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しおりを挟む「ミリリアン・レイシーーーーーー。第1王子で未来の王であるこの俺様はお前との婚約を今ここで破棄するーーーーー」
会場中の人が一斉にシーンとなる。
何事かと声の主、この金切り声をあげたネアンタール王国第1王子アスラ・ネアンタールを見た。
第1王子で未来の王って聞くと、威厳のある声と体格、そして品格を持っていそうだけど、コイツは真逆。ま・ぎゃ・く。
全く威厳のないか細い声しかあげられず、大声を出そうと思えば金切り声に。体格は貧相で、剣振り回したら骨折しそう。
脳内に詰まって蟹ミソなんじゃないかっていうくらい、あったまスッカラカンのバカ王子。
こいつの人物紹介はこんな感じで、いいよね?みんなにもよく伝わったでしょう?
アスラは隣に震えながら立っている令嬢の肩を抱き寄せながら再び叫ぶ。
「この俺様はーーー、お前のような野蛮な女ではなくーーー、この俺様の隣いるーーー、可憐でお淑やかなーーー、ユア・レーガン嬢を新たな婚約者とするーーー」
応援団の団長かとツッコミを入れたくなるほど、語尾を伸ばす。そして、背中のそりぐあい。大丈夫かな?尻もちつかないかな?と心配しているふりして、大丈夫かなwwここで尻もちついたらめちゃくちゃおもろいんだけどwww大草原と思いながら見ていると、案の定、尻もちついた。
とっさに可憐でお淑やかな(笑)ユア・レーガンのドレスをつかんだため、ユアも一緒によろける。
どうして、応援団の人ってあんなにそるのかな?と前々から思っていたけど、これは日ごろから運動していて、筋力がある人しかやっちゃいけないポーズだわ。
アスラは何事もなかったかのように立ち上がるが、周りで見ている人は苦笑を禁じ得ない。
会場中にクスクス笑いが広がる。
「とっ、とにかくーーーー俺様はミリリアン・レイシーと婚約破棄しーーーーーーー、俺様の隣にいるユア・レーガン嬢と婚約するーーーーー」
そんなに叫ばなくても聞こえていますって。
ついでに会場中の人は俺様と何回連呼すれぼ気がすむんだ!とツッコミたくなったこと間違いなしだ。
ちなみにここで名前の呼ばれた、ユイ・レーガン嬢とは、誰であろうこの私ノワール・アルティのことですわ。
バカ王子に隣に立っている悪役令嬢役なんて本名でやるわけないじゃありませんか。
私は今回の依頼も順調に行きそうだとほくそ笑みながら、さっきから下品な馬鹿王子から名前を連呼されている、ミリリアン・レイシーにアイコンタクトを送る。
さあ、これからが本番よ!!
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