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第4章 沢田くんと別荘の夜
沢田くんと夢の中
しおりを挟む【佐藤さん、夢の中でも可愛いなあ(*´艸`*)】
このシチュエーションが夢だと勘違いした沢田くんは……私のことをクマのぬいぐるみのようにぎゅっと抱きしめた。
きゃあああああ!!
これはまさかのドキドキ展開!
私は息を止めて至近距離の沢田くんを見つめた。
微かな光量に目が慣れてきたのか、沢田くんの整った顔立ちが見えるようになってきている。
リラックスしてちょっとトロンとしている瞳がちょっぴりセクシーでドキドキする。
【このままずっと朝までいたい……】
ズキュウウウウウウウン!
ヤバい、これは私の方が昇天するパターンだ。顔が沸騰したやかんみたいに熱くなっちゃう。
「沢田くん、だめだよ、こんなところで寝ちゃ。起きて」
【ああ、こんなふうに佐藤さんに起こされてみたい……(*´艸`*) 全部願望が表れちゃってる。やっぱり夢に違いない】
夢じゃないのになあ。
でもこれは滅多にないチャンスかもしれない。
普段じゃ照れて言えないことも、今なら言えるんじゃないかな。
私はドキドキしながら沢田くんに言った。
「私、沢田くんが大好きだよ」
「……!【おいおい、いくら夢の中だからってこんなに都合のいいことを佐藤さんに言わせていいのか⁉︎ 俺!!((((;゚Д゚)))))))あああ、再び頬がジュンジュワ~】」
沢田くんは幸せそうにニコッと笑った。
あああ、滅多に見れない沢田くんスマイルだ!!
私のほっぺもジュンジュワ~。なんやそれジュンジュワ~て。おそらくジュンと熱くなってジュワ~で溶けてるんだろうな。
沢田くんと心が通じ合っているのを感じて、幸せでいっぱいになる。
「大好きだから、ずっと一緒にいてね」
「……うん。俺も大好きだよ、佐藤さん……」
ああ、耳元で沢田くんのささやきボイス。キュン死しちゃう!!
【はああああ~~!! 言っちゃったあああ(*´艸`*)いくら夢の中だからって大胆すぎるだろ、俺!! 全身がもはや復活の早すぎた巨神兵。体の形を保てない~~! 溶ける~~!!】
見た目がカッコ良くて中身が可愛い沢田くんとぎゅっと抱きしめ合う。
夢の中、最高♡
抱き合っているうちに、私もいつの間にかポカポカして眠たくなってきた。
こんなところで寝ちゃダメ。
分かっているけどこの温もりから離れられないよ……。
ダメダメ、と思いながら私の瞼はゆっくりと閉じていった。
沢田くんの腕の中に包まれたままで。
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