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第一部 嫉妬と情愛の狭間

第47話 悪戯の代償 其の四★

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 胎内なかを拡げるようにして、それぞれ別の動きをする三本の指の刺激に、香彩かさいの腰は妖しく艶かしい動きを見せる。
 動くなとばかりに、竜紅人りゅこうとが腰の括れに手を這わせて掴みながら、一度指を後孔から引き抜いた。
 今度は奥へと届くよう、指を二本に減らして出し入れを繰り返しながら、何かを探るように、腸壁をゆっくり擦り上げる。


「……んんっ……」


 胎内を押し広げられるその感覚に、腸壁を何かが這いずり回り、掻き回されるような感触が合わさって、香彩はかぶりを振る。
 やがて指は香彩の弱い、ある一点を擦り上げた。


「あ……」


 腰から脳髄を貫くような、凄まじい快感を感じて、香彩の肢体が大きく震え、目が見開かれる。


「や……ぁ、っあぁぁっ」


 竜紅人の指は容赦がなかった。
 胎内なかにある凝りを、指先で柔く解すように蠢かせた後、徐々に力を加えながら押し込むように、もしくは指先で挟み込むように動かす。
 堪らないとばかりに喜悦の声を上げながら、香彩は壁に手を付いて、与えられる快感から逃げるように腰を浮かせた。
 だがそれは竜紅人にとっては、より愛撫しやすくなっただけだったのだろう。
 蕾を指で責めながら、目の前でまるで自身への褒美のように揺れる、香彩の陽物を見て、くすりと笑う。
 竜紅人が蜜の溢れたそれを口に含むと、泣き声のような嬌声が部屋の中に響き渡った。


「ひっ……や! あん、ぁあ! ぃや…あぁ」


 熱を持った柔らかな先端を、まるで鈴口から先走りを吸いとる様に優しく吸い上げられる。
 更に鈴口に割り入れるように尖らせた舌先を捩じ込んで、薄赤い孔を押し拡げる様に舌先で穿り廻されれば、卑猥な刺激に竿は震え、鈴口から先走りがますます溢れるのだ。

 やがて張り出した笠の裏ごと、はち切れそうに膨らんだ先端を、全て咥え込まれた。先走りを全て舐め取るようにして、柔らかい亀頭を吸い上げられるが、それでも唾液と混じって、竜紅人の薄い唇の端から溢れ落ちていく。

 その卑猥な様子に、香彩はぞくりと背を駆け上がる欲をもう隠せずにいた。
 先端だけを執拗に責められる唇と舌の刺激は、彼の頭の上という、今までにない場所で痴態を晒すという、淫らな悦楽の拷問のようだ。

 だが雌竜のように指を突き入れられた胎内なかの凝りの、更に奥を責められたい気持ちと、雄竜のように陽物を口腔内の更に奥、喉奥まで突き入れて、快楽のままに熱を吐き出したい気持ちが生まれる。
 そんな両極端なことを思いながら、卑猥な欲にとろみがかった深翠の瞳に、恍惚とした熱を浮かべた表情で、香彩はただ彼を見つめていた。
 

「あ、んっ…んっ!はぁ……」


 口腔内で熱を持った敏感な粘膜に舌を絡めながら竜紅人は、笠が張った雁裏を扱く様に、丹念にいやらしくねぶる。
 はち切れんばかりに膨張した亀頭を唇を使って扱きながら、その溢れ出る先走りを、卑猥な水音を立てながら味わい尽くす。


「……や、……ぁもう、やめ……」


 更に大きく淫らな水音を立てながら、膨張し切った亀頭を、唇で雁裏を引っ掛けて扱く様にして、口腔内から抜き出した。
 唾液と先走りにぬめる先端に熱い息を吹き掛けながら、竜紅人は甘くて卑猥で残酷な問いかけを、香彩に投げ掛けるのだ。


「もうこんなに物欲しげに滴らせているというのに……いいのか? 止めても」
「……っ、んやぁぁ、もう……っ、」
「ん?」


 壁に手を付き下を向いた香彩の瞳と、香彩の股に敷かれた竜紅人の上目遣いの視線が合う。
 香彩の熱く官能的な快感に潤んだ瞳は、同時に激しい羞恥を孕んでいて、竜紅人に甘猥な陵辱からの解放を懇願する。


「もう……おねがい……っ……!」


 敏感な陽物と蕾を恥ずかしい体勢で同時に責められて、その刺激にくらりと眩暈がしそうだった。
 昨夜散々求めて乱れたというのに、欲しがってしまうことが恥ずかしくて、抵抗していた香彩の姿は、もうどこにもない。
 無意識の反発で固く閉ざしていた蕾も、今ではすっかり薄紅の華を咲かせ、柔らかく蕩けて竜紅人を待ち望んでいる。


「……おねがい?」


 吐息混じりの竜紅人の声。
 熱い息をわざと陽物に当てるような言い方に、香彩の身体がふるりと震えた。
 竜紅人の手によって淫らな刺激が与えられていた香彩の陽物は、先端から透明な蜜を滴らせながら限界を示しており、少しでも気を抜けば果ててしまいそうだった。
 ただでさえ蜜が彼の口元を汚しているというのに、このままもしも射精してしまった時のことを考えると、恥ずかしく堪らない。
 欲しいと言え、と竜紅人は言っていたのだ。
 きっと彼を欲しがり、求める言葉と態度を取らなければ、この体勢がずっと続くのだろう。
 竜紅人が香彩の先程の些細な抵抗を赦し、今の体勢を解いてすぐにでも挿入したいと思わせる何かが必要だった。

 
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