「君」とともに、、、

空音

文字の大きさ
上 下
3 / 23
第一章 悪魔到来

02

しおりを挟む

俺の身長より頭一つ分デカい西尾の威圧的な雰囲気に飲み込まれそうで、俺は思わず息を呑んだ。

「に、しお…?」

人の名前を呼んでおいて、西尾は無言のまま口を開かない。
窓に背を向ける形で立っている西尾の顔は、夕陽の逆光で暗くてよく見えない。

それでも分かる。感じる。俺に向けられた視線。
真っ直ぐに俺を見る西尾の瞳に、なぜか俺は恐怖を感じた。

俺の中の本能が逃げろと言っているのに、金縛りにでもあったみたいに体が動かなくて。

スッと西尾の手が俺に伸びてきた。
殴られるっ…!!

とっさにギュッと目を瞑った。
が、予想した衝撃はこなくて、かわりに左頬に何かがそっと触れた。

え…?


「っ…!」

そろりと目を開けると至近距離に西尾の顔があって、思わず変な声が出た。

いくら何でも、近すぎだろ、、、

距離をとろうと一歩下がった瞬間、西尾の腕が腰に回され俺の身体は本日二度目のビクッという条件反射を起こした。


「…なぁ、」

無言だった西尾が突然口を開いた。
間髮いれずに続けられた言葉は、俺の思考をストップさせた。

「おまえさ、俺と付き合う気ない?」



いま、何て…―?

言葉が頭に入ってこない。
脳は懸命に理解しようとするのに、俺の思考はしばらく止まったままで。


「…は?」

やっとのことで発した第一声は何とも気の抜けたものだった。

「だから、俺と付き合わねぇかって言ってんの」

俺の反応に全く表情を変えることもなく、西尾は繰り返した。

何言ってんだ、コイツは。

おれは…
「俺、おとこだよ…?」

「見りゃ分かる」

西尾がおかしくなったのかと思った。
どっかで頭でもぶつけたのか?
男同士なんてどうかしてる。
それともこいつ、、ホモなのか?

あれこれ考えを廻らせていたら急に腕に力を込められ、ぐいっと引き寄せられた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

無理やりお仕置きされちゃうsubの話(短編集)

みたらし団子
BL
Dom/subユニバース ★が多くなるほどえろ重視の作品になっていきます。 ぼちぼち更新

性的イジメ

ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。 作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。 全二話 毎週日曜日正午にUPされます。

部室強制監獄

裕光
BL
 夜8時に毎日更新します!  高校2年生サッカー部所属の祐介。  先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。  ある日の夜。  剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう  気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた  現れたのは蓮ともう1人。  1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。  そして大野は裕介に向かって言った。  大野「お前も肉便器に改造してやる」  大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…  

昭和から平成の性的イジメ

ポコたん
BL
バブル期に出てきたチーマーを舞台にしたイジメをテーマにした創作小説です。 内容は実際にあったとされる内容を小説にする為に色付けしています。私自身がチーマーだったり被害者だったわけではないので目撃者などに聞いた事を取り上げています。 実際に被害に遭われた方や目撃者の方がいましたら感想をお願いします。 全2話 チーマーとは 茶髪にしたりピアスをしたりしてゲームセンターやコンビニにグループ(チーム)でたむろしている不良少年。 [補説] 昭和末期から平成初期にかけて目立ち、通行人に因縁をつけて金銭を脅し取ることなどもあった。 東京渋谷センター街が発祥の地という。

熱中症

こじらせた処女
BL
会社で熱中症になってしまった木野瀬 遼(きのせ りょう)(26)は、同居人で恋人でもある八瀬希一(やせ きいち)(29)に迎えに来てもらおうと電話するが…?

女装とメス調教をさせられ、担任だった教師の亡くなった奥さんの代わりをさせられる元教え子の男

湊戸アサギリ
BL
また女装メス調教です。見ていただきありがとうございます。 何も知らない息子視点です。今回はエロ無しです。他の作品もよろしくお願いします。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

おしっこ8分目を守りましょう

こじらせた処女
BL
 海里(24)がルームシェアをしている新(24)のおしっこ我慢癖を矯正させるためにとあるルールを設ける話。

処理中です...