逃げる銀狐に追う白竜~いいなずけ竜のアレがあんなに大きいなんて聞いてません!~

結城星乃

文字の大きさ
上 下
84 / 107

第84話 銀狐、目合う 其の七 ※

しおりを挟む

「……ぁ……は……」

 
 びくりと身体を揺らしながら、数回に分けて逐情するこうの熱の全てを、余すことなく喉を鳴らしながら白霆はくていが嚥下する。その口の動きや喉の動きが気持ち良くて堪らない。
 まだ花芯に残っている熱すらも惜しいのだと言わんばかりに吸われて、自慰とは余りにも違う快楽に頭の中が真っ白になる。
 だが、はっと我に返って晧は上体を少し上げた。
 卑陋な音を立てて白霆が花芯を離せば、彼の唇と花芯の先端を繋ぐ白い糸が見える。
 それが何を意味するのか、快楽に冒された頭がようやく理解した。

 
「──まさか飲ん……っ!」

 
 顔を真っ赤にしながら、恥ずかしさのあまり手で口を覆った晧に、白霆がにっこりと笑う。

 
「はい。どんな上等な御酒よりも美味でした。ご馳走様です」
「び、美味とか言うなっ……!」
「美味以外に表現の仕様がありません。貴方の精はまさに極上の……」
「──極上とか言うなっ! さっきから恥ずかしいことばっかり……!」
「済みません。恥ずかしがってる貴方があまりにも可愛らしくて、つい。ですがこれからが本番で、もっと恥ずかしいことをするのに」
「……っ」
後蕾ここ、解すんですよじっくりと。私を受け入れられるぐらいに柔らかくなるまで」
「あ……」

 
 白霆の指先が後蕾の襞を、まあるく擦った。ただそれだけの動作だというのに身体はびくりと反応し、後蕾がひくつくのが分かる。

 
「──ちょっと待っ……白竜ちび!」

 
 晧が咄嗟に白霆の腕の眠衣を、ぎゅっと握って引っ張った。言葉を聞いた白霆が後蕾に触れたまま、手の動きを止める。

 
「晧?」
「……」  
「晧……?」 
「──っ、だってお前がこんなに上手いなんて思わなかったから……!」
「お褒めに預かり光栄です」
「──お前、経験が……?」
「言ったでしょう? 貴方が全て初めてですよ」
「でも、こんな……っ!」

 
 自分がこれまでされたことを思い出したのか、晧の顔に再び朱が走る。
 そんな晧の様子を見て、白霆は再びお可愛らしいと笑うのだ。

 
「密通とおっしゃるのでしたら、確かに私はたくさん密通していたのかもしれませんね。……それはそれは沢山の書物達と」
「──しょ、書物?」
「ええ。貴方に気持ち良くなって頂きたくて、麗城の地下書庫をお借りして、閨の知識だけは詰め込んだので。悦んで頂けて嬉しいです」
「……っ!」

 
 晧は何とも言えない気持ちに襲われた。
 白霆によって快楽に染められて変えられていく身体に、嬉しさと同時に戸惑いもあった。だが彼は言ったのだ。自分を悦ばす為に知識を詰め込んだのだと。そういった書物を読み耽る白竜の姿を想像して、晧は酷く滑稽に思った。
 同時に愛しさが込み上げてきて、堪らなかった。

 
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

ギルド職員は高ランク冒険者の執愛に気づかない

Ayari(橋本彩里)
BL
王都東支部の冒険者ギルド職員として働いているノアは、本部ギルドの嫌がらせに腹を立て飲みすぎ、酔った勢いで見知らぬ男性と夜をともにしてしまう。 かなり戸惑ったが、一夜限りだし相手もそう望んでいるだろうと挨拶もせずその場を後にした。 後日、一夜の相手が有名な高ランク冒険者パーティの一人、美貌の魔剣士ブラムウェルだと知る。 群れることを嫌い他者を寄せ付けないと噂されるブラムウェルだがノアには態度が違って…… 冷淡冒険者(ノア限定で世話焼き甘えた)とマイペースギルド職員、周囲の思惑や過去が交差する。 表紙は友人絵師kouma.作です♪

国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!

