遠い記憶、遠い未来。

haco.

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青空の下で

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吹き抜ける風、秋の涼しいひやっとした外の空気を吸い込みながら、山陽線の線路の上を歩いていた。

地図を広げながら立ち止まりながら確認していた。

幡生駅の印の看板が見えてきた。

駅内に入ると倒壊した壁が粉々に落ちている。

幡生駅の看板は崩れた建物に縦型に寄り添っていた。

ジャリジャリした道を踏みながら駅から見た外を見渡してみた。
タクシーが仰向けに転がったまま3台が固まっていた。

シダ植物がほとんど占めていた。
大木の根っこが絡みついてる。

倒れたマンションの壁の欠片がここまで及んでいる。

マンションの姿そのものもただの岩と化していた。
自然の力はこれほどすごいとは・・・と関心されるほどだ。

セイカは、また駅内に戻ると次の駅へと向かうことにした。

生きるものの影も見えないからだ。

空を見ると、鷹が飛んでいた。

「あなたたちも生きていたのね」

鷹に声をかけながら、手を空に上げてみた。


すると鷹は降下をして、手の平の上に止まってくれた。

「あなたはずっとここにいるの?」

クルル・・・

お腹から声を出しながら首をかしげた。

「そっか・・・」


セイカは鷹の意思が伝わるようにわかってきた。

鷹も遠い地を旅しながら、この地に来た、手にとるほど
伝わってくる。

「あなたにこれをあげるわ」

リュックから小袋に入ったパンの耳を地においてあげると

飛びつくように食べ始めた。

鷹も獲物がすくないのだろうか。空腹に満ちているようだ。

お腹が満たされると、セイカの肩へと飛び移った。

また伝わってくるものがあった。

おそらく「ありがとう」なのだろう。

鷹はそのまま飛び立った。

青空へと羽ばたかせ、更に向こうの景色を目指しながらも。


「さてと・・・私も行かなきゃね」

動物たちは私を見守ってくれてるんだ。
心から思っていた。




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