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第4章 沢田くんと別荘の夜
沢田くんと禁断の技2
しおりを挟む「4-0で森島様のポイントです」
あっという間に4対0。沢田くんのサーブの番が来た。
【この劣勢を跳ね除けるためには、やっぱりあの必殺技を使うしかない。禁断の技を……!】
そういえばそんなことを言っていたね。禁断の技、ずいぶんと引っ張ったけどそこまで言うならきっとすごい技なんだろう。
私はワクワクして見守った。沢田くんの手にサーブのボールが握られる。
頑張って、沢田くん!
【行くぞ、ぼっち卓球奥義……必殺!!((((;゚Д゚)))))))】
沢田くんの目が大きくカッと見開かれた。
「……さー」
ボソッと沢田くんが何か言って、普通のサーブが繰り出された。
ん? 今のは??
森島くんは気づかなかったみたいに、リターンする。そのボールは沢田くんのバック側のコートに落ち、森島くんが得点した。
「5ー0で森島様のポイントです」
【禁断の技が……破れた!!。゚(゚´Д`゚)゚。】
沢田くんはがっかりと肩を落とした。
ちょっと待って。禁断の技っていったい何だったの?
リプレイでもう一度見てみよう。
沢田くんの手にサーブボールが乗って、それから。
「……さー」
そして、リターンエースを取られ……。
えっ? 分かんない! 何が禁断だった⁉︎
【無駄にデカい声を出して相手をビビらせる禁断の技……「さー!」_| ̄|○ ぼっちの俺がみんなの前でデカい声を出すなんて、精神的ダメージがデカすぎて一回やるのが精一杯の超必殺技だったのに。゚(゚´Д`゚)゚。 これが成功したら、「チョレイ!」も言うつもりだったのに……!】
無駄にデカい声って、さっきの「……さー」のこと⁉︎
いやいや、デカくなかったし。あと、チョレイって何さ??
(作者注)チョレイは卓球の張本くんの雄叫びのこと。意味は不明。
【クソッ……もう打つ手はないのか⁉︎ ──いや、さっきのはきっと中途半端な大きさで言ったから失敗したんだ! 次はもっと大声でいく! 佐藤さんのために、俺は負けない!!】
沢田くんは満身創痍だ(主に精神的ダメージが大きい)けど、諦めずにもう一度チャレンジする気だ。
私のためにぼっちという自分のハンデを克服しようとしてまで立ち上がる沢田くんの勇気に、私は胸が熱くなった。
がんばって……! 沢田くん!
「さー【((((;゚Д゚)))))))】」(ボソッ)
沢田くんは決死の掛け声とともにサーブ!
そのボールはネットに引っかかって沢田くんの元に戻ってきた。
「6-0で森島様のポイントです」
【オーマイガーっ!!!((((;゚Д゚)))))))】
ちょっと待って。根本的なこと言っていい?
沢田くん、卓球が下手すぎ!!
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