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III プレ女王国連合の成立
セレネと砂緒の魔法剣 戦闘開始、消えゆく命達……
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砂緒が操縦桿を握り雷を掌から放出すると、蛇輪の特殊能力で増幅され、それがクラウディアで制作されたばかりの魔法剣にダイレクトに伝わり巨大な稲妻のほとばしりとなって、魔ローダーサイズの巨大な剣に纏わり付く。
「おらおらおらおら行っくぞーーーーー!!!」
「狭いです」
「女の子の横に座れて贅沢言うな!」
ガシャガシャガシャガシャガシャガシャ!!!
巨大なプレートアーマの鎧の音が鳴り響く。鉾が突き刺さったまま立ち尽くすアウララのレヴェルを見上げて、メランのSRVを抑え付けたままの情けない姿勢で凍り付く様に固まったままのメドース・リガリァの一団に向けて、お構い無しに走りながら突っ込んで行く、セレネがメインで操縦している蛇輪。
「先手必勝!!」
連中が言うメッキ野郎が何かよく分からない光り輝く剣を振り上げながら走って来た所で、ようやく状況が飲み込めた一団が、激高して立ち上がる。
「メッキ野郎ふざけんなっ!! 皆、アウララの仇を討つ! 一人で来た事を後悔させてやれ!!」
「皆油断しちゃだめよ! あの機体はアンチ瞬間移動が施されているかもしれないわよ! 私がカバーしてくれるなんて思わないでっ」
「ハイッ!!」
「ハッ」
ココナツヒメは同盟諸国の操縦者に結界くんNEOが配布されていて、それを持っていたり忘れていたりなんて細かい事情は知らない。サッワ、ココナツヒメ、フゥー、ヘレナの魔ローダーが剣を構える。
「兎幸、魔ローンは最大何機出せますか?」
「ようやく砂緒が話し掛けてくれたっ嬉しいなっ! 今ならフルエレとセレネも乗ってるし六枚くらい余裕で出せるよっ!」
「愛い奴じゃのう、よし六枚全部放出して下さい」
「ほ~~いっ!! 出てっ魔ローン全展開!!」
兎幸が念じると畳まれた背中の羽の付け根の辺りの異次元から六枚の魔ローンが回転しながら放出される。
「何か出たっ気を付けて皆っ!」
「全員で一斉に切り掛かる!!」
倒れるメランのSRV救出に駆け付けた蛇輪に向かって、ココナツヒメのル・ワンとサッワ以下三機のレヴェルが一斉に切り掛かった。
バシッ!!
バシィッッ!!
カン!!
ギィイン!!
ココナツヒメ以下、一斉に蛇輪に切り掛かった四機の魔ローダーの剣全てを兎幸の魔ローンが浮遊しながら受け止める。
「何だこれは!?」
「浮遊する盾だって?? ふざけてるっ!!」
「化け物なの??」
「油断大敵!!」
ザシュッ!!
兎幸の魔ローンの防御力に驚愕している一瞬の隙を突き、セレネが一機の魔ローダーの腕の付け根辺りに剣を突き刺す。
「大丈夫です、致命傷ではあり、ぎゃああああああああああああああああ」
「ヘレナッ!?」
「ヘレナさんっ!?」
バリバリッッギュバッドーーーーン!!
腕の付け根に魔法剣が突き刺さっただけのヘレナの魔ローダーレヴェルが、突然内部から破裂する様に爆発して四散した。ココナツヒメとサッワとフゥーは余りの事に衝撃で血の気が引いた。
「魔法剣は魔法剣でも威力があり過ぎる……なんだコレ……」
「なんか凄いですねえ、兄者に見せてやりたいです」
セレネも初お披露目となるクラウディア製の魔法剣の威力に自分自身であっけにとられた。剣と砂緒の雷撃が強いだけで無く、フルエレとセレネと成長した兎幸が同時搭乗している事で魔力が溢れんばかりに放出され、それが砂緒の雷に加算されとんでもない威力になっていた。
「サッワちゃん気を付けてっメッキ野郎のあの剣、かすっただけで致命傷になるかもしれないわよっ!」
「ひっ、浮遊する盾に魔法剣にメッキ野郎はいつからあんな化け物になった!?」
「見て、サッワ様の様子が変だよ、行くよ!!」
「えーー、もう少しでこのイケメンちゃんを殺る所だったのにぃ~~~」
「早くっ緊急事態だよっ」
アシュリーとジャスミンのレヴェルが慌ててサッワ達の所に駆け出した。
「くっっ……体が動かない……何か所骨折してるんだ? 助かった……のか?」
流れる血が目に入るが、拭く事さえままならない程の重症の為嘉アルベルトは、よく分からない状況の中、とりあえず命が助かった事を感謝した……
「フルエレくん、今のところ生きているよ……」
呟いて空を見上げたが、その当の雪乃フルエレが救出しに来た事を彼はまだ知らない。
「とりあえず間合いを取るよっ!!」
「はいっ!」
ココナツヒメの指令で三機が一斉に距離を取ろうとした瞬間だった。
ガシッ!!
