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I ニナルティナ王国とリュフミュラン国

戦場a 逃げてっ ..

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「それって私達戦場のどまん中にいるって事なの? じゃあ私が行こうとしていたリュフミュラン負けちゃいそうなの、どうすればいいの?? 私でも商売やっていけそうなくらいちょっと田舎でユルい国だって聞いて期待してたのに……」

 半泣き声になりながらもフルエレが今までと違い早口でまくし立てて聞いて来る。

「……そんなユルい国だから隣国に攻められてるんじゃないでしょうか?」



 ヒューンヒューンヒューン
 突然二人の遥か頭上を、甲高い音と共に無数の小さな真っ赤な火球が飛び越えて行く。

「あああ、あれ何っ!?」

 フルエレが運転しながらギョッとして叫んだ。
 ドドーーーン! ダダーーーン!!
 大きな爆発音の連続にフルエレは無言で恐怖した。



「お、始まりましたね。遠距離攻撃で敵の勢力を削ごうという事ですね。壮観だなあ」

 ヒューンヒューンヒューンヒューンヒューン
 ドドドドドドドドドドーーン
 加速度的に攻撃が倍加して行く。お返しにリュフミュランの側からも反撃があるのだが、数が少なく矢なんかも混じっていてそれが敵まで届かず魔輪の走る近くの地面にグサグサ刺さったりもして行く。



「どうすればいいの……ここまで来て。せっかく砂緒とも知り合う事が出来て、これからって時に」

 一気に絶望モードになり顔が真っ暗になったフルエレ。それを見て砂緒は何となく旅がいきなりここで終わるのは詰まらないなと感じた。

「そうですねーこうなればフルエレの生存の可能性が一番高いのは、右側のリュフミュランに単身向かう事でしょうか。となれば今すぐお行きなさい」

 そう言うと、砂緒は髪をなびかせサイドカーからいきなり身を乗り出そうとする。

「え、どういう事?」

 フルエレは砂緒の挙動にも言葉にもビクッとする。

「最初から目的地にしていた国に1ミリでも近寄りたいでしょう? それにリュフミュランは恐らく自警の市民なんかも混じってるはずです。美少女のフルエレが単身で逃げ込めば事情を説明すれば判ってもらえる可能性が微量でもある事、それに先程我々はニナルティナ軍の軍紀の乱れを目の当たりにした所です」

 フルエレは砂緒の言葉に素直に従う事にした。

「その通りだわ。最初から行きたかった国に行く!」

 フルエレは決意を固めたが、単身の部分を良く理解していない。

「それでは私はサクッとニナ軍を足止めして来ますので、貴方はリュフミュラン軍とやらが全滅する前にコソッと自分だけ逃がしてもらって下さい」

 砂緒はシュタッと手刀を切ると事も無げに疾走するサイドカーから飛び降りようとする。

「駄目だよ、貴方も一緒に来てっ!!」

 瞬間的に振り返って叫ぶフルエレ。

「なんですかぁ~もう~~?」
「でも……私だけ逃げるなんて出来ないよ」

 激しい爆発音が鳴り響く中、美少女に心配してもらって激しくイラ付く砂緒だった。

「どうせ倒されても再び朽ち果てるだけですから気にしないでもらいたい」

「駄目! なんでそんな事言うの? 折角会えたんだよ、折角友達になれたばっかりなのに、そんな事言うのは嫌よ……」

 振り返って叫ぶフルエレの目は潤んでいた。だがそれに対し砂緒の心は至って平坦であった。

「あー大丈夫ですよ~~どぞどぞ」
(何を余計な時間取ってるんでしょうか、このニンゲンは……)

 その返事はとても軽かった。彼の興味はもう敵軍にブチ当たる事に向かっている。

「う、うん、絶対無事に帰って来てね、それと……兵士はなるべく殺さないで」
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