「君」とともに、、、

空音

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第二章 狂った愛情

12

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スキダ、サクラ…



その言葉が頭の中に響きわたる。


目の前にあるのは、苦しそうに俺を見つめる瞳。



なぜ、

なんで、

あんなに恐い思いをして、

あんなに恨んでいたのに。



どうして、拒めないんだろう。


真っ直ぐ俺を見るこの目に、嘘偽りがないのが分かる。




そんな事を考えているうちに、

俺は気がついたら無意識に西尾の頬に手を伸ばしていた。


そっと西尾の目からこぼれ落ちる涙を拭う。


西尾は驚いた顔をした。


そりゃそうだよな。

俺だってびっくりだよ。



あんな目にあっておいて、こんなに簡単に絆されるなんて。


俺は何やってんだって感じ。


でも、不思議と『嫌だ』という感情が芽生えないんだ…



「佐倉?」



「俺、すごく嫌われてるんだと思ってた。好きとかさ…予想外すぎるだろ」


はは。と俺の顔から笑みがこぼれた。



どうしようもない悪魔で最悪な奴だと思ってたけど、その裏にある温かい部分に触れた気がした。


「…嫌じゃねぇの?」


「正直、好きとかはよく分かんないけど、…うん、嫌ではないかな」



西尾に無理やりされた時のあの嫌悪感も、男同士だという抵抗も不思議と今の俺には感じられなかった。


「にしお、」


「…?」


「おまえ、愛情表現まちがい過ぎ」


そう言ってもう一度笑ったら、思いっきりキスされた。

 
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