「な、なっどうした!?」
ココナツヒメとフゥーの機体がバッと後ろに下がったにも関わらず、サッワの機体がブレーキをかけられた様にビタッと止まる。
「なんでだっ、動け!!」
「絶対逃がすかぁあああ~~~~~!!!」
押さえつけられていたメランのSRVがサッワのレヴェルの足首を掴んでいたのだった。
「はっ離せ、離せコラッ!!」
ガシガシと片足でSRVを蹴りまくるサッワのレヴェルだが、SRVは頑として足首を離さない。
「油断大敵パートⅡ!!」
セレネがその様子を見て瞬間的にサッワの片腕に魔法剣を突き刺した。
「しまっ」
「サッワちゃん!!」
サッワとココナツヒメの顔色が一瞬モノクロになる程に凍り付いた。刺される、それは即死を意味していたからだ。
ドーーーーーン!!
サッワのレヴェルの片腕だけが空中で爆発した。なんとセレネが突き刺すとほぼ同時にフゥーのレヴェルがサッワの機体の片腕を斬り落としていたのだった。
「まさかっ!? なんて実力、あたしの剣を予想したってか?」
「ぎゃーーーーーっフゥーーー!?」
「申し訳ありませんでした! ああするより……」
「あ、ありがとうよ……助かったぜ」
「は、はい!!」
言いながら三機はようやく距離を取る。
「メランちゃん大丈夫??」
「はぁはぁはぁ……ガチで死ぬと思った! すっごい怖かったんだからねっ!!」
フルエレが魔法秘匿通信で聞くと、いつもの元気で調子の良いメランが少し戻って来た。よろよろと立ち上がるメランのSRV。
「どっかそこら辺にミミイの遺体が転がっているの! 砂緒さん見えますか??」
「えっ死体?? ユッマランドの王女の死体??」
「嫌っ嫌よそんなの……アルベルトさんはどこなの!?」
フルエレとセレネが驚愕する。
「ちょっと待って下さい、有料望遠鏡の能力で見まくりますから、動かないで」
「爆発したミミイのザンザスの周辺を見て!」
敵味方、固まって動けない間合いの中、砂緒がバラバラに破損したザンザスの辺りを凝視する。
「あ、いましたっ! あの……王女か……侍女は? いつものお付きの侍女はどうなりましたかっ??」
「もっと前に敵との戦闘で亡くなったわ」
「……え?」
殆ど他人の事など考慮しない砂緒が珍しく絶句した。砂緒の脳裏にコンテナの中の仮眠室で起こった、侍女の璃凪との甘い一夜の出来事が思い出される。
「ちょっと砂緒さんどこですか?? 正確な位置のカーソルを送って!」
「わかりました……」
「砂緒?」
「どうした?」
フルエレもセレネも元気をなくした砂緒の明らかな変化にはっきり気付いた。
「位置来たっ! 私が居なくても勝てるんですよね??」
「当たり前っ!!」
セレネが威勢よく答える。
「任せます! 私は王女の遺体が踏み荒らされない様に手で隠しておきます!!」
「うん、いいよ安心して」
「メランお願いします、侍女と王女の仇は必ず取ります故」
SRVは送られたカーソルの位置まで前進すると、しゃがみ込んで美魅ィ王女の遺体を巨大な掌で包み込んで守った。
「ざけんな……」
サッワは目の前の敵魔ローダーの余裕過ぎる行動に怒り心頭に達した。
「サッワさまお腕がっ!?」
「サッワさまアウララとヘレナが?? これは一体!?」
駆け付けたアシュリーとジャスミンの二機は、一瞬で劣勢に立たされている味方の状況に唖然とした。
「許せないわっ!!」
「ココナツヒメさま、瞬間移動での必殺のサポートお願いします!!」
「あっコラッ!!」
今駆け付けたばかりのアシュリーとジャスミンは状況をよく知らないまま、ココナツヒメとの連携で勝てると思い込み、いきなり蛇輪に攻撃を仕掛ける。
「なんだぁ!? いまさら動きが甘いっ!!」
バシッ!!
