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III プレ女王国連合の成立
ナメ国攻略! 七人の娘と山の女神
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『一体どなたかな?』
出現した貴人に反応して黒い魔ローダーから大音響で返事があった。
「わしはナメ国国主、シャル王じゃ。そなたの申し出を受けようぞ、同盟軍南方司令とやら。だから城を攻撃するのは止めてもらいたい!」
黒い稲妻Ⅱの魔法モニターの拡大画面には、冷や汗を掻き大声を張り上げる王の姿があった。
「ありゃ、王様ってばシャルと同じ名前なんだ……なんだか親近感湧くわぁ」
「どうするの?」
兎幸が聞いてくる。
『おお、シャル王殿有難い。民や兵に被害を出さない為の貴方の尊い判断、痛み入る。我らは戦闘を一刻も早く停止し、この城を前線基地として使用させてもらいたいのだ』
Y子こと同盟女王雪乃フルエレは早く済ませたくて単刀直入に要求を述べた。
「貴方の言う事やる事はいちいち先に此処を占領したメドース・リガリァと寸分違わぬ言い種。その様な有様でメドース・リガリァ兵達が逃げた今、また同じような貴方達の軍に降る理由がありましょうか」
シャル王の言う事は最もだった。Y子の要求は一方的であり魔ローダーの武力で脅して要求を飲ませているのに等しかった。王は続けた。
「もし要求を飲まなければなんとするのでしょうか? そもそも私は姿を晒し兵より前で叫んでいるのに、貴方は巨大な兵器の中でこちらを威圧している。これでまともな交渉と言えるでしょうか」
いちいち最もだった。
「Y子さん挑発に乗らないで下さい。もはや城を壊すのもアリかと」
「私もそう思うわ。およそ降りそうにない」
Y子が切れて軽挙妄動しないか慌ててミミイ王女とメランが気を遣った。
『……貴方の言う事いちいちごもっとも。それではまずはハッチを開き姿を晒そう』
「エーーーッY子さん危険ですやめてッ」
「大丈夫だ。兎幸にカバーしてもらう。兎幸、魔ローンを展開して、攻撃があった瞬間に操縦席をカバーする事は出来るかな?」
「余裕で出来るよん。六枚出す??」
「いや、派手にしたく無い。では魔ローン展開一枚」
「はいはい」
兎幸の言葉を合図に黒い稲妻Ⅱの背中の異次元から魔ローンが一枚だけ回転しながら出て来る。
「背中に魔ローンが出たっ様子を見守りましょう」
「ええ、そうね」
バシャッ
黒い稲妻Ⅱの腰を落とし、王様と同じ目線に下がるとハッチを開けた。その瞬間に後ろに立っていた兎幸は座席の後ろの仮設のパイプ椅子にさっと隠れた。
「おお、かたじけない。いくら声色を低くしても、やはりそなた女子であったか。これで少しは安心して話せるという物じゃ」
『こちらの誠意お分かりいただけただろうか』
「しかしまだ気になる事がある。そなたは黒い兜を被っている。それを脱いでもらいたい」
王様はどんどん要求をエスカレートして来た。
「何なの? Y子さまもう相手にするの止めたら?」
「顔を晒して魔銃のスナイパーに狙わせるのかもしれません。お止め下さい」
『良いだろう……』
カチャッカチャッ
Y子はまるで子供の用に一瞬バイザーを開けると、即座に降ろした。
「それは……からかっているのでしょうか? その様な態度では腹を割って話し合う事など」
「もういいわ、私が王様を魔法で狙撃する!」
今度はメランがしびれを切らしてY子に提案する。
「やめなさい。我が兜を脱ごう。どうせ見えるのはシャル王一人」
「そんな、お止め下さい!」
カシャッ
遂にY子は兜を完全に脱ぎ切った。脱いだ途端にさらさらふわふわの金髪がさぁと風になびいた。
「おお……なんと女神か……」
シャル王は兜を脱いだY子、雪乃フルエレ女王の余りの神々しい美しさに息を飲みしばらく絶句した。人間になりたてで性格が痛い砂緒ですら一目惚れしたフルエレである、王様には大げさでなく女神の様に見えたのだった。
「普段は隠している身、もう良いでしょう」
そう言うとY子は再び黒い無骨な兜を被った。
