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第3章 沢田くんと別荘の愉快な仲間たち
沢田くんと猛烈シャンプー
しおりを挟む私は慌てて洗い場と更衣室を隔てる重いガラスの戸をスライドさせた。
まずは湯気が私の目を奪う。
湯気に混じってほのかに塩の匂い。海が近いからだろうか、天然の温泉水だから近くの海水が混じっているのかもしれない。
湯気に慣れると、ガラスの向こうの開放的なオーシャンビューが目に飛び込んでくる。そこはプライベートビーチのようで、知らない人に覗かれる心配はなさそうだった。
足元は石畳風のタイルで滑りにくい加工がされているみたい。
大浴場はまさにその名の通り何十人もが入浴できそうな広い人工石の浴槽が一つ、小さなジャグジー風呂が一つ、それに小さなサウナと水風呂がついている。
洗い場は出入り口から左の壁に沿ってL字型に、10席ぐらいあるのかな。
本当に旅館みたい、と一瞬感動しかけた時。
「やめろ、沢田~! 頭なら自分で洗えるからっ!!【シャンプーが目に入って何も見えねえええええええ!!!((((;゚Д゚)))))))】」
洗い場の一角で、沢田くんが小野田くんの頭に尋常じゃないほどのスピードでシャンプーをしていた。
小野田くんの短い髪はシャンプーの泡に埋もれ、白いまき○ソ、もとい、ソフトクリームみたいに縦にボリュームアップしている。
「目……つぶってて【ごめんなさい、顔の怖い人! 佐藤さんの裸は、たとえ水着越しだとしても誰にも見られたくないんだっ!! このまま死んでくれーーーっ!!:(;゙゚'ω゚'):】」
シャンプーで人は死なないよ、沢田くん。
でももしかしたら死ぬかも? と思うくらい容赦なくワシャワシャしてる。
私のためかぁ……嬉しいなあ。
【沢田のやつ、俺のためにこんなにシャンプーをしてくれるとは。゚(゚´Д`゚)゚。これはもう俺に友情を感じているとみて間違いはないな!】
ワシャワシャされながらも小野田くんは内心嬉しいようだ。
【それにしてもカメくさいのがなかなか取れないな~(・Д・)】
友情<カメ臭=猛烈シャンプー。
残念だったね、小野田くん。
ちなみに二人も海パン姿でホッとした。
フェイスタオルで腰巻きスタイルだったらどうしようかと思ったけど。
【さあ、佐藤さん今のうちにどうぞ……!! 俺は絶対見ませんし、この人にも見せません!!(๑• ̀д•́ )✧ドヤッ 】
ありがとう、沢田くん。心遣いにキュンとしちゃう。
私は安心して沢田くんたちから一番遠い、奥の席に向かった。
その時、毛刈り前の羊なみにモコモコした小野田くんが手探りでシャワーをつかんだ。
「もういいぜ、沢田。そろそろ流し──」
【あっ、危ない!! 佐藤さんっ!!:(;゙゚'ω゚'):】
えっ⁉︎
小野田くんのシャワーヘッドがこっちを向いている⁉︎
ヤバい、直撃──!!
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