたのだった。
「おお、セレネ王女の付き人か?」
「はい、従者から愛人に昇格しております。今は司令部付きの情報将校兼参謀として此処に派遣されて来ました」
また適当な嘘を付いた。
「しかし砂緒の言うように此処も何時攻撃があるか分からん、来られた早々王様には申し訳無いが、なるべく早く出陣したいんだ。あ、俺は西リュフミュランの国主衣図ライグと申します。以後見知りおきを」
「おお、其方が何かと評判の悪い……」
「スマン、砂緒も衣図ライグさんも出て来るな、いちいち話がややこしくなる! Y子も私イェラも早期の出陣に賛成です。どうぞ王様お願いします」
砂緒と衣図を押しのけてイェラが前に出た。
「うむ、では早速陣容を整えよ! 休憩等不要、すぐさま出陣じゃ、早う用意せい」
当然の話だが、出陣と言っても老齢の王様自体は此処本陣に残るか、出撃しても一番最後の安全な場である。
「ははっ!!」
来て早々王様はくつろぐ事も無く、全部隊に出撃の準備を命令した。そして砂緒が考えた策を実行に移すべく、Y子と兎幸のル・ツーを先頭に、まさに電車ごっこかムカデ競争の様に一列にずらっと並んだ。さらに衣図ライグ達地下侵入部隊は、トンネルの入り口に集結する。部隊の進行に合わせてバレ無いように次々にトンネルに突入する手はずだ。
「これは……何だ? 遊んでおるのでは無いな??」
「違います、これが必殺の防御策なのです。では私はこれでっ!」
等と言いながら砂緒は走って行き、自ら巨大なル・ツーの掌に掴まれた。
「や、やはり遊んでおるのではないか!? 何故あの男は人形の様に掴まれた!?」
王様がいちいち砂緒の行動に驚く……最後にイェラが王様の前に立った。
「王様、出撃の準備、滞り無く完了致しました。出撃の御下知を!!」
イェラが恭しく頭を下げた。それを聞いて列になった魔ローダー達の眼前ですっと片手を上げた。
「うむ、メドース・リガリァ征伐軍、ミミイ王女の仇を討ち、敵を殲滅せよ、出陣!!!」
王様が上げた手を振り下ろすと、Y子のル・ツー以下六機の魔ローダーを先頭に一斉に一列になって動き出した。
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