「分かり申した……このシャル、このナメ国の王としてこの城差し出しましょうぞ」
「やたっ」
「Y子さんの顔パワー凄いっ!」
某筋肉王子の様な素顔の威力にミミイとメランは抱き着いて喜んだ。
「有難い……」
「だがしかし……もう一つ条件があります」
「え、まだあんの??」
「しつこいな……」
「何でしょうか? 聞ける物なら、無理難題で無いなら何なりと」
Y子はあと一押しだと思い、王様の願いを聞く事とした。
「実はメドース・リガリァが攻めて来る寸前、この国でも若い美しい娘七人を古来から女神が住むと言われる南の山に潜ませているのです。その娘七人を貴方一人で迎えに行って頂きたい。その娘の中の一人はわしの娘、つまりこの国の姫でもあります。警戒心無く娘達が戻ってくればこの国を差し出しましょう」
シャル王はそう言って頭を下げた。
「若い美しい娘だけ避難って、差別だ差別ブーブー」
「うるさいっ」
『良いでしょう。この魔ローダーのままで良ければ娘さん達を迎えに行きましょう』
「お頼みします」
Y子が請け負うと王様は再び深々と頭を下げた。メドース・リガリァが攻めて来るというので、女神伝説がある山奥に姫達を隠したのは良いが、どのタイミングで呼び戻して良いか分からず、娘達の状態も謎のままであった。試練や無理難題と言うよりも本心で渡りに船でY子に困り事を頼んでいるのだった。
『では早速ミミイという女性に地図を受け取らせて下さい』
「おお、有難い」
「え、何で私!?」
ぶつくさ言いながらもミミイはピョンと魔戦車を降りると走って行った。そして城壁から出て来た兵から地図を受け取ると巨大な魔呂の手に乗った兎幸に地図を渡した。
「この地図見にくいわねえ……こんな事なら詳しい人を一人人質に連れてくるのだったワ」
「フルエレー、人探ししてるの??」
「フルエレでは無いっ、Y子だっ」
「はぁ~~い。Y子ちゃん人探し??」
「そうだ」
「あ、じゃあさっ、兎幸の魔ローンでみつけてあげよか??」
フルエレの脳内に砂緒と二人で天球庭園に行った時に北部では乱獲の為に絶滅しかけたモンスター達をUFOでキャッチャーしている姿が思い出された。
「あっあれあれ、便利ねえ、お願いするわ」
気を抜くとすぐに女言葉に戻るY子だった。
「いっけえ魔ローン達っ!」
兎幸が自己修復された六機全ての魔ローンを展開すると、すぐにビュンビュンと飛んでく。
「きいいいいやあああああああああ」
すぐさま山奥に若い女性の甲高い叫び声がこだました。
「凄いもう見つかっちゃった!!」
戻って来た一機の魔ローンの下には巨大なマジックハンドで吊り下げられたうら若い乙女が居た。
「うえーーーーん、怖いよー私を食べないで下さい」
めそめそ泣きながら顔を覆う乙女を見て、Y子は慌てて巨大な掌を差し出しながらハッチを開けた。
「泣かれるな! 私はシャル王の使いの者、もはや安全になった為に貴方達をお迎えに上がった」
Y子は泣きじゃくる娘に向かって兜を脱いだ。
「やっぱフルエレじゃん……」
「誰にも言わないで」
「わぁ……綺麗な子……」
娘は天使の様なフルエレの素顔に一瞬我を忘れた。この状態にはセレネもなった事があり、そのパワーは健在だった。しかし真横にいた兎幸にも完全に顔を覗かれる。
「さあ来なさい」
「ほ、本当に王様の使いなんですね」
若い娘は高い場所から下をおっかなびっくりという様子で確認しながら掌に乗り移った。
「よし、どんどん来いっ!!」
「よーーし、どんどん行っけぇえええ」
これを手始めに次々と山に籠る六人の若い美しい娘達を救出し続けた。
「うわーーー掌の上若い子でいっぱいだぁ」
「落ちないでね」
兎幸の言う通り魔ローダーの両掌の上にはヒヨコの様に若い娘達が溢れていた。
「あと一人ね……何処に行ってしまったのだろう、もしかして……既に死……」
「うんじゃあ、戻って来た六機全部で探しに行くね」
「貴方達残りの一人を知らない?」
「申し訳ありません……そのもう一人こそナメ国の王女様です。彼女はお一人で平和を祈る為にさらに山奥に……」
「無事でいて下されば良いのですが……」
