「君」とともに、、、

空音

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第二章 狂った愛情

02

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「佐倉…」

西尾が近づいてくる。

は、早く逃げなきゃ…!

そう思うのに蛇にでも睨まれたかのように、俺の身体は指の先まで動かなかった。



とうとう西尾が俺の目の前まで来た。

一瞬目が合って反射的にうつむくと、視界の隅で西尾の手が上がるのが見えた。


バシッ


鈍い音とともに、骨に響くぐらいの衝撃が俺の頬に走る。

「…っ、」

平手打ちを思いっ切りくらった。


ズキズキする。


痛い、怖い…
…またあの時みたいになるのか、これ…


一週間前のあの映像が鮮明に頭に浮かび、足がガクガクと震え始める。


「おい、目ぇそらすな。こっち見ろ。」


低く冷たい声でそう言われ、顎を掴まれてぐいっと西尾の方を向かされた。

俺をまっすぐ見下ろすライトブラウンの瞳。
この目を見ただけで動けなくなる。



「んっ…、」

いきなり顔が近づいてきて強引にキスされた。


「ゃ、め…っ!」

西尾の舌が俺の口内を犯していく。

あの時よりもさらに強い力で。



吸われる度に力が抜けて、抵抗もままならない状態になってきた。

頭がフラフラする。


もう、ダメだ…─


諦めて意識を手放しかけた瞬間だった。

ガラッ



突然のその音に、俺の意識は飛ぶのをやめた。

「ぁ…雅樹……」





最悪─…

今まさにそんな状況。


音は教室の扉が開かれた音で。
そこには親友の雅樹(マサキ)が立っていて。

雅樹の目は信じられないものでも見たかのように、大きく見開かれていた。


実際、信じられない光景なんだろうけど。



「潤…?」

雅樹が俺の名前を呼んだ。
その声は震えていた。


「な、にやって…」

「雅樹っ、ぁの、これは…」


俺は慌てて訂正にはいる。

「お前ら…デキてたのかよっ…」



後ずさる雅樹に、俺は待ってと言わんばかりに腕を掴んだ。

「違ッ、これはっ…」

「さわんなよ…っ、気持ちわりぃ…!!」

「…っ、」


その言葉に、自分の耳を疑った。
言葉と同時にふりほどかれた手は空中で固まったまま。



「ぁ、、ごめん…」



それだけ言うと、雅樹は逃げるように教室から出ていった。
 
 
 
 
取り残された俺は、また西尾と2人きりになった。
 
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