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II メドース・リガリァと北部海峡列国同盟
北部海峡列国同盟締結 9 混沌とする魔ローダー達の戦い
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「大量のゴーレムが発生してこちらに向かっていると、ユティトレッドの魔ローダー乗り等から聞いている。ここはセレネさんや砂緒君に任せて、フルエレ君達は速やかに港に避難した方が良い!」
魔ローダーの苦戦を見て、アルベルトがここからの速やかな退避を促す。
「ええ、私もそれが良いと思うわ。皆さん直ぐにここを離れましょう!!」
すぐさまフルエレがアルベルトに賛同した。
「ちょっと待って下さい!! ウェカ王子が重くて、誰か手を貸して下さい。申し訳ありません……皆さまの足手まといになってしまって」
ラ・マッロカンプのウェカ王子の侍女メアが半泣きで訴えた。
「何を言うの? 今皆の為にラ・マッロカンプの女剣士さんが戦ってくれてるのよ、足手まといなんて。イェラ、皆で王子を運びましょう」
「そうだな、私が背負おう。この中で一番体が頑丈そうだ」
イェラはそう言うと、ひょいと王子を背中におぶった。
「有難う御座います。このお礼は必ずします」
「気にするな!!」
メアは何度もイェラにお礼をした。
ドドーーーーーン!!
突然耳をつんざく様な巨大な爆発音が皆の至近で鳴り響き、皆が飛び上がった。
「キャーーーー、何?」
王子に向かっていたフルエレ達が振り返ると、突然這うように動きだしたデスペラードが腕を持ち上げ、それを魔戦車に振り下ろし巨大な掌で虫を潰す様に叩き、魔戦車の一両が突然爆発していたのだった。
「いやーーーーーーー!! アルベルトさん!? アルベルトさん!! 嫌ーーーっ!!」
フルエレはアルベルトの乗った車両が潰された物と思い、顔に手を当て泣き叫んだ。
「芹沢ーーーっ!! ジョルジューーーっ!! くそーーなんて事だ!!」
その時突然他の魔戦車の砲塔のキューポラハッチが開き、アルベルトが炎上する魔戦車に向かって同僚の名前を叫んだ。スピネルのデスペラードは魔戦車を一両潰した時点でまた力尽き、動きを止めたままだった。
それを目撃したフルエレは再び顔に手を当てて、涙を滲ませてアルベルトの無事にホッとした。
「あああああ、生きていた、良かった……」
「くっそー今助けてやるぞ!!」
アルベルトは炎上する車両にも厭わず、燃え盛る同僚の魔戦車に取り付こうとする。
「止めてっ!! もうその車両は助かりません!! 貴方まで巻き込まれてしまうわっ!」
「な? フルエレ君?? 何を……」
フルエレのか細い腕で袖を引っ張られ、アルベルトは諦めた。
「済まない、冷静さを欠いていた。アレがまた動かない内に、皆さんをとにかく安全な場所に移動させよう」
スカッ!! ビュンッ!!
瑠璃ィの乗る蛇輪は必死に、透明化した砂緒とクレウをル・ワンに乗せようとするが、なかなか成功しない。
「何ですの?? 先程から変な動きを繰り返して。瞬間移動するまでも無く簡単に避けられますわ」
ココナツヒメは蛇輪の異様な動きを怪訝に思って警戒した。
「あかん、当たらへん。てか、中の二人を潰さん様に戦闘中に敵魔呂にそっと乗せるって無理やろ!!」
「もういいですわ、このまま遊んでいると瞬間移動スキルの制限回数を無駄に消費してしまいますわ! そろそろ弱いオレンジ色の方から死んで頂きましょうか」
ココナツヒメは言うと、周囲を警戒して剣を構えるセレネのSRVⅡルネッサの背後や真横に瞬間移動を繰り返し、足を斬り裂いたり、肩を斬り裂いたりし始めた。
「ぐわああああ、くっそ、どうすれば勝てる??」
「ああ、あれではオレンジ魔呂がなぶり殺しになってしまう! 瑠璃ィは何をしているんですか?? 早く私をアレに乗せて下さいよ!!」
「耳元で大声を出さないで頂きたい!!」
「何を??」
なかなか作戦が上手く行かず、砂緒とクレウは苛立ち始めた。
「勝手な事はさせへんでーーーーー!!」
状況が切迫して来た事を察知して、瑠璃ィは砂緒達を乗せる作戦を一旦諦め、ル・ワンに向けて剣を構えて走り出す。
ビュンッ!!