口々に娘達がかしましく会話する。
「困ったわね……一番肝心の王様の娘が……」
「あっ居たよ!! 山奥の小さな小屋に居たっ」
「ホッ良かった」
「あ……でも降りたくないってさ」
「何故? 会話出来るの?」
「どぞー」
兎幸はおでこをフルエレにひっつけた。
「どうしたのですか? 父王がご心配されております」
「わらわは此処で……皆の平安を祈っております……ここで女神となります」
「そんなっ、犠牲になるなんて……戻って幸せを見つけて下さい!」
フルエレは身につまされ切実に王女を説得した。
「ちょいちょい、フルエレ映像を観て。目をつぶってみてっ」
「映像??」
兎幸に言われてフルエレは目を閉じた。
「あっ……」
シャル王に言われて美しい乙女だと聞かされていた姫は、少しぽっちゃりしていた。王の入念な準備により数年分の食料を備蓄していた姫は、ストレスのあまり食べ過ぎ運動不足に陥っていたのだった。
「全然、全然、大丈夫だよ、全然太ってないです!」
「え、私そんな事言いました? 何故突然太ってないとか言うのですかっ??」
「い、いやそれは、エヘヘ」
「エヘヘじゃ無いです! 絶対降りませんッッ!!」
「ええい埒があかんわ、兎幸強硬措置!」
「アイアイサー」
兎幸が言うと、魔ローンは姫を巨大マジックハンドで掴み上げた。
「きゃっ」
(太った)
(太ってる)
(あれ!?)
掌に降り立った姫を見て、同時期に山に入った乙女達は一斉同時に太ったと感じたが、誰一人口に出さなかった……
『シャル王よ、無事姫含め七人の乙女を回収致しました! どなたもご無事ですぞ』
山から戻った黒い稲妻Ⅱは意気揚々と乙女達を城壁の上に優しく置いた。
「おお、おお、姫……わが愛しの……娘……よ」
(あれ、太った?)
しかし再会を待ち望んだ愛娘には違いなかった。シャル王は姫を全身で抱き締めた。
「お、お父様! わあああああああああああ」
その場に居た者はしばし二人の感動の再会を見守った。そして残りの娘達もそれぞれ家族の下に戻って行った。
「おお、Y子殿は八番目の女神様じゃ、感謝してもしきれん。この城自由に使って下され」
こうして時間はかかったが、Y子の軍は平和裏に正門から入城して行った。
出現した貴人に反応して黒い魔ローダーから大音響で返事があった。
「わしはナメ国国主、シャル王じゃ。そなたの申し出を受けようぞ、同盟軍南方司令とやら。だから城を攻撃するのは止めてもらいたい!」
黒い稲妻Ⅱの魔法モニターの拡大画面には、冷や汗を掻き大声を張り上げる王の姿があった。
「ありゃ、王様ってばシャルと同じ名前なんだ……なんだか親近感湧くわぁ」
「どうするの?」
兎幸が聞いてくる。
『おお、シャル王殿有難い。民や兵に被害を出さない為の貴方の尊い判断、痛み入る。我らは戦闘を一刻も早く停止し、この城を前線基地として使用させてもらいたいのだ』
Y子こと同盟女王雪乃フルエレは早く済ませたくて単刀直入に要求を述べた。
「貴方の言う事やる事はいちいち先に此処を占領したメドース・リガリァと寸分違わぬ言い種。その様な有様でメドース・リガリァ兵達が逃げた今、また同じような貴方達の軍に降る理由がありましょうか」
シャル王の言う事は最もだった。Y子の要求は一方的であり魔ローダーの武力で脅して要求を飲ませているのに等しかった。王は続けた。
「もし要求を飲まなければなんとするのでしょうか? そもそも私は姿を晒し兵より前で叫んでいるのに、貴方は巨大な兵器の中でこちらを威圧している。これでまともな交渉と言えるでしょうか」
いちいち最もだった。
「Y子さん挑発に乗らないで下さい。もはや城を壊すのもアリかと」
「私もそう思うわ。およそ降りそうにない」
Y子が切れて軽挙妄動しないか慌ててミミイ王女とメランが気を遣った。
『……貴方の言う事いちいちごもっとも。それではまずはハッチを開き姿を晒そう』
「エーーーッY子さん危険ですやめてッ」
「大丈夫だ。兎幸にカバーしてもらう。兎幸、魔ローンを展開して、攻撃があった瞬間に操縦席をカバーする事は出来るかな?」
「余裕で出来るよん。六枚出す??」
