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第一部 嫉妬と情愛の狭間

第187話 成人の儀 其の五十三★      ──熱を求めて──

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 玄武の気配を感じた、ただそれだけのことで気を遣ってしまったのだと、悦楽で朦朧とする頭の片隅で、香彩かさいはそう理解していた。
 だが先程のような居た堪れなさは、香彩かさいにはもうない。漂い続ける玄武の気配は、じわりじわりと香彩かさいの身体を、快楽という名の焔で灼き続けていた。


「…も、欲し……、おく……っほしい……っ、いちばん…おく…っ、んんっ、りゅ……っ、……らさめぇ……っ」


 香彩かさいは切なく喘ぎ啼きながら、そう強請ねだってみせる。
 動けないことが、とても歯痒いのだと言わんばかりに、まるで身体の代わりのように、二本の剛直を咥え込んだ胎内は、熱く熟れて畝りながら、柔らかい媚肉が熱楔に絡み付き、根元から先端を舐めしゃぶるように吸い付く。その度に、もどかしいまでの快楽が湧いて出て、背筋を駆け上がっていく。
 そんな香彩かさいのあられもない様子を紫雨むらさめは、くつくつと笑った。


「今まだこの地に存る雪神に相性の良い玄武から呼んだが……今からこれでは先が思い遣られるな、かさい。お前自身と相性の良い白虎の番となれば、一体どこまで乱れるやら……」


 そう話ながら紫雨むらさめは、結腸の蕾の先にある蜜壺から、剛直をゆっくりと引き抜き始める。そして今にも後蕾から出ていきそうな程にまで、腰を引く。
 やがて。


「──……見物みものだな……っ!」


 紫雨むらさめは容赦もなく、香彩かさいの一番奥の奥まで、その剛直で一気に貫いた。


「──……ッ……ぁ──!」


 堪らないのが香彩かさいだった。
 その悦楽の衝撃に声を詰まらせながら、香彩かさいの若茎から、とろとろと白濁混じりの蜜が溢れて流れ出す。
 結腸の蕾を越えた更に奥。
 ぐっと力強く腰を使われて、太さも長さもある紫雨むらさめの剛直が、全て香彩かさい胎内なかに埋められていく。
 蜜に濡れた下生えを後蕾に感じて、本当に堪らないのだとばかりに、香彩かさいかぶりを振った。
 身体は抽送を期待している。このまま何も考えられなくなるくらい、強く激しく胎内なかを、その奥を突いてほしい。
 熱を吐き出して、熱く灼いてほしい。

 だが紫雨むらさめはそんな香彩かさいのことなど、お見通しなのだと言わんばかりに、くつくつと笑いながら、結腸の奥の蜜壺を捏ね回す。


「……んんっ、あ、あっ……、あぁ…」 


 腰を使い、ゆっくりじっくりと。
 男根を淫猥に揉みほぐし、吸い付いては舐め尽くす蜜壺を、堪能するかのように。


「──竜紅人りゅこうとよ」


 紫雨むらさめが欲で掠れた低い官能的な声で、竜紅人りゅこうとを呼ぶ。それが合図だったかのように、今まで全く動くことをしなかった竜紅人りゅこうとの剛直が、紫雨むらさめの後に続いて結腸の奥の蜜壺にゆっくりと入り込んでくる。


「……竜紅人りゅこうとよ。本来なら大司徒と司徒ふたりで行う儀式に乱入を赦した意味を、理解しているな?」
「……ああ」
「理解しているのならいい。……せっかくの濃厚な神気だ。枯れかけた術力の肥やしになって貰うとしよう。尤も、お前が俺に付いて来られたらの話だがな」
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