しかし瑠璃ィの蛇輪が、剣をルワンにヒットさせようと振りかぶっても、結局寸前で瞬間移動で逃げられてしまう。本当はル・ワンの瞬間移動(短)スキルは一日に九十九回の縛りがあるのだが、そんな事は知らない瑠璃ィは焦りまくっていた。
「そや、司会っ娘の魔呂と背中合わせで戦えばいいんや!!」
瑠璃ィが単純な事に気付いて、セレネのSRVⅡルネッサの背中に廻ろうと走った直後だった。
「気付くのが遅いですわっ!!」
一足早くココナツヒメのル・ワンがセレネの背中に瞬間移動し、瞬時に気配で気付き逃れようとする機体を逃がさず、遂にルネッサの肩を剣で貫いた。
「ぐわああああああ」
セレネが堪らず叫んだ。
「くそー! 何やるんや!! 離しーーーー!!!」
ルネッサの肩を剣で貫いたル・ワンに向かって瑠璃ィの蛇輪が走って行くが、攻撃を受ける寸前でやはり瞬間移動で逃げられてしまう。
ザクッ!!
瑠璃ィがル・ワンに逃げられた直後、入れ違いにルネッサの目前に瞬間移動して出現したル・ワンが、遂に胴体操縦席近くのバイタル的な部分に剣を突き刺した。
ドーーーン!!
ルネッサは小さな爆発を起こし、両膝を地面に着いてしまう。
「司会っ娘ーーーーーーーー!!」
瑠璃ィは魔法秘匿通信でセレネに呼び掛けるが反応が無い。
「ちっ、威力は多少落ちますが、もうここから攻撃を開始します!!」
そう言うとクレウは一緒に密着する砂緒の顔の寸前で腕をビュンビュン振り始めた。
「うわ、何をする顔に当たるでしょうがっ!!」
「うるさいっ!! 味方を助ける為です、黙ってなさいっ!!」
言い合う間も激しく腕を振るクレウ。砂緒には何をやっているのか不明だったが、数十秒後に突然敵の半透明魔ローダーの顔付近に小さな爆発が連続して起こる。
パパン! パンパン!! パパパーーン!!
クレウが対人暗殺用の必殺技、魔法ナイフを連続して投げていたのだった。ル・ワンの顔や目に命中した魔法ナイフは爆竹の様な小さな音を鳴らしながら、次々炸裂して行く。
「きゃあ!? 何ですのコレは?? こんな物が魔ローダーに効く訳ないですわ!!」
「よし、スケベ魔法男、よくやった!! 当て続けろ!!」
「言われなくとも!!」
クレウは魔力の限り実体の無い光で出来た、魔法ナイフをビュンビュン投げ続ける。
「一体何ですのこれは?? 鬱陶しいですわね!? えーーーいいもーーう!!」
大型動物に小蠅がたかる鬱陶しさの様に、ル・ワンは瞬間移動を連続でしたり、ジグザグに動いたりするが、次々に連続して爆発は続いた。瑠璃ィは一瞬何が起こっているのか理解出来なかったが、すぐに頭を切り替えた。
ガシィッ!!
「獲ったーーーーーーー!!」
魔ローダーの顔付近で起こる小さな爆発の連続に、一瞬気を取られたル・ワンの動きの迷いをすかさず一瞬で見抜き、瑠璃ィは遂にル・ワンにタックルして組み付き、倒し込んだ。
ドターーーン!!
「今や!!」
「きゃーーーーーっ!?」
瑠璃ィは体を押さえ付けたまま、一瞬でル・ワンの太もも付近に剣を突き刺し、同時に砂緒の乗った掌をル・ワンの肩甲骨当たりに押し付けた。瑠璃ィとしては最初からバイタルを突き刺して止めを刺したかったが、一瞬では無理だった。
「上手く乗り移りやっ!!」
瑠璃ィは言いながらも太ももに刺した剣を抜き、胴体のバイタルに突き刺そうとするが、当然直前で瞬間移動して逃げられる。
「乗った!!」
「私も!!」
瑠璃ィは外部魔法マイクでその声を拾う余裕は無かったので、とにかく二人が無事乗り移った事を祈った。
「何ですの一体?? 許せませんわ。もう要人暗殺などどうでも良いですわ、そこのメッキ野郎だけは絶対に破壊して帰りますわよ!!」
いつも余裕のポーズを崩さないココナツヒメだが、魔ローダーの太ももを剣で貫かれて激怒していた。
パパパパン パパパーーン!!
