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第一部 嫉妬と情愛の狭間

第164話 成人の儀 其の三十★       ──柔らかい蜜壺──

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「……いい締め付けだ。旨そうに俺の指を食ってくれる」
「あ……はっ…、ぁ」


 耳輪を食みながら話す、欲に掠れた低い声が、耳元を刺激し震わせる。
 ぴちゃりと、脳までも湿らせ、支配してくるかのような水の音は、耳の側と後蕾から聞こえてきた。
 花蕾に咥え込んだ二本の指先が、軽く引っ掻くように動くだけで、くちゅ、と卑猥な音を立てる。
 香彩かさいが思わず息を詰めれば、全てお見通しだと言わんばかりに、紫雨むらさめの指はわざと音を立てるような触り方をしてきた。


「はぁ…、ぁ…っ、お…と……っやだっ……!」
「こうやって軽く胎内なかの媚肉に触れているだけだというのに、どんどんと溢れてくる。『真竜の御手付みてつき』というのは……やはり淫奔だな、かさい」
「違っ……」
「じんわりと俺の袖口も濡らして……よく言う」
「──……っ、ああっ……!」


 紫雨むらさめは何を思ったのか二本の指を中程まで引き抜いたと思いきや、後蕾の襞を拡げるようにして、指をもう一本埋め込ませた。
 堪らず啼く香彩かさいの声に、苦痛の色は見えない。
 襞は初めの硬さを失ったかのように、柔軟に拡がった。胎内なかは三本の指を入れてもなお余裕があり、足りないのだとばかりに貪欲に飲み込もうとする。
 ぐうるりと、ゆっくり掻き回せば、香彩かさい紫雨むらさめの白衣を掴みながら胸の上で、あられもない艶声を上げた。
 胎内を掻き回す度に、熱く柔らかく紫雨むらさめの指を締め付けるが、明らかな胎内なかの余裕が見て取れる。ぐうるり、ぐうるりと掻き回せばその拡がりがよく分かる。それは、を受け入れてきたという証拠でもあった。


「しかし……何とも熱く柔らかい蜜壺だ。俺の指があと一本、いやもうニ本は入りそうだ」


 紫雨むらさめは面白そうに、くつくつと香彩かさいの耳元に笑い声を吹き込みながら、卑猥な言葉を口にする。
 香彩かさいは切ない喘ぎ声を上げながら、いやいやとばかりに頭を横に振った。
 紫雨むらさめの三本の指は、指の届く一番奥を捏ねるように掻き回し、胎内なかを蹂躙する。そして四本目の指を襞に当てながら、紫雨むらさめは言うのだ。


 蒼竜と契ったのか、と。


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