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第一章 悪魔到来
05
しおりを挟むほんの一瞬だった。
ドアに手が届いた瞬間に後ろ髪を掴んで引っ張られ、教室の床に引き戻される。
また西尾から見下ろされる形になった。
後頭部がヒリヒリする。
西尾の左手をみるとさっき引っ張った時に抜けたと思われる俺の髪の毛が、ありえないほどの束で握りこまれていた。
俺は血の気がすーっと引いていくのを感じた。
こわい…
こわい、恐い…!
殺されるっ…!!
無表情の西尾の瞳からは何の感情も読み取れなくて、ただひたすら恐怖だけが俺を支配した。
床に尻餅をついたまま無意識に後ずさる。
「可愛くねぇなぁ、お前…」
西尾がじりじりと迫ってくる。
握った拳の関節をポキと鳴らしながら。
「素直じゃねぇ奴には…、お仕置きしねぇとなぁっ!!」
「ぐっ…!!」
思いっきり左頬を殴られ、バランスを崩して整頓してあった机と一緒に床に転がった。
その上に西尾が馬乗りになる。
「…、ぅ゙ぁ…!!い゙っ……」
ガンガンとさっきと同じ左頬を何度も殴られ、そのたびに俺は頭を床に打ちつけた。
口の中は切れて血の味がした。
西尾は気の済むまで俺を殴った。
顔の左側だけ異様に腫れているような感触がある。
「げほっ…げほ、…ぉえ……」
口の中の血が固まり不快感を与えている。
「辛い?」
むせかえる俺に向かって西尾はさらりと言った。
「…っ!当たり前だろっ、、痛ぇし!なんなんだよっ、、」
「…」
自分で聞いたくせに無視かよ。
なんなんだコイツはほんとに…―
怖すぎる、どうにかして逃げないと…
「…なぁ、お願い…そろそろ退いてよ…、も…帰りたいっ…」
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