ル・ワンに張り付く事に成功したクレウがしつこくル・ワンの顔に魔法ナイフを命中させ、炸裂を繰り返す。
「な、何ですのこれは!? 本当に鬱陶しいですわね??」
「よし……拳に力を集中して……こいつの肩を叩き潰してやる!!」
砂緒はクレウの動きをよそに、巨像の基壇を破壊した時の様に拳に全重量を集中し始めた。キーーーーンと白く光り始める拳だが、当然誰にもそれは見えない……
「その爆発の連続、ちょうどいいわ目印になるし。なんとなく透明魔呂の動きも読めて来たわ。乗っかってる彼氏さんには悪いけど、彼氏さんが何するか待たんと次で決めたるわっ!!」
瑠璃ィは瑠璃ィで剣を構え、心眼で相手を捕らえ止めを刺そうと精神を集中させた。
「ま、待て、全員止まれ……その不思議な小さな爆発も止めろ!! ハァハァ」
ココナツヒメ、瑠璃ィ、砂緒、クレウ、それぞれが自分の出来る事に全力で集中していた瞬間の隙をついて、何時の間にか再始動していたスピネルのデスペラード改がセレネのルネッサを足蹴にして、操縦席のあるバイタルに向けて剣を突き刺そうとしたまま、外部スピーカーで叫んだのだった。
「中に乗っている者も重要な王族なのであろう、誰か動けば容赦無く突く」
「よくやりましたわ、スピネルさん!」
スピネルはル・ツーの時の様に回復スキルの補助がある訳でも無く、魔力を吸われダメージを感じ相当に疲労困ぱい状態だが、最後の力を振り絞り、声を張り上げた。
「王族……もしかしてセレネなのか?」
砂緒はル・ワンの肩をぶち壊そうと振り上げていた拳を止めた。
魔ローダーの苦戦を見て、アルベルトがここからの速やかな退避を促す。
「ええ、私もそれが良いと思うわ。皆さん直ぐにここを離れましょう!!」
すぐさまフルエレがアルベルトに賛同した。
「ちょっと待って下さい!! ウェカ王子が重くて、誰か手を貸して下さい。申し訳ありません……皆さまの足手まといになってしまって」
ラ・マッロカンプのウェカ王子の侍女メアが半泣きで訴えた。
「何を言うの? 今皆の為にラ・マッロカンプの女剣士さんが戦ってくれてるのよ、足手まといなんて。イェラ、皆で王子を運びましょう」
「そうだな、私が背負おう。この中で一番体が頑丈そうだ」
イェラはそう言うと、ひょいと王子を背中におぶった。
「有難う御座います。このお礼は必ずします」
「気にするな!!」
メアは何度もイェラにお礼をした。
ドドーーーーーン!!
突然耳をつんざく様な巨大な爆発音が皆の至近で鳴り響き、皆が飛び上がった。
「キャーーーー、何?」
王子に向かっていたフルエレ達が振り返ると、突然這うように動きだしたデスペラードが腕を持ち上げ、それを魔戦車に振り下ろし巨大な掌で虫を潰す様に叩き、魔戦車の一両が突然爆発していたのだった。
「いやーーーーーーー!! アルベルトさん!? アルベルトさん!! 嫌ーーーっ!!」
フルエレはアルベルトの乗った車両が潰された物と思い、顔に手を当て泣き叫んだ。
「芹沢ーーーっ!! ジョルジューーーっ!! くそーーなんて事だ!!」
その時突然他の魔戦車の砲塔のキューポラハッチが開き、アルベルトが炎上する魔戦車に向かって同僚の名前を叫んだ。スピネルのデスペラードは魔戦車を一両潰した時点でまた力尽き、動きを止めたままだった。
それを目撃したフルエレは再び顔に手を当てて、涙を滲ませてアルベルトの無事にホッとした。
「あああああ、生きていた、良かった……」
「くっそー今助けてやるぞ!!」
アルベルトは炎上する車両にも厭わず、燃え盛る同僚の魔戦車に取り付こうとする。
「止めてっ!! もうその車両は助かりません!! 貴方まで巻き込まれてしまうわっ!」
「な? フルエレ君?? 何を……」
フルエレのか細い腕で袖を引っ張られ、アルベルトは諦めた。
「済まない、冷静さを欠いていた。アレがまた動かない内に、皆さんをとにかく安全な場所に移動させよう」
スカッ!! ビュンッ!!