セレネは後ろから切り掛かるアシュリーのレヴェルに対して魔ローンに頼るまでも無く、得意の無視線後ろ蹴りで剣をはたき落とすと、前から切り掛かるジャスミンのレヴェルの剣を巧な剣技で簡単に弾き返し、機体を袈裟斬りに叩き斬った。
ドカーーーーン!!
あっけなくジャスミンの機体は爆発して四散した。
「なっ!? ジャスミーーーン!!」
アシュリーが余りの事に絶叫する。
「瞬間移動(短)!!」
バシッ!!
直後にココナツヒメが瞬間移動を掛けるが、蛇輪に剣が届かない範囲で見えないバリアに弾かれる様に飛ばされる。
「やっぱり結界が施されているわよっ!! ダメなの……」
「じゃあ、今度はこっちからっ!! ほらほら!!」
セレネは魔法剣を巧に操り、アシュリーの機体に襲い掛かる。アシュリーは転がりながら剣を拾い、何度か剣を交わして応戦するが、最強の少年紅蓮と同等に闘える実力の持ち主のセレネの敵では無かった。カチンカキンと巨大な剣で戦うごとに追い詰められるアシュリーの機体。
「さ、サッワさま! お助け下さいっ!!」
「うっアシュリー……」
目の前で何度も何度も蛇輪の巧みな剣技と、炸裂する魔法剣の威力を見せ付けられて味方の危機にも全く動けないサッワだった。
「ちっ、剣にさえかすらなければっ!!」
ココナツヒメが思わず瞬間移動無しで剣での戦いを挑む。
「おっ半透明はそこそこ剣が使える様だね! でもまだまだっ!!」
そもそも剣の腕でセレネがココナツヒメを圧倒している上に、まぐれ当たりでヒットを出そうとしても浮遊する魔ローンに邪魔をされて、万が一にも彼女が勝てる見込みは無かった。
「そらっ終わりだっ!!」
遂にセレネの魔法剣が半透明のル・ワンの腕にヒットした。
「ココナツヒメさまっ!!」
ドボーーーン!!
しかし瞬間的にココナツヒメは斬られた腕をパージして難を逃れた。
「と、油断した隙にもう一機!!」
「サッワさま、ぎゃーーーーーーーー!!!」
次の瞬間にはアシュリーのレヴェルの胴体に蛇輪の魔法剣が突き刺さっていた。
バリバリッグワーーーーン!!
胴体の中心から爆発して四散する、アシュリーのレヴェル。これで七機いた部隊はサッワとフゥーとココナツヒメだけになってしまった。
「ば馬鹿な……ぼ、僕の隊が……一瞬で……馬鹿な……化け物……」
サッワは眼前で起こった惨劇が信じられず、戦場を忘れ呆然としてしまう。
「おらおらおらおら行っくぞーーーーー!!!」
「狭いです」
「女の子の横に座れて贅沢言うな!」
ガシャガシャガシャガシャガシャガシャ!!!
巨大なプレートアーマの鎧の音が鳴り響く。鉾が突き刺さったまま立ち尽くすアウララのレヴェルを見上げて、メランのSRVを抑え付けたままの情けない姿勢で凍り付く様に固まったままのメドース・リガリァの一団に向けて、お構い無しに走りながら突っ込んで行く、セレネがメインで操縦している蛇輪。
「先手必勝!!」
連中が言うメッキ野郎が何かよく分からない光り輝く剣を振り上げながら走って来た所で、ようやく状況が飲み込めた一団が、激高して立ち上がる。
「メッキ野郎ふざけんなっ!! 皆、アウララの仇を討つ! 一人で来た事を後悔させてやれ!!」
「皆油断しちゃだめよ! あの機体はアンチ瞬間移動が施されているかもしれないわよ! 私がカバーしてくれるなんて思わないでっ」
「ハイッ!!」
「ハッ」
ココナツヒメは同盟諸国の操縦者に結界くんNEOが配布されていて、それを持っていたり忘れていたりなんて細かい事情は知らない。サッワ、ココナツヒメ、フゥー、ヘレナの魔ローダーが剣を構える。
「兎幸、魔ローンは最大何機出せますか?」
「ようやく砂緒が話し掛けてくれたっ嬉しいなっ! 今ならフルエレとセレネも乗ってるし六枚くらい余裕で出せるよっ!」
「愛い奴じゃのう、よし六枚全部放出して下さい」
「ほ~~いっ!! 出てっ魔ローン全展開!!」
兎幸が念じると畳まれた背中の羽の付け根の辺りの異次元から六枚の魔ローンが回転しながら放出される。
「何か出たっ気を付けて皆っ!」
「全員で一斉に切り掛かる!!」
倒れるメランのSRV救出に駆け付けた蛇輪に向かって、ココナツヒメのル・ワンとサッワ以下三機のレヴェルが一斉に切り掛かった。
バシッ!!
