遠い記憶、遠い未来。

haco.

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変わりゆく変化

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自然と星空を広く見渡せる公園で、テントを張ると折りたたみチェアにゆっくりと足をおろして枯木と枝を集めた焚き火に手をあててみた。

冷たい手から温かいぬくもりへと変化していく。
身体が温まってくると
「さてと。。コーヒーでも入れるかな」

立ち上げると、リュックからコーヒー豆をミールに移し、レバーを引き始めた。

二、三回、引いていると、深入りの香りが漂ってくる。
お湯をゆっくりと回しながら、淹れていく。

一口飲む、身体の芯から温まっていく。

星空を眺めながら、今日のことを思いだしていた。

立ち寄った瓦礫スーパーで、倉庫に眠っていた食料品が沢山あった。

水害の影響はほとんどなく、コーヒー豆を手に入れた。
賞味期限はとっくに過ぎていた。

この身体である以上、なにも感じることもない、ただ食べればそれで良いとさえ思ってしまう。

それでもしっかりとしたコーヒーの味はあった。

焚き火を見ながら、思わず「ほ!」となってしまう。

パチパチと盛り上がる火を見ていると最近思うことがあった。

身体に、心の変化が出てきた。蓮だった頃のような感覚が薄れていた。「オレ」と言っていた時代は「ワタシ」に変わり、仕草もどこかセイカらしい女性らしくなってきた。
自分の胸元を少し覗き込みながら、改めて思う。

元の身体に、戻りつつある。
あの頃のあの星にいた頃のセイカの姿に。


この星を誕生させてから、やっと本来の自分になりつつある。
レンと望んでいたこの世界に。

もうすでに彼の分身ではないのかもしれない、クローンでもなんでもない。たった1人の人間になった。

「やっと。自分の身体になれたのね。」

もしかして、クローンとして生まれたのも自然の摂理なのかもしれない。

こうして、新たな自分が生まれて、彼も存在している。

同じ意志だけは存在していて、それ以外を除けば「彼」と築ける世界があるのかもしれない。

「パキッ・・・」

焚き火のしなる音で我に戻った。

「そうだ、明日のルート確認しなきゃ」

リュックから地図を手にとり、広げて確認をしてみた。

現在地は「真備総合公園」。岡山県内に来ていた。

自分と向き合う旅なのかもしれない。

地図を折りたたみながらテントの中へと入った。

星空だけを残して。


    
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