瑠璃ィの乗る蛇輪は必死に、透明化した砂緒とクレウをル・ワンに乗せようとするが、なかなか成功しない。
「何ですの?? 先程から変な動きを繰り返して。瞬間移動するまでも無く簡単に避けられますわ」
ココナツヒメは蛇輪の異様な動きを怪訝に思って警戒した。
「あかん、当たらへん。てか、中の二人を潰さん様に戦闘中に敵魔呂にそっと乗せるって無理やろ!!」
「もういいですわ、このまま遊んでいると瞬間移動スキルの制限回数を無駄に消費してしまいますわ! そろそろ弱いオレンジ色の方から死んで頂きましょうか」
ココナツヒメは言うと、周囲を警戒して剣を構えるセレネのSRVⅡルネッサの背後や真横に瞬間移動を繰り返し、足を斬り裂いたり、肩を斬り裂いたりし始めた。
「ぐわああああ、くっそ、どうすれば勝てる??」
「ああ、あれではオレンジ魔呂がなぶり殺しになってしまう! 瑠璃ィは何をしているんですか?? 早く私をアレに乗せて下さいよ!!」
「耳元で大声を出さないで頂きたい!!」
「何を??」
なかなか作戦が上手く行かず、砂緒とクレウは苛立ち始めた。
「勝手な事はさせへんでーーーーー!!」
状況が切迫して来た事を察知して、瑠璃ィは砂緒達を乗せる作戦を一旦諦め、ル・ワンに向けて剣を構えて走り出す。
ビュンッ!!
しかし瑠璃ィの蛇輪が、剣をルワンにヒットさせようと振りかぶっても、結局寸前で瞬間移動で逃げられてしまう。本当はル・ワンの瞬間移動(短)スキルは一日に九十九回の縛りがあるのだが、そんな事は知らない瑠璃ィは焦りまくっていた。
「そや、司会っ娘の魔呂と背中合わせで戦えばいいんや!!」
瑠璃ィが単純な事に気付いて、セレネのSRVⅡルネッサの背中に廻ろうと走った直後だった。
「気付くのが遅いですわっ!!」
一足早くココナツヒメのル・ワンがセレネの背中に瞬間移動し、瞬時に気配で気付き逃れようとする機体を逃がさず、遂にルネッサの肩を剣で貫いた。
「ぐわああああああ」
セレネが堪らず叫んだ。
「くそー! 何やるんや!! 離しーーーー!!!」
ルネッサの肩を剣で貫いたル・ワンに向かって瑠璃ィの蛇輪が走って行くが、攻撃を受ける寸前でやはり瞬間移動で逃げられてしまう。
ザクッ!!
瑠璃ィがル・ワンに逃げられた直後、入れ違いにルネッサの目前に瞬間移動して出現したル・ワンが、遂に胴体操縦席近くのバイタル的な部分に剣を突き刺した。
ドーーーン!!
ルネッサは小さな爆発を起こし、両膝を地面に着いてしまう。
「司会っ娘ーーーーーーーー!!」
瑠璃ィは魔法秘匿通信でセレネに呼び掛けるが反応が無い。
「ちっ、威力は多少落ちますが、もうここから攻撃を開始します!!」
そう言うとクレウは一緒に密着する砂緒の顔の寸前で腕をビュンビュン振り始めた。
「うわ、何をする顔に当たるでしょうがっ!!」
「うるさいっ!! 味方を助ける為です、黙ってなさいっ!!」
言い合う間も激しく腕を振るクレウ。砂緒には何をやっているのか不明だったが、数十秒後に突然敵の半透明魔ローダーの顔付近に小さな爆発が連続して起こる。
パパン! パンパン!! パパパーーン!!
