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第84話 銀狐、目合う 其の七 ※
しおりを挟む「……ぁ……は……」
びくりと身体を揺らしながら、数回に分けて逐情する晧の熱の全てを、余すことなく喉を鳴らしながら白霆が嚥下する。その口の動きや喉の動きが気持ち良くて堪らない。
まだ花芯に残っている熱すらも惜しいのだと言わんばかりに吸われて、自慰とは余りにも違う快楽に頭の中が真っ白になる。
だが、はっと我に返って晧は上体を少し上げた。
卑陋な音を立てて白霆が花芯を離せば、彼の唇と花芯の先端を繋ぐ白い糸が見える。
それが何を意味するのか、快楽に冒された頭がようやく理解した。
「──まさか飲ん……っ!」
顔を真っ赤にしながら、恥ずかしさのあまり手で口を覆った晧に、白霆がにっこりと笑う。
「はい。どんな上等な御酒よりも美味でした。ご馳走様です」
「び、美味とか言うなっ……!」
「美味以外に表現の仕様がありません。貴方の精はまさに極上の……」
「──極上とか言うなっ! さっきから恥ずかしいことばっかり……!」
「済みません。恥ずかしがってる貴方があまりにも可愛らしくて、つい。ですがこれからが本番で、もっと恥ずかしいことをするのに」
「……っ」
「後蕾、解すんですよじっくりと。私を受け入れられるぐらいに柔らかくなるまで」
「あ……」
白霆の指先が後蕾の襞を、まあるく擦った。ただそれだけの動作だというのに身体はびくりと反応し、後蕾がひくつくのが分かる。
「──ちょっと待っ……白竜!」
晧が咄嗟に白霆の腕の眠衣を、ぎゅっと握って引っ張った。言葉を聞いた白霆が後蕾に触れたまま、手の動きを止める。
「晧?」
「……」
「晧……?」
「──っ、だってお前がこんなに上手いなんて思わなかったから……!」
「お褒めに預かり光栄です」
「──お前、経験が……?」
「言ったでしょう? 貴方が全て初めてですよ」
「でも、こんな……っ!」
自分がこれまでされたことを思い出したのか、晧の顔に再び朱が走る。
そんな晧の様子を見て、白霆は再びお可愛らしいと笑うのだ。
「密通とおっしゃるのでしたら、確かに私はたくさん密通していたのかもしれませんね。……それはそれは沢山の書物達と」
「──しょ、書物?」
「ええ。貴方に気持ち良くなって頂きたくて、麗城の地下書庫をお借りして、閨の知識だけは詰め込んだので。悦んで頂けて嬉しいです」
「……っ!」
晧は何とも言えない気持ちに襲われた。
白霆によって快楽に染められて変えられていく身体に、嬉しさと同時に戸惑いもあった。だが彼は言ったのだ。自分を悦ばす為に知識を詰め込んだのだと。そういった書物を読み耽る白竜の姿を想像して、晧は酷く滑稽に思った。
同時に愛しさが込み上げてきて、堪らなかった。
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