ヰタ・ピクトアリス

さらば、タナトス １

「生きる気のないやつは死ね！」

「死にたいのなら死なせてあげなさい」

知るひとぞ知る、有名な言葉でしょう。
（うろ覚え）
これは、自身も命からがらにして、生きたくても
生きることを許されなかったひとたちを
目の当たりにした、戦争を生き抜いたひと
だからこそ言えるセリフで、わしゃよー言わん。


そもそも。

「死にたい」

と言うひとは、本当は生きたいのです。

だからといって、死ぬ死ぬ詐欺とは限らず、
ほんまに逝ってもーたがな！になりますので、
扱いは慎重にせねばなりませんが、それは
今のこの苛酷な状態を「生きていたくない」ということで、
「ここから逃れたい」という思いのあらわれだと
わたしは思っています。

東尋坊では晴れの日に別れを告げるひとが多いことを、
見回りのひとがいぶかしがっておりましたが、
当然です。

「いい天気だなあ、サヨウナラ」

本当に清々しい気分になってしまうのですね、
これで苦痛が終わる！
と。

わたしは自覚はなかったけど、産後鬱でガタガタでした。
マンガ描くのも鬱とセットで、どんどん
ドツボにはまっていき、サイアクでしたわよ。
うまくならない、没はつづくし、で。
わたしが砂を噛むような思いで地味に自殺念慮に苛まれた原因は、
まずはお産が尋常でなくきつかったこと、
産後の肥立ちが悪かったこと、からだと思っていますが、
それ以前に育ち方がよろしくなくて、
精神的体力が失われていたことがあると思います。
家庭の機能不全と申しますか、昭和の否定的な
子育て、という以上に、素っ頓狂な母親に縛られて、
子どもらしい素直な感情表現をすることが
できずに無理をしてきた挙句のことでは
なかったか、と。

産後、出血が止まらず、エイリアンのようなものを
また産んだあのとき、病院に行くべきだったと思うんだけど、
言えなかった。
そして、わたしの不調には誰も気づいてくれない。
24時間泣き喚く赤ちゃんと、子どもハイのダンナと、
孫ハイの親に囲まれて、わたしはひとり死にそうでした。
肉体的にも精神的にも。

あのときのことを思い出すと、今なお怒りが
こみ上げてきて、その場の怒りはその場で
収めるようにしないと痛みが癒されることは
ないのだとつくづく思います。

子どもの頃受けた傷も、無理に忘れようとしたり、
合理化したりしないで、なるべく時間を置かずに
対処したほうがいいのです、多分。
自分の育ち方のために、わざわざ不幸を呼ぶことに
なってはもったいないからね、自分のこれからの人生。