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III プレ女王国連合の成立
ラ・マッロカンプ軍出陣!!
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「………………」
(ちょっソーナ・サガに攻め込む?? そ、そんな……作戦のインパクトがっ!!)
ウェカ王子は王様の提案に戸惑った。
「王子、王様の言う事も最もやで。後背からソーナ・サガを攻め落とせば、メド国本国はもうすぐそば。敵国一番乗りに最も近い位置や。それでまずは納得しいや」
「う、うん……そうだね、そうするよっ!!」
瑠璃ィに説得されてようやく納得した王子だった。
「ウェカよ、近くに来なさい」
「は、はい……」
王様はウェカ王子を強く抱き締めた。
「おおお、ウェカよ、よくもここまで立派に強く成長したな、パパ上は嬉しいぞっ」
「パパ上っ」
二人は涙を流して抱き合った。威厳ありそうに見えた父王もただの親バカだった……。周囲の者達は二人の様子を目を細めて無言でしばし眺めたのだった。
(皆いい迷惑だわ……)
メアは他人事の様に連れていかれる兵達の事を心配した。
そして軍議は終了した。
「……ウェカ王子、凄く変わりましたね。以前は依世ちゃんしか言わなかったヤバイ知能の持ち主だったのに、急に国の行く末まで考えだして……ちょっと見直しましたよ! 私お城で王子の無事のお帰りをずっと祈って待っていますねっ!」
メアは頬を少し赤らめて両手を揃えて目をキラキラさせて言った。ここでポイントを稼げば玉の輿への道がぐっと近づくと計算したのだ。むしろ戦死でもされたらえらい事だ。
「メア……」
「王子、私……王子の事が……」
(むふふふふふ、我ながらいい感じだわっまさかっ出発前に祝言とか!? それなら遺産もウフフ)
「メア、何を言っている、お前も来るんだぞ当たり前だろうが」
「へ?」
メアは一瞬何を言われてるのか分からなかった。
「あ、あの……言い間違いですよね?」
「何がだ? メアも作戦に付いて来るんだ」
「いえいえいえ、私魔導士とか魔法使いじゃないし、ただのセクシーメイドさんですよ?」
「そうだぞ、当たり前じゃないか。お前はメイドさんであり、ボクの唯一の友達じゃないかっ! だから付いて来る事に決まっている!!」
メアは頭がくらくらした。
「あ、あの……冗談ですわよね?? 普通王子さまって女の子を守る為に戦うのですわよね? 何故か弱い私を戦に巻き込むのですか? 意味が分かりません……」
「うん、意味とか気にするな。お前も来い。瑠璃ィ、もしこいつが抵抗したらお前の怪力で縄で縛ってでも連れて来い!」
「ラジャー!!」
「瑠璃ィイイイイイイイイイイイイッッ!! 貴様ッッ!?」
メアは瑠璃ィを睨んだが、瑠璃ィはニコニコしている。
「安心しいや、自慢や無いけどウチはめちゃめちゃ強いんやで、王子もメアちゃんもウチが絶対に守るさかいに大船に乗った気で来たらええんやで」
「大船に乗った気になれる訳ないでしょっ!」
メアは再び頭がくらくらした。
「しょ、醤油を一升瓶飲んで病気になってやるっ!! このバカ王子っ!!」
メアは走って行った。
「おーーいメア、脱走しても瑠璃ィに捕まえさせるからなっ!」
走り去るメアに向けて王子が無情な声を掛けた。
―そして出陣の日、北部海峡列国同盟の中では、勝手に私戦を始めて大敗をした衣図ライグを除き、メド国征伐戦へ最初の出陣となった。
「メア安心しろ、ちゃんとお前専用の部屋コンテナをボクが担いで行くからな。プライバシーに配慮したバストイレ付の特別製だぞ」