「いや、派手にしたく無い。では魔ローン展開一枚」
「はいはい」
兎幸の言葉を合図に黒い稲妻Ⅱの背中の異次元から魔ローンが一枚だけ回転しながら出て来る。
「背中に魔ローンが出たっ様子を見守りましょう」
「ええ、そうね」
バシャッ
黒い稲妻Ⅱの腰を落とし、王様と同じ目線に下がるとハッチを開けた。その瞬間に後ろに立っていた兎幸は座席の後ろの仮設のパイプ椅子にさっと隠れた。
「おお、かたじけない。いくら声色を低くしても、やはりそなた女子であったか。これで少しは安心して話せるという物じゃ」
『こちらの誠意お分かりいただけただろうか』
「しかしまだ気になる事がある。そなたは黒い兜を被っている。それを脱いでもらいたい」
王様はどんどん要求をエスカレートして来た。
「何なの? Y子さまもう相手にするの止めたら?」
「顔を晒して魔銃のスナイパーに狙わせるのかもしれません。お止め下さい」
『良いだろう……』
カチャッカチャッ
Y子はまるで子供の用に一瞬バイザーを開けると、即座に降ろした。
「それは……からかっているのでしょうか? その様な態度では腹を割って話し合う事など」
「もういいわ、私が王様を魔法で狙撃する!」
今度はメランがしびれを切らしてY子に提案する。
「やめなさい。我が兜を脱ごう。どうせ見えるのはシャル王一人」
「そんな、お止め下さい!」
カシャッ
遂にY子は兜を完全に脱ぎ切った。脱いだ途端にさらさらふわふわの金髪がさぁと風になびいた。
「おお……なんと女神か……」
シャル王は兜を脱いだY子、雪乃フルエレ女王の余りの神々しい美しさに息を飲みしばらく絶句した。人間になりたてで性格が痛い砂緒ですら一目惚れしたフルエレである、王様には大げさでなく女神の様に見えたのだった。
「普段は隠している身、もう良いでしょう」
そう言うとY子は再び黒い無骨な兜を被った。
「分かり申した……このシャル、このナメ国の王としてこの城差し出しましょうぞ」
「やたっ」
「Y子さんの顔パワー凄いっ!」
某筋肉王子の様な素顔の威力にミミイとメランは抱き着いて喜んだ。
「有難い……」
「だがしかし……もう一つ条件があります」
「え、まだあんの??」
「しつこいな……」
「何でしょうか? 聞ける物なら、無理難題で無いなら何なりと」
Y子はあと一押しだと思い、王様の願いを聞く事とした。
「実はメドース・リガリァが攻めて来る寸前、この国でも若い美しい娘七人を古来から女神が住むと言われる南の山に潜ませているのです。その娘七人を貴方一人で迎えに行って頂きたい。その娘の中の一人はわしの娘、つまりこの国の姫でもあります。警戒心無く娘達が戻ってくればこの国を差し出しましょう」
シャル王はそう言って頭を下げた。
「若い美しい娘だけ避難って、差別だ差別ブーブー」
「うるさいっ」
『良いでしょう。この魔ローダーのままで良ければ娘さん達を迎えに行きましょう』
「お頼みします」
Y子が請け負うと王様は再び深々と頭を下げた。メドース・リガリァが攻めて来るというので、女神伝説がある山奥に姫達を隠したのは良いが、どのタイミングで呼び戻して良いか分からず、娘達の状態も謎のままであった。試練や無理難題と言うよりも本心で渡りに船でY子に困り事を頼んでいるのだった。
『では早速ミミイという女性に地図を受け取らせて下さい』
「おお、有難い」
「え、何で私!?」
ぶつくさ言いながらもミミイはピョンと魔戦車を降りると走って行った。そして城壁から出て来た兵から地図を受け取ると巨大な魔呂の手に乗った兎幸に地図を渡した。
「この地図見にくいわねえ……こんな事なら詳しい人を一人人質に連れてくるのだったワ」
「フルエレー、人探ししてるの??」
「フルエレでは無いっ、Y子だっ」
「はぁ~~い。Y子ちゃん人探し??」
「そうだ」
「あ、じゃあさっ、兎幸の魔ローンでみつけてあげよか??」
フルエレの脳内に砂緒と二人で天球庭園に行った時に北部では乱獲の為に絶滅しかけたモンスター達をUFOでキャッチャーしている姿が思い出された。
「あっあれあれ、便利ねえ、お願いするわ」