バシィッッ!!
カン!!
ギィイン!!
ココナツヒメ以下、一斉に蛇輪に切り掛かった四機の魔ローダーの剣全てを兎幸の魔ローンが浮遊しながら受け止める。
「何だこれは!?」
「浮遊する盾だって?? ふざけてるっ!!」
「化け物なの??」
「油断大敵!!」
ザシュッ!!
兎幸の魔ローンの防御力に驚愕している一瞬の隙を突き、セレネが一機の魔ローダーの腕の付け根辺りに剣を突き刺す。
「大丈夫です、致命傷ではあり、ぎゃああああああああああああああああ」
「ヘレナッ!?」
「ヘレナさんっ!?」
バリバリッッギュバッドーーーーン!!
腕の付け根に魔法剣が突き刺さっただけのヘレナの魔ローダーレヴェルが、突然内部から破裂する様に爆発して四散した。ココナツヒメとサッワとフゥーは余りの事に衝撃で血の気が引いた。
「魔法剣は魔法剣でも威力があり過ぎる……なんだコレ……」
「なんか凄いですねえ、兄者に見せてやりたいです」
セレネも初お披露目となるクラウディア製の魔法剣の威力に自分自身であっけにとられた。剣と砂緒の雷撃が強いだけで無く、フルエレとセレネと成長した兎幸が同時搭乗している事で魔力が溢れんばかりに放出され、それが砂緒の雷に加算されとんでもない威力になっていた。
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「ひっ、浮遊する盾に魔法剣にメッキ野郎はいつからあんな化け物になった!?」
「見て、サッワ様の様子が変だよ、行くよ!!」
「えーー、もう少しでこのイケメンちゃんを殺る所だったのにぃ~~~」
「早くっ緊急事態だよっ」
アシュリーとジャスミンのレヴェルが慌ててサッワ達の所に駆け出した。
「くっっ……体が動かない……何か所骨折してるんだ? 助かった……のか?」
流れる血が目に入るが、拭く事さえままならない程の重症の為嘉アルベルトは、よく分からない状況の中、とりあえず命が助かった事を感謝した……
「フルエレくん、今のところ生きているよ……」
呟いて空を見上げたが、その当の雪乃フルエレが救出しに来た事を彼はまだ知らない。
「とりあえず間合いを取るよっ!!」
「はいっ!」
ココナツヒメの指令で三機が一斉に距離を取ろうとした瞬間だった。
ガシッ!!
「な、なっどうした!?」
ココナツヒメとフゥーの機体がバッと後ろに下がったにも関わらず、サッワの機体がブレーキをかけられた様にビタッと止まる。
「なんでだっ、動け!!」
「絶対逃がすかぁあああ~~~~~!!!」
押さえつけられていたメランのSRVがサッワのレヴェルの足首を掴んでいたのだった。
「はっ離せ、離せコラッ!!」
ガシガシと片足でSRVを蹴りまくるサッワのレヴェルだが、SRVは頑として足首を離さない。
「油断大敵パートⅡ!!」
セレネがその様子を見て瞬間的にサッワの片腕に魔法剣を突き刺した。
「しまっ」
「サッワちゃん!!」
サッワとココナツヒメの顔色が一瞬モノクロになる程に凍り付いた。刺される、それは即死を意味していたからだ。
ドーーーーーン!!