「そうやでメアちゃん、それにウチの部隊の後部には道路敷設部隊も付いて来るから、なんかあったら道路伝ってすぐにお城に帰れる様になるんや、何の心配も無いで」
出陣の日になってもまだまだ不機嫌なメアを珍しくウェカ王子と瑠璃ィがご機嫌を取る様に説得した。
「……行きたく無いです」
メアは首を振った。
「……お願いだよ、正直に言うとボクは唯一の友達のメアが側に居ないと不安になるんだよ」
いつも傲慢なウェカ王子が珍しく頭を下げてメアにお願いする。
「………………だったら戦争が終わったら私をお嫁さんにして、贅沢な暮らしを保証してくれますか?」
メアは頬を真っ赤に染めて伏し目がちに言った。
「ごめん、無理。ボクには衣世ちゃんがいるからっ!!」
「おーーーまーーーえーーーーーーーー!!!」
メアはキバを出して王子に殴りかかるが、周囲の者達に止められる。
「とにかくっ一緒に行ってもらうっ出発っっ!!」
「よし、ラ・マッロカンプ軍出陣!!!」
王子のいい加減な号令から次々に各部隊に出陣が伝達され、カラス城からウララ川沿いに遡上する様に南に向けてラ・マッロカンプ軍が進発を始めた。当然その先頭には王子の魔ローダージェイドと瑠璃ィキャナリーのホーネットが進んでいる。そしてジェイドの操縦席の後ろには、特別にあつらえられたフカフカのクッション付きのシートが据え付けられていて、そこにメアは強制的に座らされていた。
「わーーーかーーりーーましたっ! でももし死ぬ様な事があったら祟って出ますからねっ!」
「安心しろ、お前が死ぬときはボクも死ぬときだから、祟って出る事は不可能だぞ!」
「あんたわーーーっ!!」
しかしメアは王子の言葉が半分プロポーズぽくなっている事に気付いていなかった。
※ウェカ王子のラ・マッロカンプ王国は、地図中のユティトレッドの西隣となります。
※イ・オサ新城はニナルティナのハルカ城とオゴ砦の中間地点にあります。
(ちょっソーナ・サガに攻め込む?? そ、そんな……作戦のインパクトがっ!!)
ウェカ王子は王様の提案に戸惑った。
「王子、王様の言う事も最もやで。後背からソーナ・サガを攻め落とせば、メド国本国はもうすぐそば。敵国一番乗りに最も近い位置や。それでまずは納得しいや」
「う、うん……そうだね、そうするよっ!!」
瑠璃ィに説得されてようやく納得した王子だった。
「ウェカよ、近くに来なさい」
「は、はい……」
王様はウェカ王子を強く抱き締めた。
「おおお、ウェカよ、よくもここまで立派に強く成長したな、パパ上は嬉しいぞっ」
「パパ上っ」
二人は涙を流して抱き合った。威厳ありそうに見えた父王もただの親バカだった……。周囲の者達は二人の様子を目を細めて無言でしばし眺めたのだった。
(皆いい迷惑だわ……)
メアは他人事の様に連れていかれる兵達の事を心配した。
そして軍議は終了した。
「……ウェカ王子、凄く変わりましたね。以前は依世ちゃんしか言わなかったヤバイ知能の持ち主だったのに、急に国の行く末まで考えだして……ちょっと見直しましたよ! 私お城で王子の無事のお帰りをずっと祈って待っていますねっ!」
メアは頬を少し赤らめて両手を揃えて目をキラキラさせて言った。ここでポイントを稼げば玉の輿への道がぐっと近づくと計算したのだ。むしろ戦死でもされたらえらい事だ。
「メア……」
「王子、私……王子の事が……」
(むふふふふふ、我ながらいい感じだわっまさかっ出発前に祝言とか!? それなら遺産もウフフ)
「メア、何を言っている、お前も来るんだぞ当たり前だろうが」
「へ?」
メアは一瞬何を言われてるのか分からなかった。
「あ、あの……言い間違いですよね?」