古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます! 7/15よりレンタル切り替えとなります。 紙書籍版もよろしくお願いします! 妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。 成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた! これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。 「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」 「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」 「んもおおおっ!」 どうなる、俺の一人暮らし! いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど! ※読み直しナッシング書き溜め。 ※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。  

涯(はて)の楽園

栗木 妙
BL
平民の自分が、この身一つで栄達を望むのであれば、軍に入るのが最も手っ取り早い方法だった。ようやく軍の最高峰である近衛騎士団への入団が叶った矢先に左遷させられてしまった俺の、飛ばされた先は、『軍人の墓場』と名高いカンザリア要塞島。そして、そこを治める総督は、男嫌いと有名な、とんでもない色男で―――。  [架空の世界を舞台にした物語。あくまで恋愛が主軸ですが、シリアス&ダークな要素も有。苦手な方はご注意ください。全体を通して一人称で語られますが、章ごとに視点が変わります。]   ※同一世界を舞台にした他関連作品もございます。  https://www.alphapolis.co.jp/novel/index?tag_id=17966   ※当作品は別サイトでも公開しております。 (以後、更新ある場合は↓こちら↓にてさせていただきます)   https://novel18.syosetu.com/n5766bg/

タチですが異世界ではじめて奪われました

BL
「異世界ではじめて奪われました」の続編となります! 読まなくてもわかるようにはなっていますが気になった方は前作も読んで頂けると嬉しいです! 俺は桐生樹。21歳。平凡な大学3年生。 2年前に兄が死んでから少し荒れた生活を送っている。 丁度2年前の同じ場所で黙祷を捧げていたとき、俺の世界は一変した。 「異世界ではじめて奪われました」の主人公の弟が主役です! もちろんハルトのその後なんかも出てきます! ちょっと捻くれた性格の弟が溺愛される王道ストーリー。

塔の魔術師と騎士の献身

倉くらの
BL
かつて勇者の一行として魔王討伐を果たした魔術師のエーティアは、その時の後遺症で魔力欠乏症に陥っていた。 そこへ世話人兼護衛役として派遣されてきたのは、国の第三王子であり騎士でもあるフレンという男だった。 男の説明では性交による魔力供給が必要なのだという。 それを聞いたエーティアは怒り、最後の魔力を使って攻撃するがすでに魔力のほとんどを消失していたためフレンにダメージを与えることはできなかった。 悔しさと息苦しさから涙して「こんなみじめな姿で生きていたくない」と思うエーティアだったが、「あなたを助けたい」とフレンによってやさしく抱き寄せられる。 献身的に尽くす元騎士と、能力の高さ故にチヤホヤされて生きてきたため無自覚でやや高慢気味の魔術師の話。 愛するあまりいつも抱っこしていたい攻め&体がしんどくて楽だから抱っこされて運ばれたい受け。 一人称。 完結しました!

【完結】お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!

MEIKO
BL
第12回BL大賞奨励賞いただきました!ありがとうございます。僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して、公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…我慢の限界で田舎の領地から家出をして来た。もう戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが我らが坊ちゃま…ジュリアス様だ!坊ちゃまと初めて会った時、不思議な感覚を覚えた。そして突然閃く「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけにジュリアス様が主人公だ!」 知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。だけど何で?全然シナリオ通りじゃないんですけど? お気に入り&いいね&感想をいただけると嬉しいです!孤独な作業なので(笑)励みになります。 ※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。

聖女の力を搾取される偽物の侯爵令息は本物でした。隠された王子と僕は幸せになります!もうお父様なんて知りません!

竜鳴躍
BL
密かに匿われていた王子×偽物として迫害され『聖女』の力を搾取されてきた侯爵令息。 侯爵令息リリー=ホワイトは、真っ白な髪と白い肌、赤い目の美しい天使のような少年で、類まれなる癒しの力を持っている。温和な父と厳しくも優しい女侯爵の母、そして母が養子にと引き取ってきた凛々しい少年、チャーリーと4人で幸せに暮らしていた。 母が亡くなるまでは。 母が亡くなると、父は二人を血の繋がらない子として閉じ込め、使用人のように扱い始めた。 すぐに父の愛人が後妻となり娘を連れて現れ、我が物顔に侯爵家で暮らし始め、リリーの力を娘の力と偽って娘は王子の婚約者に登り詰める。 実は隣国の王子だったチャーリーを助けるために侯爵家に忍び込んでいた騎士に助けられ、二人は家から逃げて隣国へ…。 2人の幸せの始まりであり、侯爵家にいた者たちの破滅の始まりだった。

「じゃあ、別れるか」

万年青二三歳
BL
 三十路を過ぎて未だ恋愛経験なし。平凡な御器谷の生活はひとまわり年下の優秀な部下、黒瀬によって破壊される。勤務中のキス、気を失うほどの快楽、甘やかされる週末。もう離れられない、と御器谷は自覚するが、一時の怒りで「じゃあ、別れるか」と言ってしまう。自分を甘やかし、望むことしかしない部下は別れを選ぶのだろうか。  期待の若手×中間管理職。年齢は一回り違い。年の差ラブ。  ケンカップル好きへ捧げます。  ムーンライトノベルズより転載(「多分、じゃない」より改題)。

処理中です...