サッワのレヴェルの片腕だけが空中で爆発した。なんとセレネが突き刺すとほぼ同時にフゥーのレヴェルがサッワの機体の片腕を斬り落としていたのだった。
「まさかっ!? なんて実力、あたしの剣を予想したってか?」
「ぎゃーーーーーっフゥーーー!?」
「申し訳ありませんでした! ああするより……」
「あ、ありがとうよ……助かったぜ」
「は、はい!!」
言いながら三機はようやく距離を取る。
「メランちゃん大丈夫??」
「はぁはぁはぁ……ガチで死ぬと思った! すっごい怖かったんだからねっ!!」
フルエレが魔法秘匿通信で聞くと、いつもの元気で調子の良いメランが少し戻って来た。よろよろと立ち上がるメランのSRV。
「どっかそこら辺にミミイの遺体が転がっているの! 砂緒さん見えますか??」
「えっ死体?? ユッマランドの王女の死体??」
「嫌っ嫌よそんなの……アルベルトさんはどこなの!?」
フルエレとセレネが驚愕する。
「ちょっと待って下さい、有料望遠鏡の能力で見まくりますから、動かないで」
「爆発したミミイのザンザスの周辺を見て!」
敵味方、固まって動けない間合いの中、砂緒がバラバラに破損したザンザスの辺りを凝視する。
「あ、いましたっ! あの……王女か……侍女は? いつものお付きの侍女はどうなりましたかっ??」
「もっと前に敵との戦闘で亡くなったわ」
「……え?」
殆ど他人の事など考慮しない砂緒が珍しく絶句した。砂緒の脳裏にコンテナの中の仮眠室で起こった、侍女の璃凪との甘い一夜の出来事が思い出される。
「ちょっと砂緒さんどこですか?? 正確な位置のカーソルを送って!」
「わかりました……」
「砂緒?」
「どうした?」
フルエレもセレネも元気をなくした砂緒の明らかな変化にはっきり気付いた。
「位置来たっ! 私が居なくても勝てるんですよね??」
「当たり前っ!!」
セレネが威勢よく答える。
「任せます! 私は王女の遺体が踏み荒らされない様に手で隠しておきます!!」
「うん、いいよ安心して」
「メランお願いします、侍女と王女の仇は必ず取ります故」
SRVは送られたカーソルの位置まで前進すると、しゃがみ込んで美魅ィ王女の遺体を巨大な掌で包み込んで守った。
「ざけんな……」
サッワは目の前の敵魔ローダーの余裕過ぎる行動に怒り心頭に達した。
「サッワさまお腕がっ!?」
「サッワさまアウララとヘレナが?? これは一体!?」
駆け付けたアシュリーとジャスミンの二機は、一瞬で劣勢に立たされている味方の状況に唖然とした。
「許せないわっ!!」
「ココナツヒメさま、瞬間移動での必殺のサポートお願いします!!」
「あっコラッ!!」
今駆け付けたばかりのアシュリーとジャスミンは状況をよく知らないまま、ココナツヒメとの連携で勝てると思い込み、いきなり蛇輪に攻撃を仕掛ける。
「なんだぁ!? いまさら動きが甘いっ!!」
バシッ!!
セレネは後ろから切り掛かるアシュリーのレヴェルに対して魔ローンに頼るまでも無く、得意の無視線後ろ蹴りで剣をはたき落とすと、前から切り掛かるジャスミンのレヴェルの剣を巧な剣技で簡単に弾き返し、機体を袈裟斬りに叩き斬った。
ドカーーーーン!!
あっけなくジャスミンの機体は爆発して四散した。
「なっ!? ジャスミーーーン!!」
アシュリーが余りの事に絶叫する。
「瞬間移動(短)!!」
バシッ!!
直後にココナツヒメが瞬間移動を掛けるが、蛇輪に剣が届かない範囲で見えないバリアに弾かれる様に飛ばされる。
「やっぱり結界が施されているわよっ!! ダメなの……」
「じゃあ、今度はこっちからっ!! ほらほら!!」
セレネは魔法剣を巧に操り、アシュリーの機体に襲い掛かる。アシュリーは転がりながら剣を拾い、何度か剣を交わして応戦するが、最強の少年紅蓮と同等に闘える実力の持ち主のセレネの敵では無かった。カチンカキンと巨大な剣で戦うごとに追い詰められるアシュリーの機体。
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「うっアシュリー……」
目の前で何度も何度も蛇輪の巧みな剣技と、炸裂する魔法剣の威力を見せ付けられて味方の危機にも全く動けないサッワだった。
「ちっ、剣にさえかすらなければっ!!」
ココナツヒメが思わず瞬間移動無しで剣での戦いを挑む。
「おっ半透明はそこそこ剣が使える様だね! でもまだまだっ!!」
そもそも剣の腕でセレネがココナツヒメを圧倒している上に、まぐれ当たりでヒットを出そうとしても浮遊する魔ローンに邪魔をされて、万が一にも彼女が勝てる見込みは無かった。
「そらっ終わりだっ!!」
遂にセレネの魔法剣が半透明のル・ワンの腕にヒットした。
「ココナツヒメさまっ!!」
ドボーーーン!!
しかし瞬間的にココナツヒメは斬られた腕をパージして難を逃れた。
「と、油断した隙にもう一機!!」
「サッワさま、ぎゃーーーーーーーー!!!」
次の瞬間にはアシュリーのレヴェルの胴体に蛇輪の魔法剣が突き刺さっていた。
バリバリッグワーーーーン!!
胴体の中心から爆発して四散する、アシュリーのレヴェル。これで七機いた部隊はサッワとフゥーとココナツヒメだけになってしまった。
「ば馬鹿な……ぼ、僕の隊が……一瞬で……馬鹿な……化け物……」
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