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第80話 銀狐、目合う 其の三 ※

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「あ……」

 
 顎を軽く食み、喉に、首筋に白霆はくていの舌が這う。
 ぴりっとした痛みを所々に感じて熱くなる様に、痕を残されたのだと思った。刻み込まれていく所有印が、恥ずかしくも酷く嬉しい。
 綺麗に浮き出る鎖骨を舌で擦った白霆の舌が、やがて胸の漿果しょうかに辿り着いた。
 こうはふいに思い出す。
 川魚の煮付けで有名な宿に泊まった時のことを。
 夢から目覚めた後、懐かしい香りに翻弄されて白霆の寝台に潜り込み、ずっと彼の手を甘噛みしていた。そうこうしている内に我慢の出来なくなった白霆に組み敷かれて、乳嘴にゅうしを柔く引っ掻かれて。
 ほんの、ほんの少しだけだったというのに。
 あの時に感じた、花芯に直接伝わるかのような深い悦楽を思い出してしまう。

 
「……あ……」

 
 白霆の舌先が乳暈にゅううんをゆっくりと舐める。同時にもう片方の乳暈を、まるで形を確かめるかのように指で擦る。
 だがいつまで経ってもあの深い悦楽が訪れない。

 
「……はぁっ……っ、はくてい……」

 
 縋るように晧は、焦れったい愛撫を繰り返す男の名前を呼んだ。じわりじわりと降り積もっていくこの悦楽の疼きも悪くないが、求めているのはこれではない。
 そんな晧の声に白霆がくすりと笑うと、薄桃色をした漿果に、ふっと息を短く吹き付ける。

 
「──あっ!」

 
 たったそれだけの刺激で尾骶が痛い程に疼いて、晧はびくりと身体を震わせた。漿果が勃ち上がり熟れていくのを嫌でも実感する。
 可愛らしい、と吐息混じりの声を漿果に当てながら彼が言った。

 
「貴方が私の寝台で寝ていて、私の手を甘噛みしていたあの日。私はどんなに……」

 
 貴方のこの胸にむしゃぶりつきたいと思ったことか。

 
 白霆の情欲に満ちた言葉に、晧はそっと彼の髪を掻き上げるようにして頭に触れた。指の隙間から流れる灰銀の髪が心地良くて仕方ない。

  
 晧の手は語る。
 お前の好きにしていいのだと。
 早く、と。 

  
「……っ、ああっ……んっ!」

 
 まるで理性を断ち切ったかのように、晧の乳嘴は白霆の唇や手によって弄ばれる。
 片方の頂きは、むしゃぶり付きたかったという彼の言葉の通り、暈ごと卑陋な音を立てて痛いほどに吸い付かれた。ねっとりとした舌で執拗なほどに漿果の媚芯を絡め取られながら、何度も貪り付かれる度に、卑猥に濡れた音が鼓膜を刺激して堪らない。

 
「や、やぁ……っ! あっ、あっんはぁ……あぁ……! 」

 
 もう片方の頂きは指だった。人差し指と中指の背に、ふっくりとした桜色の暈を挟む様にして摘み直したかと思うと、硬く勃った漿果を親指の先で幾度となく弾かれる。捏ねながらも押し潰し、軽く爪を立てられれば、びくびくと腰が跳ね上がった。
 一頻り愛でて満足したのか、白霆が漿果の媚芯から口を離す。乳暈はふっくりとしていて、薄桃色だった胸の漿果は濃桃色に熟れて尖り、天を向いていた。
 
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