2nd Life

seven

文字の大きさ
上 下
8 / 27
第1章 幼少期

8話 姫の秘密

しおりを挟む
[コルラド城内  マイの部屋]



ソニアは、恐る恐るマイの部屋の扉を開ける。

キー


「わぁ!」


キャァー!


マイは、入ってくるソニアを脅かした。


「姫さま!ビックリさせないでください!腰抜けそうになりましたよ~!」


「じゃって、しょにあ、すごくびくびく、してちゃから!」



そう、たしかにソニアは、かなりビクビクしていた、それもそのはず、昨晩の事があったからだ。
ソニアは、マイの部屋を見渡す。


「あれ?姫さま?ゼム王様達いらっしゃらいのですか?」


「うん、じーじとばーば、あさはやくせつめいしたの、そしたあしごとあゆからかえるっていって、でてたよ、よかったね!」



「はい!…って、わたしはそんな事思ってませんから!もう、姫さま!人をからかって!」


でも、すごく安堵あんどした表情の、ソニア。


(姫さま!利口過ぎますよ!昨晩も、起きてから、わたし達を助けてくれたりして、こんな3才世界広しと姫さまだけです!)



マイ達の声が聞こえたのかコルラド王と、アイナが、勢いよく部屋に入ってくる。


「コルラド王、アイナ王妃おはようございます」


『マイ~!』


二人は、ソニアが目の前にいるのにマイに甘える。
その光景をみて、ソニアが思う。


(コルラド王達も、昨晩の事が余程答えたみたい。
わたしの前なのに、あんなに姫さまに、甘えて、これもまた面白い!って、わたしも姫さまに甘えたくてここに来たんだった!先を越されてしまった~!)



「パパ、ママ?たまごは?」


マイは、二人に頬ずりされながら質問する。


「卵なら、ユリウスが背負っていたから、ユリウスがもっておるぞ、そうだマイ、一緒に行こう!私もユリウスに、国の内政の事で話があるのだ」


「ず、ずるいですよ、あなた、私も今日はマイと一緒に居たいと思い、予定を全て開けたのに!」



(アイナ王妃、それはちょっとどうかと)




「じゃ、ママもいしょにたまご、といにいこ?しょにあも!」




「え?取りに?」



「うん!たまごは、あたしが、とらこんさんに、たのまえたの、たから、あたしがあたためて、そだてうの!」




(ドラゴンの卵って温めて育てるの?)



三人は、少し戸惑ったが、マイがそうすると言っているのだから好きにさせないと、とまた、甘さを出していた。



[コルラド王国 ユリウスの寝室]




「ゆりぃうす?おきてう?」


マイが扉を開け見渡す。ものすごい数の本が、所狭しと並べられている。そしてベッドが一つと、テーブルセットが一つ、とてもシンプルな部屋だ。

(ユリウスの寝室始めて入ったけど、ものすごい数の本がある!すごい、私ここで勉強したい!ユリウス教えてくれるかな?)



ムズムズ



ベッド中でうずくまるユリウスがいた。


ソニアがユリウスに、声をかける。



「ユ、ユリウス様?ご気分悪いのですか?昨晩の事気にしているのですか?」



「わ、私は、丞相失格なのだよソニア、自分の、王に、あんな事させてしまい、ましてや、王妃様にまで…」



「ユリウス!私達は、そんな事気にしておらんぞ!あれは、マイの為に、した事なのだから、お主が、気にする事ではないのだ!」


アイナも、頷く。



「ゆりぃうす?ごめんね、あたしのせえで、きじゅつけて、でも、あえは、あたしがわりゅいの、だから…」


マイの目に涙が。



それを見てソニアが、ユリウスの布団を取る。



「ユリウス様らしく、ありませんよ!そんなに、うじうじして!いつもの、私は正しいオーラは、何処にいったのです!
後、卵!姫さまに、返して下さい!こんな小さい子泣かして!なさけない!」


ソニアは、昨晩からユリウスの行動を見ていて、とても悔しく腹立たしくなり、爆発した。



パチパチパチパチ



コルラド王と、アイナが、拍手する。



ユリウスが、勢いよく起き上がった。



「そうだ!私は何をビクビクしていたのだ!そう、私はこの国!大陸一の丞相ではないか!ゼム王達は、もういらっしゃらないですよね!」


(切り替え早!でも、一応、二人がいないの確認するあたりは、ユリウスらしい)