クレウが対人暗殺用の必殺技、魔法ナイフを連続して投げていたのだった。ル・ワンの顔や目に命中した魔法ナイフは爆竹の様な小さな音を鳴らしながら、次々炸裂して行く。
「きゃあ!? 何ですのコレは?? こんな物が魔ローダーに効く訳ないですわ!!」
「よし、スケベ魔法男、よくやった!! 当て続けろ!!」
「言われなくとも!!」
クレウは魔力の限り実体の無い光で出来た、魔法ナイフをビュンビュン投げ続ける。
「一体何ですのこれは?? 鬱陶しいですわね!? えーーーいいもーーう!!」
大型動物に小蠅がたかる鬱陶しさの様に、ル・ワンは瞬間移動を連続でしたり、ジグザグに動いたりするが、次々に連続して爆発は続いた。瑠璃ィは一瞬何が起こっているのか理解出来なかったが、すぐに頭を切り替えた。
ガシィッ!!
「獲ったーーーーーーー!!」
魔ローダーの顔付近で起こる小さな爆発の連続に、一瞬気を取られたル・ワンの動きの迷いをすかさず一瞬で見抜き、瑠璃ィは遂にル・ワンにタックルして組み付き、倒し込んだ。
ドターーーン!!
「今や!!」
「きゃーーーーーっ!?」
瑠璃ィは体を押さえ付けたまま、一瞬でル・ワンの太もも付近に剣を突き刺し、同時に砂緒の乗った掌をル・ワンの肩甲骨当たりに押し付けた。瑠璃ィとしては最初からバイタルを突き刺して止めを刺したかったが、一瞬では無理だった。
「上手く乗り移りやっ!!」
瑠璃ィは言いながらも太ももに刺した剣を抜き、胴体のバイタルに突き刺そうとするが、当然直前で瞬間移動して逃げられる。
「乗った!!」
「私も!!」
瑠璃ィは外部魔法マイクでその声を拾う余裕は無かったので、とにかく二人が無事乗り移った事を祈った。
「何ですの一体?? 許せませんわ。もう要人暗殺などどうでも良いですわ、そこのメッキ野郎だけは絶対に破壊して帰りますわよ!!」
いつも余裕のポーズを崩さないココナツヒメだが、魔ローダーの太ももを剣で貫かれて激怒していた。
パパパパン パパパーーン!!
ル・ワンに張り付く事に成功したクレウがしつこくル・ワンの顔に魔法ナイフを命中させ、炸裂を繰り返す。
「な、何ですのこれは!? 本当に鬱陶しいですわね??」
「よし……拳に力を集中して……こいつの肩を叩き潰してやる!!」
砂緒はクレウの動きをよそに、巨像の基壇を破壊した時の様に拳に全重量を集中し始めた。キーーーーンと白く光り始める拳だが、当然誰にもそれは見えない……
「その爆発の連続、ちょうどいいわ目印になるし。なんとなく透明魔呂の動きも読めて来たわ。乗っかってる彼氏さんには悪いけど、彼氏さんが何するか待たんと次で決めたるわっ!!」
瑠璃ィは瑠璃ィで剣を構え、心眼で相手を捕らえ止めを刺そうと精神を集中させた。
「ま、待て、全員止まれ……その不思議な小さな爆発も止めろ!! ハァハァ」
ココナツヒメ、瑠璃ィ、砂緒、クレウ、それぞれが自分の出来る事に全力で集中していた瞬間の隙をついて、何時の間にか再始動していたスピネルのデスペラード改がセレネのルネッサを足蹴にして、操縦席のあるバイタルに向けて剣を突き刺そうとしたまま、外部スピーカーで叫んだのだった。
「中に乗っている者も重要な王族なのであろう、誰か動けば容赦無く突く」
「よくやりましたわ、スピネルさん!」
スピネルはル・ツーの時の様に回復スキルの補助がある訳でも無く、魔力を吸われダメージを感じ相当に疲労困ぱい状態だが、最後の力を振り絞り、声を張り上げた。
「王族……もしかしてセレネなのか?」
砂緒はル・ワンの肩をぶち壊そうと振り上げていた拳を止めた。
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