アキとユズ~いただきますを一緒に~

伊藤あまね

文字の大きさ
上 下
39 / 58
アキとユズ*第五章

uneasy night*7

しおりを挟む
「…っあ、っくぅ…アキ、く…平、気…?」
「ん…俺は全然…てか、ユズは?苦しくない?」
「…ぜんぜ…んぁ!っへ、きぃ…ん…っく…っあ…っや…」
「ユズ?」
「…ど、しよ…な、んかぁ…奥ぅ……っはぁ…!んぅ…!」
「気持ちい?」
「…イイ、よぉ…っん、あ…」

 膝を付き、より深く彼を求めるたびに、呑みこむ彼の熱の存在を感じた。組敷かれる以外にこういう体勢を取ったことはこれまでにだってなくはないのに、なんだかずっと距離が近い気がした。よりはっきりと彼の熱と存在を感じてしまうと、放すまいと俺のナカが絡みつくのも。
 ただじっとしているのも芸がないよね、って、熱で朦朧としかけた意識の中考えた俺は、アキくんの寄りかかる壁に手を付き、そっと腰を浮かせ、そしてまたゆっくりと沈ませることを繰り返してみることにした。
 俺の口許に煽られ、アキくんの熱がはち切れんばかりに上昇していく。鼻先に掛かる彼の吐息の甘さと熱さで俺もまた熱をあげていった。
 放れまいと蜜を零してからみつく俺の中で濡れた音が響く。触れてもいない筈の、置き去りにされているだけの俺の躰もまた、アキくんを追うように存在を露わにして熱を上げ始めていた。

「…キ、く…気持ち、い?…痛く、ない…?…っん、んあ、んぅ…っはぁ…」
「気持ち、い…ユズ、やーらしくて…すっげ、かわい…」
「っひ、ぅ…!ん…っあ、ん…」
「…だから、俺も、気持ちく、したげ…る…」
「…っえ…?っあ…んぁん!」

 壁に寄りかかったまま身動きしていなかったアキくんが、不意に、俺の躰を掴んだ。彼を食んでいるだけで熱をあげて薄ら涙さえ浮かべていたそこを。
 思い掛けない衝撃に俺は一瞬悲鳴を上げて崩れそうになった。必死に手で支えながら体勢を立て直すと、じんわりとまた躰に刺激が走った。
 アキくんから突然与えられた刺激に崩れそうな俺を、彼は耳元で囁いて促す。「ユズ…一緒に、気持ちくなろ?」と。俺は、快感に震えながらちいさく頷くので精一杯だった。
 それからは、お互い、夢中だった。俺はアキくんの熱を上げて食み続けることに、アキくんは俺の熱を煽ることに。
 滴る蜜と体液と溜息が絡みあっていく淫らな音が、いつもと変わりないテレビの音と混じり合いながら部屋いっぱいに満ちていた。名前を囁く事も眼差しを交わす事も忘れ、ただただひたすらにひとつの塊に溶けあってく事ばかりに夢中になっていた。

「っあぁ、も…ダメぇ、っう、ンぁ…んぅ、あ、あ、イッちゃぁ…!」

 濡れた音の狭間に、俺の嬌声が響いた。アキくんを食んだまま、貫かれたままの熱をそのままに悦びに震えた甘い啼き声をあげた。白濁の熱を躊躇うことなく向かい合う彼の手の中と、肌の上に吐き出しながら。
 そうやって甘い傷みに痺れて震えていると、次の瞬間、ぎゅうっと強く、アキくんが俺の腰の辺りを掴んで俺を自分の方へ抱き寄せた。痺れたままの俺の身体に、より深く、彼の熱が刻まれる。
 反射的に、俺も彼を抱きしめていた。ふたつの肉体が、ひとつに白く溶けあっていった瞬間だった。
 アツい熱が自分の中を染めていく快感に、俺はまたちいさく啼きながらうっとりと眼を瞑った。
 そして、もうそうなってしまったら自分の身体を支える事もできなくなっていて、ダメなのにと解っているのに、そのまま、アキくんの上に崩れ落ちてしまった。顔を埋めた肌はじんわりと汗ばんでいた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!