四人は、笑顔で頷く。



「王様!早速打ち合わせしましょう!今後の政策の事を!マイ姫様!卵は、ここに!ソニア、マイ姫様の部屋にお運びしろ」


ユリウスが、指を指す。
ベッドの中に卵があった。


(ユリウスも、卵温めてたのね!だからうずくまっていたのか)


「あいがと!ゆりぃうす!もうひとつおねがいあうの、きいてくえる?」


「はい、何でしょう?私にできることならなんなりと」



「あたしに、このくにや、たいいくのこと、せえじのこと、おしえて?そえと、ここのほん、よませてほしいの、ため?」


コルラド王が、答える。


「マイ?ここの本は、凄く難しいのだぞ!それに、魔法書などもある、マイには、早すぎると思うが?」



アイナと、ソニアも同じ意見であったが、ユリウスだけが違った。


「マイ姫様、ひとつうかがってもよろしいですか?」


マイは頷く。


「精霊は、ご存知ですか?」




『精霊とは、魔法を使うために、必要な普通の人の目には、見えないが感じることの出来るもの、それは自然の中に存在していると、言われる。
この世界には大きく分けて。七つが存在している。

火・水・地・風・光・闇・無

これを、七大属性と言われている。

その他にも、マグマや氷、雷など自然の中に存在している物も、精霊がいると言われる。

その精霊が認めた人は魔法を使う事ができるが、その代わり自分の精神力を代償だいしょうとして精霊に、分け与える。

精霊の力が、強いとより強力な、魔法を使えるが、精神力が、必要、そして精霊と、仲良くなる事でその代償はへる。

なので、どの国々も、精霊と神をまつうやまう。

精霊の上位種を幻獣と呼び、幻獣と、契約すると、一国滅ぼす事の出来る程の強大な力を手に入れれるが、代償の精神力も並ではなく、大魔導士でも、一度使うと、精神崩壊してしまうと言われている。

精霊も、幻獣も、モンスターの、一種であると、最近の研究で分かったらしい』




「しょにあに、えほんなどで、おしぇてもらってるよ、でも、しぇいれいしゃんはえほんと、すこしちがうの、もっとかわいいよ、でも、はじかしがいやで、なかなかでてこないの!」



四人の目が点になる。


「姫さま?今なんと?精霊を見た事があるのですか?」

ソニアが、聞く。
他の三人も、興味津々だ。


「うん、どこでもかんじうし、たまに、でてくうよ、でも、はなしは、したことない、なんかいいたそうなときあうけど、ちいさくて、きこえないかんじ!よく、あたしのへやにきて、あそんでうの、いろいろな、いおのおようふくきてうよ!たぶん、あえがゆりぃうすのいう、ぞくせいかも」




「マ、マイ姫様?どんな形とか絵とかに出来ます?」


ユリウスが、紙とペンをマイに渡す。


「あたし、えあまりかかないから、じょうじゅに、かけるかわかぁないよ!」


「全然構いません、マイ姫様の見たまんま、感じたまんまでいいので、お願いします」

そう言うと、ユリウスは、本棚から一冊の古めかしい本を取り、ペラペラと、中身を見ている。


マイがペンを持ち書き始める。


紙には、芋虫いもむしみたいな物が、洋服を着て、帽子を被っている。

そして、その後妖精ようせいみたいなものを書いた、こちらも洋服と、帽子。


ユリウスが、コルラド王達に自分の見ていた本を見せる。



「そっくりでは、ないか!多少の容姿は、違うが、この本に書かれている物に、似ているぞ!」


「マイ?このお洋服に、色があるの?」


アイナが質問する。


「うん!でも、ものすごいちいさいの、はねが、はえてうこは、すこしおおきいけど、でも、あたしのちゅめぐらい」


マイは、3才の自分の小指を前に出し四人に見せる。

ユリウスが、見ていた本は、昔この世界に、君臨した、三代大賢者の残した遺物であった。
その中に、こうつづられている。

『私はやっと精霊を見ることが叶った、これまで、幾百の荒業を行い、やっと八十と半ばで、これを体得した、この奇跡とも言える事を、私は後世に残す、これが私の最後の使命とする』


