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第96話 銀狐、目合う 其の十九 ※
しおりを挟む「──っ!」
白霆の言葉に身体がびくりと震えて反応する。
臀の形を変えるほどに押し付けられる腰。
結腸の弁蕾の少し奥にある子袋の袋口に、雄蕊の先端が僅かに触れる。ただそれだけで、今までの愉悦の境地を易々と超える、深い深い快楽を感じて晧は息を詰める。
「本性の雄蕊ならば子袋の底まで届きます。ここで私の熱を受け止めて……晧」
思わず想像をしてしまって、晧の身体は再びふるりと震えた。ほんの少し袋口に先端が接吻をしただけで、自分自身を失ってしまいそうな程の深い欣悦を覚えたというのに、押し開けられて袋内であの熱を感じてしまったら自分はどうなってしまうのか。
だがこの身体は期待をしてしまったのか、思わず胎内の雄蕊をきゅうと締め上げた。いつしかひたりと、まるで元からこの場所に雄蕊が存在したかの様に馴染んだ胎内は、白霆の雄形を感じ取って悦びに痙攣する。
──それが白霆への答え、だった。
晧、と。
愛しげに耳元で名前を呼ぶ白霆の、その存在の在り方が徐々に変化する。
四つ這いになっていた晧の前、敷包布に付いていた白霆の腕に、煌びやかな白い鱗が浮かび上がっていくのを見て、晧は実感したのだ。
真竜とはニ形を持つ生き物であり、人形にも竜形にもなれるのだと。
「──っ、はぁ……あぁっっ!」
胎内に収めている雄蕊が、徐々にその質量を増していく。その圧迫感が苦しくて、晧は艶やかな呻き声を上げた。だがより濃厚になった、春の野原の草花にも似た白霆の神気の香りを嗅ぐだけで、苦しみは悦びに変わる。
白霆の腕が完全に真竜のそれへと変化した。同時に晧の花芯に沿うように現れる、彼のもうひとつの雄蕊。それは明らかに人形のものとは違う形をしていた。
濃桃色をした雄蕊は、根元に大きな瘤が付いていて茎は太く、そして長い。
これと同じものがこの胎内に挿入っているのだ。
そう思うだけで官能が昂って仕方なかった。
『晧……晧、大丈夫ですか……?』
ぐるっ……と竜の唸り声が聞こえる。
だが彼の言葉は昔と違って、思念として脳内にちゃんと伝わってきた。
少しでも胎内の雄蕊が動いてしまったら、すぐに法悦を迎えてしまいそうになるほど、快楽が積み重なっている。それでも白霆に大丈夫だと伝えたくて、晧はもう一度身体を捻らせて白霆を見た。
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