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第一章 悪魔到来
02
しおりを挟む俺の身長より頭一つ分デカい西尾の威圧的な雰囲気に飲み込まれそうで、俺は思わず息を呑んだ。
「に、しお…?」
人の名前を呼んでおいて、西尾は無言のまま口を開かない。
窓に背を向ける形で立っている西尾の顔は、夕陽の逆光で暗くてよく見えない。
それでも分かる。感じる。俺に向けられた視線。
真っ直ぐに俺を見る西尾の瞳に、なぜか俺は恐怖を感じた。
俺の中の本能が逃げろと言っているのに、金縛りにでもあったみたいに体が動かなくて。
スッと西尾の手が俺に伸びてきた。
殴られるっ…!!
とっさにギュッと目を瞑った。
が、予想した衝撃はこなくて、かわりに左頬に何かがそっと触れた。
え…?
「っ…!」
そろりと目を開けると至近距離に西尾の顔があって、思わず変な声が出た。
いくら何でも、近すぎだろ、、、
距離をとろうと一歩下がった瞬間、西尾の腕が腰に回され俺の身体は本日二度目のビクッという条件反射を起こした。
「…なぁ、」
無言だった西尾が突然口を開いた。
間髮いれずに続けられた言葉は、俺の思考をストップさせた。
「おまえさ、俺と付き合う気ない?」
いま、何て…―?
言葉が頭に入ってこない。
脳は懸命に理解しようとするのに、俺の思考はしばらく止まったままで。
「…は?」
やっとのことで発した第一声は何とも気の抜けたものだった。
「だから、俺と付き合わねぇかって言ってんの」
俺の反応に全く表情を変えることもなく、西尾は繰り返した。
何言ってんだ、コイツは。
おれは…
「俺、おとこだよ…?」
「見りゃ分かる」
西尾がおかしくなったのかと思った。
どっかで頭でもぶつけたのか?
男同士なんてどうかしてる。
それともこいつ、、ホモなのか?
あれこれ考えを廻らせていたら急に腕に力を込められ、ぐいっと引き寄せられた。
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