四人は、生唾を飲む。
それもそのはず、伝説の大賢者が、死ぬ間際に出来た事を、まだ3才の子供が、平然と出来ているのだから。


ユリウスが、話し出す。


「マイ姫様、その、精霊が見える事は、私達以外知りませんよね…」

マイは頷く。


「分かりました、明日から、私がマイ姫様の、家庭教師になります。魔法の基礎から、政治、この国、世界の事、そしてモンスターの事も、私の知識を全てマイ姫様に、お教えします。なのでコルラド王達も、協力して頂きたい!
それと、マイ姫様に約束してもらう事が、あります、精霊が見える事は他言しない、ここにいる五人だけの秘密です。
後、魔法は5才まで使用させません、守れますか?」


「あい!まもう!」

(やったは!これで私は、この世界の勉強ができる、魔法は5才まで、使えないみたいだけど、基礎は、教えてくれるのね、早く大きくなって使ってみたい!
でも、なんで5才なのかな?早すぎると、体に良くないとかかな?それでも、焦らないで一つずつ物にしていけばいいのね、だって私まだ3才なのだから!)


「ソニアも、マイ姫様と一緒に勉強してもらいます!後コルラド王達は、絶対に勉強については甘やかさないと誓えますか?」



いつになく真剣なユリウスに、コルラド王達も、了解した。


「わ、わっかた、努力する」


(わたしも勉強するのですね、高等部も終わり、もう勉強しなくてもいいと思ったけど、ユリウス様に直接お教えいただけるなら、この上ない話、頑張ろうっと!)

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

婚約破棄され、平民落ちしましたが、学校追放はまた別問題らしいです

かぜかおる
ファンタジー
とある乙女ゲームのノベライズ版悪役令嬢に転生いたしました。 強制力込みの人生を歩み、冤罪ですが断罪・婚約破棄・勘当・平民落ちのクアドラプルコンボを食らったのが昨日のこと。 これからどうしようかと途方に暮れていた私に話しかけてきたのは、学校で歴史を教えてるおじいちゃん先生!?

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 

結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

すべてを思い出したのが、王太子と結婚した後でした

珠宮さくら
恋愛
ペチュニアが、乙女ゲームの世界に転生したと気づいた時には、すべてが終わっていた。 色々と始まらなさ過ぎて、同じ名前の令嬢が騒ぐのを見聞きして、ようやく思い出した時には王太子と結婚した後。 バグったせいか、ヒロインがヒロインらしくなかったせいか。ゲーム通りに何一ついかなかったが、ペチュニアは前世では出来なかったことをこの世界で満喫することになる。 ※全4話。

転生したら使用人の扱いでした~冷たい家族に背を向け、魔法で未来を切り拓く~

沙羅杏樹
恋愛
前世の記憶がある16歳のエリーナ・レイヴンは、貴族の家に生まれながら、家族から冷遇され使用人同然の扱いを受けて育った。しかし、彼女の中には誰も知らない秘密が眠っていた。 ある日、森で迷い、穴に落ちてしまったエリーナは、王国騎士団所属のリュシアンに救われる。彼の助けを得て、エリーナは持って生まれた魔法の才能を開花させていく。 魔法学院への入学を果たしたエリーナだが、そこで待っていたのは、クラスメイトたちの冷たい視線だった。しかし、エリーナは決して諦めない。友人たちとの絆を深め、自らの力を信じ、着実に成長していく。 そんな中、エリーナの出生の秘密が明らかになる。その事実を知った時、エリーナの中に眠っていた真の力が目覚める。 果たしてエリーナは、リュシアンや仲間たちと共に、迫り来る脅威から王国を守り抜くことができるのか。そして、自らの出生の謎を解き明かし、本当の幸せを掴むことができるのか。 転生要素は薄いかもしれません。 最後まで執筆済み。完結は保障します。 前に書いた小説を加筆修正しながらアップしています。見落としがないようにしていますが、修正されてない箇所があるかもしれません。 長編+戦闘描写を書いたのが初めてだったため、修正がおいつきません⋯⋯拙すぎてやばいところが多々あります⋯⋯。 カクヨム様にも投稿しています。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後

空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。 魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。 そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。 すると、キースの態度が豹変して……?

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

処理中です...