気を抜くとすぐに女言葉に戻るY子だった。
「いっけえ魔ローン達っ!」
兎幸が自己修復された六機全ての魔ローンを展開すると、すぐにビュンビュンと飛んでく。
「きいいいいやあああああああああ」
すぐさま山奥に若い女性の甲高い叫び声がこだました。
「凄いもう見つかっちゃった!!」
戻って来た一機の魔ローンの下には巨大なマジックハンドで吊り下げられたうら若い乙女が居た。
「うえーーーーん、怖いよー私を食べないで下さい」
めそめそ泣きながら顔を覆う乙女を見て、Y子は慌てて巨大な掌を差し出しながらハッチを開けた。
「泣かれるな! 私はシャル王の使いの者、もはや安全になった為に貴方達をお迎えに上がった」
Y子は泣きじゃくる娘に向かって兜を脱いだ。
「やっぱフルエレじゃん……」
「誰にも言わないで」
「わぁ……綺麗な子……」
娘は天使の様なフルエレの素顔に一瞬我を忘れた。この状態にはセレネもなった事があり、そのパワーは健在だった。しかし真横にいた兎幸にも完全に顔を覗かれる。
「さあ来なさい」
「ほ、本当に王様の使いなんですね」
若い娘は高い場所から下をおっかなびっくりという様子で確認しながら掌に乗り移った。
「よし、どんどん来いっ!!」
「よーーし、どんどん行っけぇえええ」
これを手始めに次々と山に籠る六人の若い美しい娘達を救出し続けた。
「うわーーー掌の上若い子でいっぱいだぁ」
「落ちないでね」
兎幸の言う通り魔ローダーの両掌の上にはヒヨコの様に若い娘達が溢れていた。
「あと一人ね……何処に行ってしまったのだろう、もしかして……既に死……」
「うんじゃあ、戻って来た六機全部で探しに行くね」
「貴方達残りの一人を知らない?」
「申し訳ありません……そのもう一人こそナメ国の王女様です。彼女はお一人で平和を祈る為にさらに山奥に……」
「無事でいて下されば良いのですが……」
口々に娘達がかしましく会話する。
「困ったわね……一番肝心の王様の娘が……」
「あっ居たよ!! 山奥の小さな小屋に居たっ」
「ホッ良かった」
「あ……でも降りたくないってさ」
「何故? 会話出来るの?」
「どぞー」
兎幸はおでこをフルエレにひっつけた。
「どうしたのですか? 父王がご心配されております」
「わらわは此処で……皆の平安を祈っております……ここで女神となります」
「そんなっ、犠牲になるなんて……戻って幸せを見つけて下さい!」
フルエレは身につまされ切実に王女を説得した。
「ちょいちょい、フルエレ映像を観て。目をつぶってみてっ」
「映像??」
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シャル王に言われて美しい乙女だと聞かされていた姫は、少しぽっちゃりしていた。王の入念な準備により数年分の食料を備蓄していた姫は、ストレスのあまり食べ過ぎ運動不足に陥っていたのだった。
「全然、全然、大丈夫だよ、全然太ってないです!」
「え、私そんな事言いました? 何故突然太ってないとか言うのですかっ??」
「い、いやそれは、エヘヘ」
「エヘヘじゃ無いです! 絶対降りませんッッ!!」
「ええい埒があかんわ、兎幸強硬措置!」
「アイアイサー」
兎幸が言うと、魔ローンは姫を巨大マジックハンドで掴み上げた。
「きゃっ」
(太った)
(太ってる)
(あれ!?)
掌に降り立った姫を見て、同時期に山に入った乙女達は一斉同時に太ったと感じたが、誰一人口に出さなかった……
『シャル王よ、無事姫含め七人の乙女を回収致しました! どなたもご無事ですぞ』
山から戻った黒い稲妻Ⅱは意気揚々と乙女達を城壁の上に優しく置いた。
「おお、おお、姫……わが愛しの……娘……よ」
(あれ、太った?)
しかし再会を待ち望んだ愛娘には違いなかった。シャル王は姫を全身で抱き締めた。
「お、お父様! わあああああああああああ」
その場に居た者はしばし二人の感動の再会を見守った。そして残りの娘達もそれぞれ家族の下に戻って行った。
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