上 下
16 / 409
第一部 嫉妬と情愛の狭間

第16話 湯殿 其の四★

しおりを挟む


「……っ、ゃぁ……っ!」


 香彩かさいは痛みと、それ以上に襲って来る快感に、思わず竜紅人りゅこうとの腕に縋り付いた。
 尾の先端からとろりとしたものが、流れて行くのが分かる。それは神気を伴う媚薬のようなものだ。
 挿入されていく痛みは徐々に消えて、あとに残されたのはまるで酩酊するような、深い深い悦楽だった。

 啜り泣くような艶声を宥めるように、竜紅人りゅこうとは少し屈んで香彩かさいの耳に、触れるだけの接吻くちづけを何度も落とす。


「そういえばまだ洗ってなかったな。『尾を跨いで四つん這いになって、腰を高く上げて』かさい」
「──っ!」 


 耳元で囁かれる竜のこえとその内容に、いたたまれなくて恥ずかしくてかぶりを振った。
 何度かそういう体勢をとったことはある。だがそれは四つん這いまでだ。快楽に身を任せ極まって、気付けば腰を高く上げていたこともあったが、何もない状態で自分から腰を突き出すような体勢など、香彩かさいはとったことがなかった。
 だが羞恥の心とは裏腹に身体は、竜紅人りゅこうとの望む体勢へと、動いていく。


「……っ!」


 恥ずかしさで息を詰めながら、香彩かさいは尾を跨いで四つん這いになり、腰を高く上げた。
 熟れた白桃のような臀部が、竜紅人りゅこうとの目の前に晒される。
 ちゃぽん、と湯船の方から水音がした。
 何かと思って見てみると、竜紅人りゅこうとが片手で湯を掬っているところだった。


「あ……」


 温かい湯が尾ていの辺りから、後蕾にかけて落とされる。幾度かそれを繰り返しながら、竜紅人りゅこうとの形の良い指が胎内なかを引っ掻くようにして、熱を掻き出す。


「ん……」


 あらかた出切ったのか、竜紅人りゅこうとの指が抜かれて、香彩かさいはほっとしながら大きく息をついた。
 そんな少し力の抜けた香彩かさいたしなめるようにして、竜紅人りゅこうとは白くてまあるい香彩かさいの綺麗な臀部を、軽く手で打った。


「ひゃ……、ぁん」
「ここを打ったのは何年振りだろうなぁ……昔お前がいたずらした時以来か? まぁあの頃は人の手じゃなくて、幼竜の前肢だったけどなぁ……!」
「あ……!」


 もう一度軽く叩かれて、香彩かさいは艶声を上げながらも、望まれた体勢を保つ為に力を入れる。
 だが。


「……ぁっ待っ、……あ、ぁっ……んっ」


 温かくて、ぬめりとしたものを後蕾に感じて、かくんと力が抜けた。
 それが竜紅人りゅこうとの舌だと分かって、香彩かさいはいやいやと弱々しく叫びながら、頭を振った。だが身体は快楽に従順で、無意識の内に先程よりも腰を高くして、舌を求めている。
 

 舌は蕾の襞のひとつひとつを、確かめるようにして丁寧に舐め回した後、硬くした舌先が蕾の真ん中を突く。何度かそうされると蕾はひくついて、はくはくと動き出す。
 そんな卑猥な孔に舌を潜り込ませて、美味しそうに吸い上げられると、羞恥に苛まれそうだった。
 初めてではないのに、恥ずかしくて仕方がない。幾度かそうされたことがあるというのに、逃げ出したくなる。
 だが腰をしっかりと掴まれている為か、それも叶わない。挿入はいってくる舌の熱さに喘ぎ、とろっと中に落とされる唾液のぬめりに、香彩かさいは敷物を掻きむしる。


「……んんっ、…ぁっ、もう……おねが……」
「……お願い?」


 
 もう、どうにかしてほしい。
 腹の奥で出口を求めて彷徨い、ぐうるりと回るこの熱を。
 どうか。


「も……おね、がい……っ……れて」


 どうか。


「りゅ……の、おっき……いの……れてほし……!」


 吐き出させて欲しい。


 言うや否や、背中に竜紅人りゅこうとの重みがのしかかってくる。広い胸に押し潰されそうになって、その重さと熱さに眩暈がした。
 香彩かさいの胸が敷物に付いたと思いきや、ゆっくりと横向きにされて、反動で竜の尾がふるりと揺れる。
 鈴口より中の道に入り込んでいる、尾の先端の気持ち良さに、思わず声が上がった。
 気付けば組み敷かれて、足を大きく広げられて、熱いものが秘所に宛がわれる。
 蕾は何の抵抗もなく口を開いて、彼の雄を呑み込んだ。


「あ……、あ……っ」


 挿入はいってくる。
 そう思うだけで、堪らなくて香彩かさいは全身を震わせて、その悦びを受け入れる。
 待ち望んでいた熱い先端が、完全になかに収まると竜紅人りゅこうとは一度動きを止めた。
 大丈夫かと聞く竜紅人りゅこうとに、香彩かさいは無言でこくりと頷くと、竜紅人りゅこうとは再び腰を進めた。

 ゆっくり、ゆっくりと。

 やがて一番奥、結腸の蕾に当たったところで竜紅人りゅこうとは大きく息を吐いた。
 すがるように掴んでいた竜紅人りゅこうとの腕から手を離せば、彼がそれを手に取り、そっと口付ける。

 伽羅色の瞳と視線が合う。奥に情欲の焔を宿した目に捕らえられたまま、接吻くちづけを交わす。やがて深くなるそれに、繋がった場所から、甘くじんわりとした痺れが広がって、内側から溢れそうなくらい幸せな気分になる。
 きゅうと中が竜紅人りゅこうとを締め付けるのがわかった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

【書籍化確定、完結】私だけが知らない

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

処理中です...