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III プレ女王国連合の成立
スピネルの戦略とアンジェ玻璃音メド国女王の決意
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「よろしいでしょうか?」
そこに珍しくスピネルが手を上げ、発言の許可を求めた。彼は与えられた指令は確実にこなす朴訥な武人だが、自らこの様に主張しようとする事は珍しかった。
「おお、スピネルよ何でも言ってくれ、そなたには全幅の信頼を置いておる」
「今報告がありました様に、今般の彼我の戦力差を考えれば持久の策を採ったり、通常の戦を展開すれば我が国は確実に滅びます」
「なっ」
今度は一瞬で貴嶋の顔に怒気が浮かぶ。
「……しかし、それがしに必勝の策があります。是非それを採用して頂きたい」
「うむ、聞いてみよう」
貴嶋が必勝の策と聞き、座り直して姿勢を正すと発言を許可した。
「はっ有難き幸せ。その必勝の策とは山越え策にござる」
「山越え……?」
あちこちでヒソヒソと話す声が。
「まず魔呂部隊を二つに別け、一隊はそれがしが指揮する少数精鋭の部隊として、このメド国の後背に存在するバックマウンテンを越え、新ニナルティナの新首都、港湾都市を急襲致します」
「おおっして?」
「はい……ここからが肝心なのですが、同じく随伴する手練れの兵達に港湾都市仮宮を占拠させ、そこに女王の替え玉を立て、新同盟女王として即位させます。そしてその新女王に停戦の発令をさせるのです」
「ほほう……」
貴嶋は少し考えた。
「はい、この策を成功させるもう一つのポイントとして、メド国に迫り来る同盟の大軍を引き付ける必要性があります。まずトリッシュを最前線として、そこまでに幾重もの堀を作り砦を作り防御陣を張ります。そこに敵が攻め込んで来た所でトリッシュは放棄、敵軍を我が領土内部に招き寄せ、待ち構えた伏兵で順次攻撃しては引くを繰り返し敵軍を疲弊させます。この間にそれがしが指揮する我が兵が港湾都市の仮宮を陥落させるのです!」
「そう上手く行く物だろうか……」
貴嶋は確かに賞賛はありそうだが、一つ歯車が狂えばやはり大敗北が待っていると感じた。
「恐れながら……」
「何だサッワよ」
サッワは一礼すると発言を続けた。
「僕もスピネル様の作戦に賛成します。我が国が起死回生の勝利を得るにはこれしか無いかと。さらに僕とココナ様は敵魔呂を一撃破壊する必殺の新武器を開発中です。これが完成すれば敵軍を自陣に招き入れて撃滅する策に打って付けの装備となります。必ず大戦までに完成させます! そして……その武器で、もし戦場に敵旗機、蛇輪が現れれば必ずや破壊してみせます!!」
何だか今までのサッワとは違う迫力があった。
「わたくしも大急ぎで新武器を完成させますわっ」
ココナツヒメがサッワに続く。
「うむ、スピネルとサッワとココナ殿の意見が合った……ならばそれに掛けよう。しかし……停戦の号令を掛ける新女王とやらは、どの様な?」
「はい、それはそこら辺を歩いている侍女か何かを新女王として利用致します、それで……」
スピネルが話している最中だった、後ろのヴェールが侍女によって開かれ、メドース・リガリァのアンジェ玻璃音女王が一人で議場に降りて来た。
「じょ、女王!? 女王陛下に礼ッッ」(何を……??)
貴嶋の号令で皆が礼をしている内にアンジェ女王が語り出した。
「スピネルよ、その停戦の号令をする新女王とやらの役目、このアンジェ玻璃音が果たしましょう。そもそも停戦は我が意志、その役割わたくし以外に務まるとは思えません」
女王陛下は静かな口調で、しかし決意の固い意志の籠った言葉で言った。
そこに珍しくスピネルが手を上げ、発言の許可を求めた。彼は与えられた指令は確実にこなす朴訥な武人だが、自らこの様に主張しようとする事は珍しかった。
「おお、スピネルよ何でも言ってくれ、そなたには全幅の信頼を置いておる」
「今報告がありました様に、今般の彼我の戦力差を考えれば持久の策を採ったり、通常の戦を展開すれば我が国は確実に滅びます」
「なっ」
今度は一瞬で貴嶋の顔に怒気が浮かぶ。
「……しかし、それがしに必勝の策があります。是非それを採用して頂きたい」
「うむ、聞いてみよう」
貴嶋が必勝の策と聞き、座り直して姿勢を正すと発言を許可した。
「はっ有難き幸せ。その必勝の策とは山越え策にござる」
「山越え……?」
あちこちでヒソヒソと話す声が。
「まず魔呂部隊を二つに別け、一隊はそれがしが指揮する少数精鋭の部隊として、このメド国の後背に存在するバックマウンテンを越え、新ニナルティナの新首都、港湾都市を急襲致します」
「おおっして?」
「はい……ここからが肝心なのですが、同じく随伴する手練れの兵達に港湾都市仮宮を占拠させ、そこに女王の替え玉を立て、新同盟女王として即位させます。そしてその新女王に停戦の発令をさせるのです」
「ほほう……」
貴嶋は少し考えた。
「はい、この策を成功させるもう一つのポイントとして、メド国に迫り来る同盟の大軍を引き付ける必要性があります。まずトリッシュを最前線として、そこまでに幾重もの堀を作り砦を作り防御陣を張ります。そこに敵が攻め込んで来た所でトリッシュは放棄、敵軍を我が領土内部に招き寄せ、待ち構えた伏兵で順次攻撃しては引くを繰り返し敵軍を疲弊させます。この間にそれがしが指揮する我が兵が港湾都市の仮宮を陥落させるのです!」
「そう上手く行く物だろうか……」
貴嶋は確かに賞賛はありそうだが、一つ歯車が狂えばやはり大敗北が待っていると感じた。
「恐れながら……」
「何だサッワよ」
サッワは一礼すると発言を続けた。
「僕もスピネル様の作戦に賛成します。我が国が起死回生の勝利を得るにはこれしか無いかと。さらに僕とココナ様は敵魔呂を一撃破壊する必殺の新武器を開発中です。これが完成すれば敵軍を自陣に招き入れて撃滅する策に打って付けの装備となります。必ず大戦までに完成させます! そして……その武器で、もし戦場に敵旗機、蛇輪が現れれば必ずや破壊してみせます!!」
何だか今までのサッワとは違う迫力があった。
「わたくしも大急ぎで新武器を完成させますわっ」
ココナツヒメがサッワに続く。
「うむ、スピネルとサッワとココナ殿の意見が合った……ならばそれに掛けよう。しかし……停戦の号令を掛ける新女王とやらは、どの様な?」
「はい、それはそこら辺を歩いている侍女か何かを新女王として利用致します、それで……」
スピネルが話している最中だった、後ろのヴェールが侍女によって開かれ、メドース・リガリァのアンジェ玻璃音女王が一人で議場に降りて来た。
「じょ、女王!? 女王陛下に礼ッッ」(何を……??)
貴嶋の号令で皆が礼をしている内にアンジェ女王が語り出した。
「スピネルよ、その停戦の号令をする新女王とやらの役目、このアンジェ玻璃音が果たしましょう。そもそも停戦は我が意志、その役割わたくし以外に務まるとは思えません」
女王陛下は静かな口調で、しかし決意の固い意志の籠った言葉で言った。
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