みづき(藤吉めぐみ)
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。 そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。 初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが…… 架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。

【完結】相談する相手を、間違えました

ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。 自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・ *** 執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。 ただ、それだけです。 *** 他サイトにも、掲載しています。 てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。 *** エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。 ありがとうございました。 *** 閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。 ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*) *** 2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

シャルルは死んだ

ふじの
BL
地方都市で理髪店を営むジルには、秘密がある。実はかつてはシャルルという名前で、傲慢な貴族だったのだ。しかし婚約者であった第二王子のファビアン殿下に嫌われていると知り、身を引いて王都を四年前に去っていた。そんなある日、店の買い出しで出かけた先でファビアン殿下と再会し──。

僕たち、結婚することになりました

リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった! 後輩はモテモテな25歳。 俺は37歳。 笑えるBL。ラブコメディ💛 fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。

ハルとアキ

花町 シュガー
BL
『嗚呼、秘密よ。どうかもう少しだけ一緒に居させて……』 双子の兄、ハルの婚約者がどんな奴かを探るため、ハルのふりをして学園に入学するアキ。 しかし、その婚約者はとんでもない奴だった!? 「あんたにならハルをまかせてもいいかなって、そう思えたんだ。 だから、さよならが来るその時までは……偽りでいい。 〝俺〟を愛してーー どうか気づいて。お願い、気づかないで」 ---------------------------------------- 【目次】 ・本編(アキ編)〈俺様 × 訳あり〉 ・各キャラクターの今後について ・中編(イロハ編)〈包容力 × 元気〉 ・リクエスト編 ・番外編 ・中編(ハル編)〈ヤンデレ × ツンデレ〉 ・番外編 ---------------------------------------- *表紙絵:たまみたま様(@l0x0lm69) * ※ 笑いあり友情あり甘々ありの、切なめです。 ※心理描写を大切に書いてます。 ※イラスト・コメントお気軽にどうぞ♪

幸せな復讐

志生帆 海
BL
お前の結婚式前夜……僕たちは最後の儀式のように身体を重ねた。 明日から別々の人生を歩むことを受け入れたのは、僕の方だった。 だから最後に一生忘れない程、激しく深く抱き合ったことを後悔していない。 でも僕はこれからどうやって生きて行けばいい。 君に捨てられた僕の恋の行方は…… それぞれの新生活を意識して書きました。 よろしくお願いします。 fujossyさんの新生活コンテスト応募作品の転載です。

白金の花嫁は将軍の希望の花

葉咲透織
BL
義妹の身代わりでボルカノ王国に嫁ぐことになったレイナール。女好きのボルカノ王は、男である彼を受け入れず、そのまま若き将軍・ジョシュアに下げ渡す。彼の屋敷で過ごすうちに、ジョシュアに惹かれていくレイナールには、ある秘密があった。 ※個人ブログにも投稿済みです。

【BL】どうやら精霊術師として召喚されたようですが5分でクビになりましたので、最高級クラスの精霊獣と駆け落ちしようと思います。

riy
BL
風呂でまったりしている時に突如異世界へ召喚された千颯(ちはや)。 召喚されたのはいいが、本物の聖女が現れたからもう必要ないと5分も経たない内にお役御免になってしまう。 しかも元の世界へも帰れず、あろう事か風呂のお湯で流されてしまった魔法陣を描ける人物を探して直せと無茶振りされる始末。 別邸へと通されたのはいいが、いかにも出そうな趣のありすぎる館であまりの待遇の悪さに愕然とする。 そんな時に一匹のホワイトタイガーが現れ? 最高級クラスの精霊獣(人型にもなれる)×精霊術師(本人は凡人だと思ってる) ※コメディよりのラブコメ。時にシリアス。

処理中です...