「何がだ? メアも作戦に付いて来るんだ」
「いえいえいえ、私魔導士とか魔法使いじゃないし、ただのセクシーメイドさんですよ?」
「そうだぞ、当たり前じゃないか。お前はメイドさんであり、ボクの唯一の友達じゃないかっ! だから付いて来る事に決まっている!!」
メアは頭がくらくらした。
「あ、あの……冗談ですわよね?? 普通王子さまって女の子を守る為に戦うのですわよね? 何故か弱い私を戦に巻き込むのですか? 意味が分かりません……」
「うん、意味とか気にするな。お前も来い。瑠璃ィ、もしこいつが抵抗したらお前の怪力で縄で縛ってでも連れて来い!」
「ラジャー!!」
「瑠璃ィイイイイイイイイイイイイッッ!! 貴様ッッ!?」
メアは瑠璃ィを睨んだが、瑠璃ィはニコニコしている。
「安心しいや、自慢や無いけどウチはめちゃめちゃ強いんやで、王子もメアちゃんもウチが絶対に守るさかいに大船に乗った気で来たらええんやで」
「大船に乗った気になれる訳ないでしょっ!」
メアは再び頭がくらくらした。
「しょ、醤油を一升瓶飲んで病気になってやるっ!! このバカ王子っ!!」
メアは走って行った。
「おーーいメア、脱走しても瑠璃ィに捕まえさせるからなっ!」
走り去るメアに向けて王子が無情な声を掛けた。
―そして出陣の日、北部海峡列国同盟の中では、勝手に私戦を始めて大敗をした衣図ライグを除き、メド国征伐戦へ最初の出陣となった。
「メア安心しろ、ちゃんとお前専用の部屋コンテナをボクが担いで行くからな。プライバシーに配慮したバストイレ付の特別製だぞ」
「そうやでメアちゃん、それにウチの部隊の後部には道路敷設部隊も付いて来るから、なんかあったら道路伝ってすぐにお城に帰れる様になるんや、何の心配も無いで」
出陣の日になってもまだまだ不機嫌なメアを珍しくウェカ王子と瑠璃ィがご機嫌を取る様に説得した。
「……行きたく無いです」
メアは首を振った。
「……お願いだよ、正直に言うとボクは唯一の友達のメアが側に居ないと不安になるんだよ」
いつも傲慢なウェカ王子が珍しく頭を下げてメアにお願いする。
「………………だったら戦争が終わったら私をお嫁さんにして、贅沢な暮らしを保証してくれますか?」
メアは頬を真っ赤に染めて伏し目がちに言った。
「ごめん、無理。ボクには衣世ちゃんがいるからっ!!」
「おーーーまーーーえーーーーーーーー!!!」
メアはキバを出して王子に殴りかかるが、周囲の者達に止められる。
「とにかくっ一緒に行ってもらうっ出発っっ!!」
「よし、ラ・マッロカンプ軍出陣!!!」
王子のいい加減な号令から次々に各部隊に出陣が伝達され、カラス城からウララ川沿いに遡上する様に南に向けてラ・マッロカンプ軍が進発を始めた。当然その先頭には王子の魔ローダージェイドと瑠璃ィキャナリーのホーネットが進んでいる。そしてジェイドの操縦席の後ろには、特別にあつらえられたフカフカのクッション付きのシートが据え付けられていて、そこにメアは強制的に座らされていた。
「わーーーかーーりーーましたっ! でももし死ぬ様な事があったら祟って出ますからねっ!」
「安心しろ、お前が死ぬときはボクも死ぬときだから、祟って出る事は不可能だぞ!」
「あんたわーーーっ!!」
しかしメアは王子の言葉が半分プロポーズぽくなっている事に気付いていなかった。
※ウェカ王子のラ・マッロカンプ王国は、地図中のユティトレッドの西隣となります。
※イ・オサ新城はニナルティナのハルカ城とオゴ砦の中間地点にあります。
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