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第3章 沢田くんと別荘の愉快な仲間たち
沢田くんと落とし前
しおりを挟む【今なら言えそうな雰囲気((((;゚Д゚)))))))】
ほのぼのしていたら、陸くんの方からそんな声がした。
そっと目をやると、陸くんが矢野さんに目配せしている。
【矢野、空に声をかけろ】
【かしこまりました】
この二人のアイコンタクトは本当にすげーな。
「空様。陸様が空様に何か仰りたいことがあるそうです【これくらい自分で言えよな~( ´Д`)y━・~~】」
沢田くんが陸くんを見る。陸くんは指先まで真っ直ぐにして、沢田くんを正面から見つめ返した。
「空……。俺を殴れ!」
「……!【陸くん⁉︎Σ(゚д゚)】」
突然の陸くんからの申し出に、沢田くんも真顔で硬直した。
「俺のドッキリのせいで、お前の大事な人を危険に晒した落とし前をつけなきゃな──って、おい! どっから持ってきたそれ!!」
陸くんがびっくりしたのも無理はない。
沢田くんの手にはいつの間にか、直径20センチはあろうかという巨大な甲羅を持つカメが握られていたのだ。
【昔、俺がこの浜辺で指を噛まれたあの時のカメ。こんなに成長していたなんて、俺もびっくり。さっき砂に埋まってた時、再会した。これも運命(・Д・)】
なんていう巡り合わせなの⁉︎ 奇跡としか言いようがない。
「まさか、そいつで俺を殴ろうっていうんじゃ」
「これは……俺の分【ボカッ!(・Д・)】」
沢田くんは眉ひとつ動かさぬまま、陸くんにカメの甲羅で殴りかかった。
【ぎゃあああ~~! 硬い!!((((;゚Д゚)))))))】
「これは、途中で犠牲になった怖い顔の人の分【ボカッ!(・Д・)】」
【ぎゃあああ~~!((((;゚Д゚)))))))あ、あれ? あんまり痛くない】
沢田くん、小野田くんの分は手加減した!
「これは、矢野さんの分【いつも迷惑かけてるからボカッ!(・Д・)】」
「ぎゃあああ~~!【解せぬ!((((;゚Д゚))))))】」
「空様、私の分まで……恐れ多いことでございます【いいぞいいぞ、もっとやれ~!ヽ(*^ω^*)ノ】」
頭を下げた矢野さんの口の端がわずかに上がった。
「そして、これが……ひどい目にあった佐藤さんとカメの分だ──!【本気と書いてマジ!!( *`ω´)】」
え、カメの分⁉︎
「待て、カメはお前が……!!」
【問答無用!! ボカッ!!( *`ω´)】
【イッテええええええ。゚(゚´Д`゚)゚。】
命乞いをした陸くんだったけど、沢田くんは容赦無くボッコボコに陸くんを殴ったのだった。
怒った時は意外と怖いんだね、沢田くん。
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